かん
2025-04-03 16:55:12
7135文字
Public
 

久しぶりにアイドル幼馴染のLIVEに参加したら、合間合間に何故か目が合う。

山﨑天さん



『ご用意できませんでした』






〇〇:終わったー



部屋でひとり、膝から崩れ落ちる。


櫻坂46、4th YEARS ANNIVERSARY LIVE



結果、全落。




欅坂の頃から応援していたそこそこの古参。

でもここ2年、大学受験でLIVEに行けなかった。

そして勉強が落ち着いてきた現在。

久しぶりにLIVEに応募してみたものの



〇〇:ガチか



2年前は何回かは当選してたのに今では一回も当てられなくなった。

こんなに変わるとは。

嬉しいけどちょっと複雑。



バイト頑張ったのになぁ

推しの姿を見たかった

レス欲しかった



〇〇:うわー



これはしばらく立ち直れそうにない。




一旦配信か




ブーッ ブーッ ブーッ ブーッ


〇〇:



スマホに着信が



これは


もしかして追加当選。




〇〇:はっ!?



慌ててスマホを確認する。




〇〇:非通知


とりあえず出てみる。





??:あっ!でた、久しぶり〜



聞き馴染みのある声だった。


〇〇:なんで番号知ってんの?



天:気づいたらスマホに入ってた!





〇〇:説明になってない



これはこれでサプライズ。


幼稚園からの幼馴染から。

しかもアイドル。


そしてずっと自分が片想いしている相手。

天がきっかけでこのグループを知った。



天:なんで連絡先変えたの!?


〇〇:気分


これは真っ赤な嘘。

彼女に会いたくなかった。


頭に残り続けるから。

今まで付き合った彼女ともうまくいかなかった。

頭に彼女がちらつくから。


だからここ2年くらい、勉強を言い訳に
会わないようにしていた。

でもその作戦は逆効果で、会えないからこそ
気持ちがどんどん膨らんでいる。



天:まぁいいけど♪


何故か声が明るい幼馴染。


〇〇:なんか機嫌いい?


天:さすが〇〇!よーわかってるや〜ん♪


幼馴染


〇〇:なんかあったの?


天:久しぶりに喋ってそれ〜?なんかもっと言うことあるでしょ〜


〇〇:例えば?


天:んふふ〜可愛くなったねぇ、とかぁ?


〇〇:電話じゃわかんないよ


それに昔からずっと可愛いよ


なんて言えるはずもなく。



天:お世辞でもっ!一応アイドルだしっ!


〇〇:


いっぱい言われてきてるだろ

別に俺じゃなくても。



〇〇:それで、なんかあった?


天:意気地なし


〇〇:なに?


天:なんでもないっ!!



急に怒られた




天:〇〇って11月なんか予定ある?


〇〇:あった


当選さえしていれば。


天:あったってことは、今はない?


〇〇:ない


天:じゃあちょうどいいかも!


〇〇:なにが


天:〇〇さぁ





天:櫻坂のLIVE、観に来ない?





〇〇:なに?


天:だからぁ今度のLIVE、来ない?


〇〇:えいいの?

体が熱くなるのを感じる。


天:"たまたま"、たまたまLIVEのチケット余ってて


そんなことあるのか?

いやあるのか、メンバーだし。


天:私のところに回ってきたから、
〇〇どうかな〜って


〇〇:俺なんかにいいの?


関係者でもなんでもない。



天:まぁ今回は特別に幼馴染ということで!





〇〇:よっしゃあぁぁ!


騒音お構いなしの大声で喜ぶ。

人生で初めて幼馴染という関係に感謝した。



天:それに〇〇と2人っきりで


〇〇:やばいLIVE


天:全然聞いてないっ!!




嬉しい2年ぶりの生櫻坂。



天:関係者席ないけど、大丈夫?


〇〇:むしろそれが嬉しい


隣に芸能人とかOGとかいる状態で素直に楽しめるはずがない。


〇〇:久しぶりの櫻坂


天:最後に来たのってAs You Know?


〇〇:そう東京ドームの、だから幕張メッセも
初めて


天:……ん?


