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A4
2025-04-04 23:32:16
778文字
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こどものころは/ nkmy
「どうしたんです」
温かい紅茶の入ったマグカップを二つ手にして、ソファにやってきたマヨイはニキの指先を見て眉を下げた。絆創膏を巻いている。
「これ? 火傷しちゃったっす」
ニキはあっけらかんと言ってマヨイからマグカップを受け取った。
「うっかりして、お湯を沸かしてたヤカンにあたっちゃって」
「それは災難でしたね」
「アイドルになる前は日常茶飯事だったけどね」
ニキは火傷した人差し指をかざしてまぶしそうに目を細めた。
「親がなんでもさせてくれたから、包丁も同年代の子より早く握ってたし、そのときは指全部に絆創膏巻いてたなあ」
「全部に!」
「包丁だけじゃなくて皮剥き器ですっちゃったり、今みたいに火傷したり、とにかくたくさん。でも2人とも僕から包丁は取り上げなかったっすね」
「とくにお父上は嬉しかったんじゃないですか」
「どうだろ。今度聞いてみようかな」
マヨイはマグカップをサイドテーブルに置くと、両手でニキの手をそっと握った。かたく結ぶというより、包み込むように触れた。
「どうしたんすか、急に」
「どうしたんでしょうね、急に」
マヨイは自分でも戸惑っていた。
「でも、こうしたくなったんです。小さな頃の椎名さんにこうできたらよかったなって」
「
……
マヨちゃん、ちっちゃいこ好きだし?」
「茶化さないでください!否定はしませんけど」
「うん、今のは照れ隠し」
ニキはこつんと額をマヨイの肩口に当てた。
この顔を見られたらきっとマヨイは呆れるだろう。
にやにやとだらしなく、緩んでしまう。
「ありがとう、マヨちゃん。昔の僕に言っとくね」
「はい、よろしくお願いします」
マヨイは律儀に言った。
肩に頭を乗せて甘えるニキは十分ちいさなこどもに思えたが、それは言わなかった。こどものように見ていると知ったら、なんだか面倒なことになりそうだったので。
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