いきなりだが、地球にとんでもないことが起きるらしい。嘘と言えばそれまでだが、地球から見える月に穴が空いた。あるいは真っ黒なシミができた。
月にできたシミは地球上で話題になっているようで、色々な人が空にカメラを向けている。学校でも月にできたシミの話でもちきりだし、俺のクラスメイトも例外ではなく。
「フッ、我がソウルメイトよ。月に穴があくとは不穏な匂いがするな」
昼休み、俺の席を占拠したクラスメイトの霧矢は言った。こいつは厨二病、すぐにソウルメイトだの左目が疼くだの言うのだ。
まあ、霧矢なら月に穴が空く事態は好きだろう。
「お前はこういうの好きだよな。写真は撮ったのか?」
「フハハハ、貴様のようなソウルメイトとともに邪悪な月を見る! そのためにあえて写真は撮らんのだ!」
つまり霧矢は俺と穴の空いた、もしくは大きなシミのある月の写真を撮りたいからまだ写真を撮っていないのだという。
「おー! 俺も見てえよ! あの月!」
なんて言ったのは強面のバカ。本名は板田耀。なんかつるんできた柔道部のバカだ。霧矢ともどもぼっちだった俺に絡んできた。
「月なー」
そんなことを言う俺の名前は璃空。クラス替えで親友と離れ、今はぼっち。クラスでは空気
……のつもりだったがなぜか厨二病とバカに絡まれている。
話を戻そう。
俺はシミのある月には結構興味がある。だから。
「満月の日、耀の部活が終わったら一緒に写真撮るか。三星川の河川敷で」
俺は提案してみる。
「決まりだな。くっ、共鳴するぞ
……!」
霧矢は相変わらずだ。
そうやって駄弁って、月を見て。なんてことをして数日が過ぎた頃だ。新学期になってから1ヶ月は過ぎているというのになぜか転校生が来た。
「では挨拶してくださいね、暁月さん」
「はい。暁月かぐやです。まあ、色々あってこのクラスに来ました。よろしくお願いします」
転校生は担任に言われて自己紹介、挨拶をする。
転校生の暁月かぐやは黒髪ロングぱっつんの小柄な女子生徒。庇護欲を掻き立てるがどこか一筋縄ではいかないよう。顔は美人というよりは可愛らしい系統だろうが、眼鏡をかけていることで知的にも見える。
第一印象は、「図書館にいそう」だ。
「暁月さんは空いてる席に
……だから、右側の後ろ。静岡くんの隣ね」
俺は担任の言葉を聞いて右側の席を見た。
うん、気付かなかった。ここに新しく机が置かれていたなんて。
暁月さんは前から歩いてきて俺の隣に座り。
「よろしくね。もしホワイトボード見えなかったらノート見せてよね」
席に座るとき、暁月さんは微笑んだ。まあ、適度に絡んでくれとは思っていたが。
このとき、俺は知る由もなかった。暁月さんとの出会いが俺の人生を変えることになると。
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