〇〇:うわまじで嬉しい、いやほんとに
ありがとう


天:……違う


〇〇:結構グッズとか準備してるから


天:違う


〇〇:久しぶりだからコールもう一回
練習しないと


天:違うっ!


〇〇:なにが?


天:場所


〇〇:いやあってるよ、アニバ幕張でしょ?


天:だから、違うって!


〇〇:なにが?


天:バスラじゃないっ!


〇〇:いや幕張でやるでしょ?


天:香港!





〇〇:……ん?







天:今度の香港LIVEのことっ!


〇〇:何県?


天:えー香港のことわかんないし





〇〇:ちょっと待って


香港って


〇〇:海外?


天:そうっ!


〇〇:え移動飛行機?


天:そうっ!楽しみ〜


〇〇:それは無理だ


天:なんでっ!?行けるって言ったやん!


〇〇:一番最初に海外でやることを
言うべきでしょっ!?


天:でも11月予定ないって!


〇〇:流石に海外は


天:ホテルとか飛行機もこっちで用意する!


〇〇:いやー


海外か


天:じゃあ〇〇こーへんの.?


〇〇:香港


天:


〇〇:拗ねてる?


天:行くって言った


〇〇:ごめん



天の悲しい顔に弱い。

今でも鮮明に思い出すくらい、忘れられない。


天:〇〇行くって言ったやん


〇〇:うーん


天:楽しみやったのに


〇〇:


天:わかった、じゃあまた


〇〇:行く


天:……え?


〇〇:行く、香港。


反射的に言葉が出た。

後先なんて考えてない。



天:ほんとっ!?


〇〇:行く


天:よっしゃー!!

ガッツポーズしてる幼馴染が想像に容易い。


〇〇:いつ?LIVE?


天:29!


〇〇:わかった!じゃあまた


天:〇〇ありがと!


〇〇:こちらこそ


天:なに?


〇〇:なんでもない、じゃあね


天:またねっ!





*****   ***** *****






〇〇:やっとやっと着いた


櫻坂のLIVEが始まる2分前。

なんとか会場へ到着。



そもそも海外が初めて、しかもひとり。


一日中テンパりまくり。


まさか機内に持ち込めるペットボトルの長さが
決まっているなんて。

機内食の英語、テンパって選択肢にない
パスタって言ったし

天が用意してくれたホテル、予約の名前が山﨑天
なこと、知らなくてフロントとちょっと揉めた。

タクシーでぼったくられたし




〇〇:疲れた

まだLIVEが始まってもないのに



でも周りには、この国のbuddiesがペンライトを
持って彼女たちを待っている。

こんなところまで彼女達の軌跡が繋がっている
ことに、ちょっと感動。




buddies!

櫻坂!

buddies!

櫻坂!




あまり日本では聞かれないコールが、始まる前
から叫ばれている。


〇〇:2年でこんな変わる?

多分、海外だから。



〇〇:あっ


会場に、どのLIVEでも絶対流れるあの曲が。


遂に

やっと


〇〇:やばい泣く


そんな曲じゃないはずなのに


〇〇:うぉっ!来た


メンバーがぞろぞろやってくる。


初めて生で観る3期生


逞しくなった2期生


推し


そして幼馴染。






〇〇:やっば


そこからは圧巻だった。




まず承認欲求


森田大先生、久々のセンター曲。

叫び過ぎて記憶がありません。

最高でした。




そして




何歳の頃に戻りたいのか?

久しぶりに天のセンター曲を観た。

二曲目にして早くも二度目の号泣。

イントロやばい。

途中から涙で前が見えなかった。

これでは来た意味がない。

でもこの曲を聴けただけで、ここに来た意味が
あったと言い切れるくらい最高だった。


そしてそこからMCに。


しかし、ここで事件が。


「櫻坂46です!」


〇〇:ほんものだぁ

いつもしてる挨拶に大興奮。

キャプテンがおそらく現地の言葉で挨拶してる。



〇〇:あっ夏鈴ちゃん!

推しの夏鈴ちゃんが水を飲んで戻ってきた。



夏鈴:最高ありがとう


〇〇:うわぁぁぁ!


