yuugetu
2025-03-31 13:34:45
2331文字
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襲撃

WA3本編終了後
賞金目当てのチンピラ(モブ)の襲撃と撃退劇
急に始まって急に終わります…

 探索を終え、四人は遺跡入り口のホールへ戻った。  
 遺跡探索に慣れているとはいえヴァージニア達も疲労し消耗していた。遺跡の出入口から遺跡内に射し込む光から見て、日の入りにはまだ少し余裕がありそうだ。急げば暗くなる前に宿に戻ることができる。
 しかし出口に向かおうとしたジェットが、急に足を止めた。
「待て。何か……
 素早くアガートラームを構え、壁に身を隠して外の様子を伺う。その行動に一気に緊張感が高まった。ヴァージニア、ギャロウズ、クライヴも臨戦態勢に移る。
 ジェットは足元に転がっていた拳大の瓦礫を拾い上げ、外へ投げた。瓦礫が地面に落ちる音と共に数発の銃声が辺りに響き、出口付近の地面が爆ぜた。
 その様子を四人は冷静に観察する。
「岩影に何か動いた」
 入口に一番近い位置にいるジェットが呟いた。遺跡周辺には岩場が多く、地面の亀裂も数ヶ所ある。そのいずれかから狙っているようだ。
「何人いるかわかりましたか?」
「岩の影に五人」
「こっちからは地面の亀裂に三人見えたぜ」
 ジェットとギャロウズがクライヴの問いに答える。
「高所にも二人います。少なくとも十人ですか……。どうしますか?リーダー」
 ヴァージニアは思案した。遺跡を出たところを蜂の巣にするつもりなのだろう。
「まだどこかに何人か隠れてるかもね……。やっぱり賞金目当てだと思う?」
「その可能性が高いでしょうね」
「どこの誰だか知らねえけど、こっちが疲れてる所を狙うってのはケツの穴がちいせえな」
「真っ向勝負で勝つ自信がないんだろ。人数揃えて待ち伏せってのは悪い手じゃない」
 ギャロウズが肩をすくめて軽口を叩くと、ジェットがあっさりした様子で応じた。そんなことを言いながらも、誰一人気を緩めてはいない。
「クライヴの狙撃で退散してくれるかな?暗くなる前にどうにかしたいところだけど……ちなみに残弾は?」
「五です」
「そう、それなら……


 男は岩影から遺跡の入口を探っていた。先ほど何かが飛び出し数発の銃弾が撃ち込まれたが、人ではなかったようだった。それからしばらく動きはない。
 しかし、唐突に銃声が響いた。
 巨岩の上に陣取っていた仲間が、悲鳴もなく転げ落ちる。
 事態が把握できないうちにもう一発銃声が耳に届く。もう一人、高所にいた者が姿を消した時にやっと狙撃だと気がついた。
 遺跡内部の様子を確認しようとしたが、敵の弾がこちらの足元のあたりを穿つ。慌てて岩陰に顔を引っ込めた。
 聞こえたのは狙撃とは違う銃声だった。狙撃手を援護するために、敵の仲間がこちらの動きを牽制したのだろう。
 この短時間で襲撃者の位置をどこまで把握しているのだろう?夕日が差し込んでいるにもかかわらず、自分達は内部の状況が把握できていない。
 何の対応もできないうちに、さらに三発の狙撃音が荒野の乾いた空に響いた。計五人が狙撃され戦闘不能になる。
 銃声の数から狙撃手が一発も外していないことに気がつき、思わず背筋が凍った。とんでもない命中精度だった。
 四人の仲間が逃走する姿が遠くに見える。仲間は自分を含め十五人。あっという間に半分以下になってしまった。
 男は恐ろしさに逃げ出したくなった。だが男のいる位置は敵に近すぎて、少し動けば途端に撃ち抜かれる危険がある。
 敵の弾丸がどれほど残っているかわからない以上、狙撃手を倒すために敵に近づくしかない。生き残った五人の仲間が同じ結論に達したらしく、上手く岩場を盾にしながら近寄ってきていた。
 男が目配せすると、仲間達も頷く。
 全員が一気に岩陰から飛び出し入口の中へと銃口を向けた、その瞬間。
 引き金を引く直前に、男達全員を巻き込んで竜巻が吹き荒れた。こんな局所的な竜巻が瞬間的に発生するなどあるはずがない。しかし砂と風が吹き付け、男はたまらず動きを止めた。
 取り巻く砂の先に赤と白の何かが閃き、同時に黒いものが振り下ろされるのがかろうじて見えた。
 がつん、という頭部への衝撃と共に、男の意識は途切れた。


 ヴァージニアは警戒を解かぬまま、遺跡の出入口から歩み出た。
 ギャロウズのアルカナが吹き荒れた入口付近は、砂と小石がほとんど吹き散らされてさっぱりしていた。
 ジェットがアガートラームで殴り付けた男を後ろ手に縛り、他の五人も縛られて周辺に捨て置かれている。
 男が意識を取り戻すまでに、そんなに時間はかからなかった。
 男は大柄でいかにも荒くれ者だ。しかし先ほどの行動から見て、渡り鳥だとしたら腕が良いとは思えない。大人数で行動していたことからも、渡り鳥ではないように思われた。
「この程度で私達の相手ができるなんて思ったの?」
 ヴァージニアが男の前に仁王立ちで凄んで見せる。しかし可愛らしい容姿のヴァージニアが威圧的に振る舞ったところで、いかにチンピラとはいえ身の危険を感じるのは難しいらしかった。
「どうして私達を狙ったの?」
 何を言われても男はぼんやりとした視線しか返さない。
 しかし、その瞳がある一点で焦点を結ぶ。瞬間、表情が恐怖に歪んだ。
 視線の先を追いかけると、自身の身長ほどのライフル──ガングニールを携えたクライヴの姿があった。彼は男の変化に気づいてにこりと笑いかける。
「おや、狙撃がそんなに恐ろしかったのですか?」
 男は明らかに怯え、びくりと肩を震わせた。逃げ道を探すように視線を彷徨わせ、態度の変わりように困惑するヴァージニアに泣きそうな顔で訴える。
「た、助けてください……ッ!」
……じゃあ、質問に答えてくれる?」
 ヴァージニアが呆れて言うと、男は必死で頷いた。