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傘道
2025-04-07 23:07:19
2237文字
Public
ライイワ
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月光の下でワルツを踊りましょう
znzrの🐺🪛小説です。🐺と🪛が踊る話です。
ベッターのバックアップです。
新エリー都にあるライカンの私用の部屋。
現在、部屋の主は外出中だ。
「うーん。」
ソファに座っているアンドーは顎に手を当てながら唸った。
視線の先にあるのは自分のスマホ。
そこに映っていたのは、紳士服を着た男性とドレスを纏った女性が優雅に踊っている動画だった。
普段なら観ない動画だ。
なぜこれを観ているかというと恋人のためだった。
アンドーの恋人であるライカンは完璧な紳士だ。
ハーブティーを淹れたり、バイオリンを弾く姿はエレガントだ。
そして勉強熱心である。
兄弟と一緒にヘヴィメタルを演奏した時は、最後まで聴いた後に「ヘヴィメタルとはこんなに心を揺さぶられる音楽なのですね
…
」と拍手をしながら称賛してくれた。
そして後日、ヘヴィメタルを勉強してきたライカンが防音がしっかりしたスタジオを借りてきた。
そして3人で心ゆくまでヘヴィメタルを演奏した。
あの時間は大変有意義で楽しかった。
自分が好きなものに興味を示してくれて勉強してくれる。
そんな素敵な恋人に自分も勉強して一緒に話題を共有したかった。
そうして思いついたのがクラシック音楽だった。
ただ自分はバイオリンなどを演奏できない。
せめてクラシック音楽を聴きながらできる趣味はないかと調べたのが、今観ている動画にあるような社交ダンスだった。
「やっぱり難しいなぁ、兄弟。」
兄弟と一緒にスマホを覗き込む。
ダンスのステップ一つ一つを目を凝らして見ているが、そのステップ全てを覚えるのが大変だ。
ただ観ているだけでは覚えられない。
こうなれば実践あるのみだ。
「兄弟、一緒に練習しようぜ。」
ソファから立ち上がり、兄弟を両手に持つ。
「えっと
…
ワンツー、ワンツー。」
サイドテーブルに置いてあるスマホを時々覗きながら兄弟とぎこちなく踊る。
何度も足の位置を調整しながらターンをする。
「ん?ここの振り付けが違う?」
兄弟に指摘されて、アンドーは振り付けを修正する。
その時、扉が開いた。
「
……
アンドー?」
ポカンとした表情で部屋の主、ライカンが扉の先に立っていた。
まさかの練習している最中に来るとは思っていなかったアンドーは固まった。
ロボットが出すギギギという擬音が吹き出しで出ているような動きでアンドーはライカンの方を見る。
「申し訳ございません、タイミングが悪かったようで
…
」
ライカンは目を閉じ顎に手を当てて謝罪する。
「いや、ライカンさんは悪くないぜ。」
なぁ、兄弟とアンドーは兄弟に同意を求める。
「言いにくいのでしたら言わなくていいのですが
…
一体ご兄弟と何を?」
本当は恥ずかしくて言いたくない。
ただここで言わないでいるのはアンドーの中の漢が許さなかった。
「兄弟とダンスの練習をしていたんだ。」
「ダンスの
…
練習?」
アンドーのスマホから流れるクラシック音楽が静寂の中響く。
「こないだヘヴィメタルを一緒に演奏してくれただろ?だからその
…
俺もライカンさんの趣味を勉強して、共有できたらいいなぁと思って
…
」
どんどん声が小さくなるアンドーを見て、ライカンの胸の中が温かいもので満たされる気がした。
自分がアンドーの趣味に興味を持ち、勉強するのは恋人のことをもっと知りたい、もっと話をして一緒の時間を過ごしたいという気持ちからだ。
もし恋人も同じ想いならどれだけ嬉しいか。
「私のことを考え、ご兄弟とダンスを練習してくださるとは
…
このライカン恐悦至極でございます。」
真正面から感謝の言葉を述べられ、アンドーの顔が赤くなった。
「
…
もしよろしければ、私がダンスを教えましょうか?」
ライカンからレッスンの提案がされた。
アンドーはどうするか思案する。
本当はこっそり兄弟と練習してうまく出来たらお披露目する予定だった。
でももうバレてしまったら仕方ない。
「お願いしてもいいか?動画観てもよくわからなくてよ。」
兄弟を片手に抱え、アンドーはもう片方の手で頬を掻きながらお願いした。
ライカンは恋人の返事に満足そうに頷いた。
「承知いたしました。それではまずアンドーからダンスを教えましょう。ご兄弟には一度見学していただければかと。」
「確かにこれは2人しか出来ないもんな。兄弟、ちょっと見学してといてくれ。」
アンドーはライカンの部屋にある翠色と蜂蜜色で彩られた椅子に兄弟を座らせた。
「それでは私がリードいたしますので、一曲踊っていただけますか?」
ライカンはアンドーの前に立ち、優雅にお辞儀した。
そしてアンドーに向かって手を伸ばし、ダンスのお誘いをする。
「あぁ、お願いするぜ。」
アンドーは承諾の証としてライカンの手をとった。
「まずはターンの練習をしましょうか。」
洗練された動作でライカンはアンドーの両手に手を添えた。
「お、おう。」
「私の脚と同じようにステップを踏んでください。それではいきますよ、ワンツー、ワンツー。」
ライカンの義足がステップを踏み始め、アンドーは視線を義足に向けてぎこちなくステップを踏む。
ライカンはアンドーが足元に集中し過ぎて転ばないように支えながらステップを踏む。
そのまま翠色と蜂蜜色の家具で統一されたライカンの部屋を2人でくるりと廻った。
カーテンから差し込む月光。
観客は兄弟のハンマードリルだけ。
月の光に照らされたワルツはぎこちなく始まった。
ダンスを覚え始めたアンドーが笑顔を見せながらワルツを踊るようになるのはもう少し先の話である。
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