生で推しの声を聴くと鳥肌が収まらない。



夏鈴:じゃあ天ちゃん


天:ハァ〜イ!

幼馴染が慣れない英語で挨拶する。




意外とステージから近いな


まずいか

"藤吉夏鈴"が大きく描かれたタオルを首に
巻いてる。

ペンライトも夏鈴ちゃんの。


あいつにバレたらやばいかも


とりあえず、タオルを仕舞おう


天:あっ!


〇〇:あ


完全に目が合った。


あっ、って言ったし。


いやでも勘違いかも







あぁ、バレたわ。


天:えへへ

ニコニコで手を振る幼馴染。



でも無視はまずいので軽く振り返す。


〇〇:長い


さっきからずっと振ってる。

周りのお客さんがこっちをめっちゃ見てる。

流石にダメだろ

めっちゃ恥ずかしいし。


松田:それでは、次の曲、どうぞっ!


天:はっ!?

慌てて立ち位置に着く天。


〇〇:何してんの

相変わらずでちょっと安心。




その後も夏鈴ちゃんセンターのなぜ恋、スタオバを生で観れた。

摩擦係数や自業自得も迫力がやばかった。



松田:ありがとうございましたほんとに

スタオバ終わりのMC。

多分次で最後の曲。

悲しいけど、生で観れて本当によかった。


〇〇:か、夏鈴ちゃん

最後くらい、推しにレスを






バッチリマークされてる。

そこにいるの知ってるよ!、って感じか。


〇〇:(目立ってる!やめろ!)

届くかもわからない口パクで伝えてみる。


天:んふふ

なにも変わらない。

むしろノリノリ。

これはタチが悪い。

届いたけど、わかってやってる。


〇〇(目立ってる!)


天:えへへおーいっ!はっ!?


松田:天ちゃん?どうした笑?


天:ご、ごめんごめんなんでもない

慌てて口を押さえる幼馴染。


〇〇:なにしてんの

2人して顔が真っ赤になった。




松田:次が最後の曲になります!

それぞれ立ち位置に。

天が何か言ってる。


天:(観てて)

おそらくそう言って立ち位置に。


〇〇:ダメだろ

最後の最後まで幼馴染にしか目がいかなかった。





*****







〇〇:はぁ、楽しかったぁ


帰ってそのままホテルのベッドにダイブ。

余韻がすごい。

LIVEが終わってしばらくしても全然抜けない。

櫻坂のすごさをまざまざと見せつけられた。

3期生、みんな超可愛いしかっこいい。

推しも間近で目視できて、ほんとによかった。

そして、自分の好きな人が頑張ってるところを
この目で確かめられた。

ほんとに行ってよかった。



〇〇:風呂、入ろ

もう明日早くに帰る、ここでやり残したことは
もうない。


チーン



部屋のベルが鳴る。


〇〇:誰





ガチャッ


天:あっ!いた




天だった。


〇〇:なんでここが


天:たまたま押したら〇〇だった!


〇〇:ちゃんと説明し


天:お邪魔しまーす


〇〇:ちょっとおい!


ずかずか部屋に侵入する幼馴染。


天:へぇー綺麗にしてんだ



〇〇:そりゃ一泊じゃ散らかりようがない


俺のベッドにゴロゴロ寝転ぶ天。



〇〇:ちょっと、どうした?


天:えへへ匂いが


〇〇:おーい、聞いてる?


天:ん?なに?


〇〇:なにしに来たの?


天:久しぶりに会って一言目それ〜?
もっとあるやろ〜笑


〇〇:なに


天:言わせるん?


〇〇:可愛いです


天:んふふギリ合格!


〇〇:ちょっおいっ!


いきなり全身抱きつかれて一緒にベッドに。


〇〇:ぐるしい離れ


天:〇〇もかっこいいよ♪


〇〇:暑い、離れろ!


天:照れてる〜


ほっぺをツンツンしてくる。


〇〇:てかこんなとこいて、大丈夫なの?


