三毛田
2025-04-01 21:05:00
1076文字
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49 09. 気を引きたいだけ

49日目
君の気を引きたいんだ

 ずっと怒られなかったから、今日も大丈夫だろうとそっと後ろから抱きつく。
「穹」
「ん〜?」
「すまないが、今日は抱きつくのをやめてもらっていいか」
「ぇ」
 コンソールを操作する手が止まったかと思うと、そう告げられ。
 まさかそんな事を言われるとは思っておらず、唖然呆然。
「それと、一人にしてくれたら嬉しい」
「ど、どうしたんだ? 具合でも悪いのか?」
「それに近い状態だ。明日には落ち着いている、はずだからを頼む」
「うう……わかった。丹恒の気を引きたくて抱きついてただけだから、我慢する」
「ありがとう。良い子だ」
 一切視線を合わせてくれない。そして、詳しい理由も告げてくれず。
 俺はトボトボと背中を丸め、資料室を後にする。
「あれ? 今日は丹恒に構ってもらわないの?」
「一人にしてくれって言われた」
「あー。あの時期がきちゃったんだ」
「あの時期って何さ」
 俺が拗ねたように問いかけると、なのは
「ウチが列車に乗った時から、時々あるんだよね。しばらく資料室から出てこないで一人になりたがるんだよ」
「そういう時、素直に一人にしてあげてる?」
「うん。その間は護衛が必要ないようにしてるし」
……理由、教えてもらえないかな」
「うーん。もう少し、心を開いてもらえたら。穹なら教えてもらえそうだけど」
「そうかな~?」
「うん。ウチの女の勘がそう言ってる」
「信じられないな」
 と言うと、ドスッと一回脇腹に拳。
「悪かったって」
「本当だよ」
 怒られました。
 それから数日。
「穹、心配をかけた」
「ううん。大丈夫か?」
「ああ」
「どうしてだったか、教えてもらえる?」
 恐る恐る問いかけるけれど、一瞬表情が強張って。
 ああ。まだ踏み込んでは駄目だった。
「無理しないでいいから。今大丈夫だったら、抱き着いていい?」
「大丈夫だ。ほら」
 問いかけると、少々戸惑いつつ両手を広げてくれて。そこに飛び込んで、胸に頬ずり。
「えへへ」
「お前は……
「抱きしめて欲しいなって」
「仕方ないな」
 おねだりすると、抱きしめ返してくれて。
 丹恒が、一人になりたいという理由を知ったのは彼が龍尊であると知ってからだった。
「で?」
「発情期だ。数日一人でこもっていれば治まるから、放っておいてもらって大丈夫だ」
「発情期……あるんだ」
「多分俺だけだ」
「ふうん」
 上から爪先まで眺める。
「飲月の姿、えろいもんな。イッテ」
 ぺシッと頭を叩かれた。顔を真っ赤にして、プルプルしている。
「エロいのは事実じゃん。痛いってば」