2025-04-20 00:00:00
724文字
Public 出勝
 

たぶん、きっと、全部

25/2/22発行の出勝本『あの星の行方』https://www.pixiv.net/novel/series/13044118
にいただいたイラストに寄せて書かせてもらいました。(SSはここから更に後のお話です)
ukiさん(@ukiruki_895)、素敵なイラストを本当にありがとうございました…!
二人にきらきらした穏やかな日々が続きますように。




「ん……どうしたの……
 伏せられていた瞼が小さく震える。ほとんど吐息だけの声がまどろみの中で返される。
……べつに」
 応えた勝己の声は掠れていた。
 勝己は右手で出久の頬に触れた。その手のひらに懐くように顔を寄せながら、それでも出久は目を閉じたままだった。
 ひとつのベッドの上で、向かい合って横になっている。出久の腕は当たり前のように勝己の腰に回されていて、けれども眠気が強いせいか力はろくに入っていなかった。
 なのにそこから抜け出すこともせず、勝己はただ出久の目の下を指先で辿る。
 ひとつ。ふたつ。みっつ……
 そうしてそばかすの数をかぞえる。
「かっちゃ……
 出久がうわごとのように勝己を呼んだ。さっきまで甘く熱っぽかったそれがいまはこんなにあどけない。
 胸の奥がじわりと暖かくなって、けれどもそれには気づかないふりをする。勝己は静かに視線を移す。
 その先に、肌の表面を削ったような傷跡がある。そこに見慣れたそばかすはもうないけれど、どこにどんなふうに散っていたかはいまでもはっきり覚えている。
 なくしたわけじゃない。出久はなにもなくしていない。
 なんならそばかすこっちが出久本体だろ。
……ばかかよ」
 勝己は呼気だけで微かに笑う。それからほら、と念を押すように口付ける。
「ん……
 緩く絡められていた足先が擦り寄せられる。一瞬肌が粟立って、けれどもいまさら蹴り飛ばす気にはならなかった。
 出久は完全に夢の中だった。そのくせ次にはいっそう身体を密着させて、幸せそうに「かっちゃん」と重ねてくる。
 首筋をくすぐる癖毛が鬱陶しい。なのにそれすら愛しいように、勝己はそのもじゃもじゃ頭を抱きしめる。