いまち
2025-04-06 01:23:56
2571文字
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こじらせ三つ葉の夢の中

バブタロすり抜け記念書き散らし。♣の夢ネタ。

 どうやってトレイ先輩を覚まさせよう。お菓子を食べる先輩たちを覗きながら相談するものの、なかなかいい案が浮かばない。トレイ先輩がいればリドル先輩への対策はとれやすそうだし、エースみたいに置いていく、というのは考え辛い。
……お前、今ひでぇこと考えてなかった?」
「気のせいじゃない?」
「ほーん?」
 さてどうしたものか。横でじとっとした目を向けてくるエースのことはさておいて考えた。やっぱり、付き合いが長いケイト先輩に任せるのが一番なのかな? 考えていると遠くから声が聞こえてきた。
『トレイさーん、お待たせしましたぁ』
「ん?」
 いやまさかとは思ったけど、自分以外の皆も不思議そうな顔をしているから気のせいではなさそう。聞こえた途端、トレイ先輩は席を立って、声がした方に向かっていった。
「なぁ、子分。今の声ティナじゃねーか?」
……だよね? セベクはどう思う」
「なんで僕に聞くんだ!」
「クラスが一緒なら分かるんじゃないの?」
……。あいつの声ではあるが」
「でもさー、アイツディアソムニア生じゃん。ここにいるわけなくね?」
「当然だ!!!」
「うるさっ」
 セベクの大声は置いといて、なんでここでティナの声がするんだろう? オルトも同じように思ったようで、イデア先輩のタブレットのカメラから映像を送ってもらった。
「は?」
「え?」
「なんで……
「?」
オルトにより壁に映されたのはキッチンの様子らしい。派手なコックコート姿のトレイ先輩の隣には似たデザインのウェイトレス風の服を着たティナが少し大人っぽい顔で笑っていた。
『おいトレイ。その雛鳥はなんなんだ? どうしてここにいる』
 自分たちが理解できないでいると、レオナ先輩がさっそく突っ込んでくれた。映像越しにでも警戒しているのが分かる。トレイ先輩はレオナ先輩に怯むでもなくいつもの困り笑い見たいな顔でティナの肩を抱いた。まるで、恋人かなんかのように。
『あぁ、お前は知らなかったのか? 彼女はハーツラビュルに転寮したんだよ』
『そうなんです。トレイさんの側にいたくて……えへへ』
「なんだむぐっ」
「セベク、黙れ」
 なんだかよく分からないけど、トレイ先輩の中のティナはトレイ先輩の側にいたくて転寮したらしい。それにはセベクもえらい怒った顔をしている。どうでもいいけど。
「よくないッ! ディアソムニアに振られながらなぜわざわざハーツラビュルなんかにッ……!!」
「よし、お前外出ろ」
 エースとデュースがセベクを睨んだ。さすがによその寮に対して「なんか」はないな。ついでにシルバー先輩も険しい目でセベクを睨んでいる。エースの夢で散々怒られたにこれじゃあ仕方ないかも。
「そういうのは後にしてくれる?」
 呆れた様子のオルトに窘められてとりあえず騒ぎは治まった。それはそれとしてこれはどういう状況だろ。ディアソムニア生であるティナがここにいるなんて齟齬にほかならないから、トレイ先輩を覚ますとっかかりになるかもしれない。まずは情報を集めるため、レオナ先輩に色々聞いてもらうことにした。ものすごく嫌な顔をされたけど、他に適任はいないのだから諦めてもらうしかない。
『へぇ、そりゃあずい分お熱いことで。よくもまぁあのマレウスを説き伏せたものだ』
『説き伏せたって……マレウスさんはお祝いしてくれましたよ?』
『祝う? お前が出てくってのにか?』
『レオナ、ウチの奥さんに「お前」呼びはやめてくれないか?』
 トレイ先輩が言った途端、空気が凍った気がした。映像を見る感じ、向うも同じらしい。奥さんってお嫁さんとかそういう? それとも異世界だと意味が違ったりする? そう思って周りを見るも、シルバー先輩以外はみんな目を丸くしている。そんなことはなかったようだ。
……は?』
『それに、ウチの子にも祝福を贈ってくれたんだ。これが祝ってくれるのでなければなんなんだ?』
『おい待て、お前何を言ってるんだ?』
 さすがのレオナ先輩でも理解が追い付いていないらしい。見るからに狼狽えてる。ケイト先輩は取り繕おうとしているようだけど、顔が強張っているのは隠しきれないよう。
『まぁほら、トレイくん! レオナくんは二人のこと知らなかったみたいだから教えてあげて。その……お子ちゃんのことも、ね?』
 聞き間違いかと思ったけど、トレイ先輩には子供もいるらしい。話の流れからするに、ティナとの子供なんだろう。けど、展開が早すぎて着いていけない。というか、ケイト先輩はこの話を深堀する気なのか? いいのか?
 イデア先輩に至ってはさっきから映像を送ってくるばかりで一言も発してない。たぶんチートツール開発に注力してるんだと思う。リア充の結婚&出産報告なんて興味ないだろうし。
「キースリンクは妊娠していたのか。知らなかった」
「や、これは夢ですから。たぶん結婚もしてないと思いますよ?」
「そうなのか?」
「それどころか付き合ってもないと思います。そういうことがあれば自分たちに話すと思うので……
 ティナからトレイ先輩の話が出る時はほとんどがどういうお菓子をもらったか、とか、部活の話をした時くらいだ。だから、トレイ先輩に対してそういう気持ちはないんじゃないかと思う。
「あー……
 揃って気まずい空気になっていると、エースがスマホを見せてきた。見ると、ケイト先輩とのやりとりが表示されていた。内容は単純なもので、トレイ先輩とティナについての質問とその答え。
 ケイト先輩が知る限り、トレイ先輩とティナが付き合ってるということはないらしい。けど、トレイ先輩からは時折ティナへの好意のようなものが見えるから気はあるかも。らしい。
「わぁ……
「付き合い通り越して子供までできてるって……
 自分らが軽く引く中、ディアソムニア生二人はきょとんとしていた。なんでだよ。
「? 愛し合っている者同士なら問題ないのではないか?」
 それはそうかもしれないけど、この場合トレイ先輩の気持ちが一方通行なのが問題なわけで。けど、それを説明したらややこしくなりそうな気がしてツッコミは他の誰かに任せることにした。
 いっそトレイ先輩は眠らせておいた方がいいかもしれない。ティナのためにも。