fedge
2025-04-05 02:39:54
1322文字
Public Pixiv非掲載
 

猫の日

2025/2/22に画像でXに掲載した分のlogです

自分で買ったわけではない。ただここに猫耳カチューシャがあるのは確かな事実だ。
というのも、これはいつだったか大学の友人たちと宅飲みをしたときに、ふざけてド○ンキホーテで酒とつまみとそのついでにと買ったものだ。その時は「耳が4つだ!」「それは君が付けても4つだろ!」とくだらないことで笑ったのだった。飲みの会場はイファの家だったはずだが、何故だかオロルンの荷に紛れており、引っ越しの際にも処分しそこねた末に、スラーインと暮らすこの新居にまでついてきてしまった。
そして今、思い出したかのようにオロルンの手にそれが握られている。
二月二十二日……今日は『猫の日』らしい。
本来であれば、猫カフェにスラーインと出かける予定だった。だったのだ。朝早めに起きて、猫たちが元気な午前中に行こうと、そう思っていた。
だが早起きの予定は崩れ去った。というのも昨夜、スラーインは日を跨ぎ更に丑三つ時を過ぎるころまで仕事に明け暮れていたのだ。そんな疲労困憊で帰ってきた恋人を、無理に早起きさせて連れ出すなんてことは、オロルンにはできなかった。
もちろんスラーインは、約束なのだから行くと言ってくれたが。オロルンがそれをよしとしなかった。代わりにたっぷり休養を取ること。夜に美味しいものを食べに行こう、とだけ決めた。

そう決めたのだが。
やはり『猫の日』らしいことをしたいなとは思ったため、こうしてここに猫耳カチューシャが握られているのであった。
日程は二月二十二日、時刻は昼前。ターゲットは、眉を寄せてベッドに横たわる黒い長髪の美丈夫……スラーインだ。寝ているときくらいその眉間の皴消えないかな、と思いつつ、今回の作戦を実行する。
オロルンは起こさないようにそーっと、寝ているスラーインの頭に、手にしているカチューシャを付けた。

「んんっ」
!」

一瞬身を捩られ、起こしてしまったかと焦ったが、どうやら起きてはいないようだった。
ほっと胸を撫でおろし、立派な猫耳がついたスラーインの寝顔を眺める。ふさふさとした大きめの黒い猫耳が、スラーインの頭にちょんと生えている。

……かわいい」

自身と同じように獣耳が生えた……もとい、獣耳を生やされた恋人を見て、思わず顔がにやける。
目に焼き付けるだけじゃ足りない、これは写真を撮らねばとスマホを出してカメラを起動、内カメにして顔を寄せ、ネコミミスラーインとのツーショットを撮ろうとした……その時。
カメラを構えていた腕をぐいと掴まれ、そのまま抱き込まれるようにベッドに引き込まれた。

「何を……している……
「あ、起きちゃった?……おはよう、スラーイン」
「寝ている隙を狙わずとも頼まれればいくらだってやってやる……

未だ眠そうな声のまま、オロルンをぎゅっと抱きしめて離さない。……離さないまま、また夢の中へと落ちた。身動きが取れなくなったオロルンは困りつつも、まぁあと少ししたら起きるだろう、とさらさらとした彼の黒髪を撫でた。

しっかり起きてからも、家に居るあいだずっと付けてくれていたスラーインは本当に優しいと思う。
……そのままディナーに出かけようとしたのは、流石に止めたけれど。