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溶けかけ。
2025-04-02 21:12:37
696文字
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ほぼ日刊
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あまくてにがい
とある日の神と龍のお茶会のお話。
「私に何かできることはないだろうか?」
呼び出され、限定のケーキと珍しいお茶を嗜んでいた僕に彼は不意にそう言った。
「何かって
……
なに?」
もぐもぐ もぐもぐ ごくん ごくん。
溢れそうになった言葉の欠片はケーキの破片と一緒に咀嚼して、よくよく噛み潰したら、紅茶で一気に流し込む。
やさしさ、は時にはどんな麻薬より染み込んで、どんな毒より残酷だ。
はっ、と嘲笑が口の端を歪ませた。
「君が抱えている荷を軽くすること
……
は出来ずとも
……
分かち合うくらいはできないだろうか?」
彼の瞳は真っ直ぐで、正義感に満ち溢れていた。まるで、そうすることで事態が好転するのだと信じているかのようだった。
──そんなこと、あるわけないのにね。
数百年間、予言と向き合い続けてきたフリーナがそのことを一番よくわかっていた。
僕の為すべきことは単純かつ明快でそれなのにどんな難問よりも難しい。喋らず、悟られず、神として生きていく。そのことに後悔はないけれど
……
やっぱり少しだけ────くるしい。
本音を紅茶とともに飲み込めば苦いものが胸を広がっていく。せっかく、美味しいケーキだったのにな、なんて、詮無いことが頭を過ぎった。
「へえ? だから?」
フリーナの言葉にヌヴィレットが目を細めた。眉間にはしわが寄り、薄紫の瞳が咎めるようにこちらをじっと見つめる。
「キミにできること? 人間との意思疎通すらまともに取れないキミに、そんなものあるはずがないだろう?」
僕は、僕の舞台を踊りきる。
そのためならば、どんな嘘だって本物にしてやろう。
それが、みんなを守るためなのだから。
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