「ん
……どうしたの
……」
伏せられていた瞼が小さく震える。ほとんど吐息だけの声がまどろみの中で返される。
「
……べつに」
応えた勝己の声は掠れていた。
勝己は右手で出久の頬に触れた。その手のひらに懐くように顔を寄せながら、それでも出久は目を閉じたままだった。
ひとつのベッドの上で、向かい合って横になっている。出久の腕は当たり前のように勝己の腰に回されていて、けれども眠気が強いせいか力はろくに入っていなかった。
なのにそこから抜け出すこともせず、勝己はただ出久の目の下を指先で辿る。
ひとつ。ふたつ。みっつ
……。
そうしてそばかすの数をかぞえる。
「かっちゃ
……」
出久がうわごとのように勝己を呼んだ。さっきまで甘く熱っぽかったそれがいまはこんなにあどけない。
胸の奥がじわりと暖かくなって、けれどもそれには気づかないふりをする。勝己は静かに視線を移す。
その先に、肌の表面を削ったような傷跡がある。そこに見慣れたそばかすはもうないけれど、どこにどんなふうに散っていたかはいまでもはっきり覚えている。
なくしたわけじゃない。出久はなにもなくしていない。
なんなら
そばかすが出久本体だろ。
「
……ばかかよ」
勝己は呼気だけで微かに笑う。それからほら、と念を押すように口付ける。
「ん
……」
緩く絡められていた足先が擦り寄せられる。一瞬肌が粟立って、けれどもいまさら蹴り飛ばす気にはならなかった。
出久は完全に夢の中だった。そのくせ次にはいっそう身体を密着させて、幸せそうに「かっちゃん」と重ねてくる。
首筋をくすぐる癖毛が鬱陶しい。なのにそれすら愛しいように、勝己はそのもじゃもじゃ頭を抱きしめる。
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