天:だいじょーぶ、明日帰るし


〇〇:だとしても一応俺男


天:〇〇は?会いたくなかった


その聞き方


〇〇:会いたかった


天:ちゃんとこっち見て


〇〇:天と、会えてよかった


天:えへへ来てくれて、ありがと


〇〇:こちらこそ、ありがとう

思わず頭を撫でてしまう。


天:つかれた


〇〇:お疲れ様、今日のLIVEやばかった


天:でしょっ!天ちゃんの勇姿見えた?!



〇〇:見えた見えた

むしろ見過ぎで他の人を見れてないかも。


天:手振ったのも気づいた?


〇〇:気づかないわけない

周りからすごい人みたいな目で見られたら。


〇〇:流石に長い


天:ごめ〜ん

多分、謝る気ない。


天:んふふ

笑ってるし.



〇〇:忙しいでしょっ?最近


天:そう!もう休む暇ない!


〇〇:だから早く自分の部屋に


天:てことで!今からデート!


〇〇:なに?


天:聞こえんかったん?


〇〇:聞き取れた、その上で


天:デート!


〇〇:アイドルが言っちゃダメな気が


天:だからっ!デート!


〇〇:いや櫻坂のメンバーと


天:はいっ!行こ!

手をがっちり繋がれて部屋を出る。


〇〇:えどこ行くの?


天:わからん!


〇〇:わからん!?

天に手を引かれて一緒に走る。



なんかこの感じが懐かしくて

心が温かくなった。












天:疲れたぁ〜


〇〇:天が、走りすぎ

空はあっという間に暗くなってしまった。


2人で香港の色んな所を回った。

屋台でいっぱい食べたし

船にも乗ったり

天カメで写真を撮ったり撮られたり

濃すぎる時間を過ごした。


〇〇:時間、大丈夫?


天:もう帰らないとダメ


〇〇:そっか



天:今日はごめん、わざわざ付き合ってもらって


〇〇:楽しかった、懐かしくて


天:……うん


天がアイドルじゃなかったら

なかったら、好きって言ってた。


でも天がアイドルになってなかったら

こんなに好きになってなかった。


〇〇:じゃあ、また


天:〇〇


〇〇:おいっ

再び抱きしめられる。


〇〇:やばいやばい、撮られる


天:大丈夫、香港やし


〇〇:だからって.

なんて言いながらも、別に引き離す気には
なれない。

理性に逆らえなった。


天:夏鈴が好きなん?


〇〇:えなんで?


天:タオルペンライトも


〇〇:夏鈴ちゃんは、推し


天:てんは?


〇〇:てんはてん


天:ただの幼馴染


〇〇:違う




〇〇:好きな人、です


天:意気地なしっ


〇〇:おいっぐるじぃ

再び首に強くしがみつく天。


天:んふふ遅い!


〇〇:すいません


天:まぁわかってたからいいけど♪

そう言って自分から離れる。


天:ちゃんと聞いたし!


〇〇:俺だけずるいよ
そっちこそどう想ってんの?


天:まぁアイドルなんでっ!


〇〇:ずるっそれ言われたら


天:えへへじゃあ、頑張るから!


〇〇:うん、これからも見てるから

固く握手する。


天:ありがと!またね!





〇〇:また

大きく手を振ってホテルに走る天。



〇〇:帰ろ

暗くなった道をひとりで戻る。



ここに来て、ほんとうによかった。







……………………………………………………………………








翌日、空港で飛行機を待つ間のこと。


〇〇:なんか人多い

スーツケースを持ってない人が多い。

明らかに誰かを待ってる。




すると


「るんちゃーん」

「ほのすー」



ぞろぞろとやってくる櫻坂のメンバー達。




〇〇:人気すごいな



「天ちゃーん」


〇〇:お




天も手を振って歓声に応えてる。

やっぱり可愛い。


まぁでも昨日みたいに近くないから、気づかないだろう。







〇〇:えっ


なんか、人と人との間で目が合ってる



いや流石にこの距離は気づかないだろう。




『〇〇〜』



〇〇:




天:またね!






〇〇:あいつ




これからもずっと、彼女から目が離せない。




FIN