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ぽふむん
2025-04-05 22:04:29
2154文字
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ワンドロ
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桜風芽吹く頃
#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負
「中庭」「芽吹き」「利き腕」
氷柱if
自分一人ならどうということはなかったけれど、怪我人や死人が出ると自分の事のようにしのぶちゃんが悲しむから……と言う理由で隊士を庇ったばかりに利き腕に怪我を負った氷柱。
痛み止めの過剰摂取をしたものだから、しのぶちゃん激おこです。
本人能天気ですが、オーバードーズ後なので念の為閲覧注意です
うららかに、さんさんと降り注ぐ春の陽射し。
その陽射しは暖かく、蝶屋敷の庭にめぐみの光を与える。
今までは黒々と、灰色だった庭にも、緑色の芽が伸びてきて、白、黄色、薄紫と、小さいけれど小さな花も見える。
木々にも緑や薄桃色
艶やかで、華やかな季節がやってきた。
それを横目に見つめながら
「やられたのが利き手というのが痛いよねぇ」
蝶屋敷の個室のベッドの上で、美しい大男が嘆息した。
「俺は右利きだけど、左もそれは器用に使うことが出来る。
でも、両手でないとできないことも、たぁくさんある。
ナイフは左手でも扱えるけど、支える手がねぇ
……
それに」
童磨の両腕はバンザイをしたようにベッドの柵に括り付けられ、どちらの手も使うことは出来ない。
そして、両脚も柵に括り付けられ、さながら西洋の小説に出てくるリリパット王国の巨人のよう。
唯一違うと言えば、全裸
何一つ身につけていない、生まれたままの姿ということだろうか。
そんな無様とも言える姿で、にこやかに、何かを懇願してくる。
それが何か察したしのぶは、無言で林檎をひとつ手に取り、クルクルと剥き始めた。
八等分に切り分け、ようじを刺し
「どうぞ」
皿に乗せて童磨の眼前差し出した。
「いやーん、これじゃ食べられなぁい❤しのぶちゃんのいじわるぅ」
童磨がおどけると、仕方ないなという顔をし、一片の林檎を童磨の口に運んだ。
「あーん❤あむっもぐもぐ」
童磨は幸せそうに林檎を頬張る。
すっぽんぽんで、両手足をベッドに括り付けられていなければ、ツンデレ女とワンコ系大男のラブイチャカップルなのだが
「ところで
……
」
童磨が突然大真面目な顔になる
真面目な顔をすると、キリッとした、それなりにいい男だな
……
と、どきりとしながらしのぶは
「なんでしょう」
そう応えた。
「春は世界に色彩を添える。
暖かい、善い季節だ。でも、朝晩は冷える。
三寒四温と言い、昼間でも肌寒い日もある」
「ええ、そうですね」
もう、しのぶは童磨が何を言いたいかわかっている。
でも、分からないフリをした。
童磨はひとつ息を吐き。
「さむぅい、なにか着せて。解いて。服返してよぉ」
おどけたように、でも大真面目にしのぶにもうひとつの懇願をした。
だが、しのぶの返事はつれないもの。
「ダメです。誰ですか。痛み止めと化膿止めを一日三回十日分だと言って渡したのに、いっぺんに全部お酒で流しこもうとしたのは」
おかげで、そこまで重症では無いのに、蝶屋敷の娘達に薬を管理するという手間までかけさせることになった。
「眠れなかったんだもぉん」
「あれに睡眠薬は入ってません。あんた服薬自殺する気だったんですか?」
しのぶは目を三角にして怒る。
「な、訳ないじゃん。そりゃあ生きてたって楽しくないよ。でも死ぬ理由もない
…
」
しのぶは、かつてのカナエの言葉を思い出す。
───本当に危ないのは沈んでいる人ではなく、笑ってる人よ。
沈んでいる人は、その気を起こす程の元気がない。気力が出た時が危ないの───
童磨には、無自覚の希死念慮があるという懸念をしのぶは抱いていた。
日頃、木の芽時と思われる人の相手ばかりしているから。
そんな話ばかり聞いていれば、どんな人でも気が沈む。
自分より惨めに見える人 、女子どもを見下して溜飲を下げている人の娯楽、見世物として振舞って来たから。
そんな目に会い続ければいかに仕方ないと思っていてもやりきれない。
でも「本当のことだから」と、言い返すこともせず、笑って受け流してきたが
……
時々限界が芽吹くのだと思っている。
しのぶにだけ見せる、陰鬱な表情。
だから言い返した。
「やる気出してるじゃない」
やる気
……
しのぶの、その言葉の意味を童磨は察した。
「やる気はあるけど、 そのやる気はないよ。だから、服返して」
「だーめでーす。服の中に何か危険なものを隠す気でしょ」
そう、だから剥いた。
服の中に薬物や刃物を忍ばせないために。
「危険なものって何さ。しません、しませんってば」
その時、童磨の逸物が微妙に膨らみ、モジモジしだした。
欲情したのでは無い。
これは
「あら、あなた御手洗に行きたいですか」
そうだ、薬物を過剰摂取したのを吐き出させるため、水分を大量に飲ませたんだった。
「へ?ん
……
そりゃあ
……
でも右手ぱっくり切って縫合しただけで、他は
……
自分で出来
……
」
そこまで言って、童磨は目を見開いた。
しのぶが無言でニチャァっと笑い、尿瓶を出したから。
好きな子の前で裸体を晒すだけでなく、排泄まで晒す。
これ、なんて言う羞恥ぷれいだろう。
「あー!!!!いやー!!!!なにこれー?やだ、ちん
……
あの、つまんじゃダメー」
「貴方、今死んだら、この事を面白おかしく脚色して言いふらしますよ。どうです。死んでも死にきれないでしょう」
しのぶに本当にその気は無い。
だけど
生きる執念のようなものを与えたくて
悪者になるつもりで言った。
この男に生きる希望も、執念も与えた者がいないのであれば、羞恥と恨みで良い。
糧になってやろう
「あー!!やだー!!!恥ずか
……
やめてー」
童磨の無様で情けない悲鳴がこだました。
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