kgsg_hirg
2025-03-29 22:47:59
1007文字
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かくれんぼ

勝手に治北ワンライ3/29

「昔隠れへんかったですか?」
「ちっさい頃?」
「はい、身体ちっこいから隠れられたんやけどなぁ」
 幼い頃の記憶をなぞりながら保健室のベッドのカーテンを引く。保険医が出張だとかで居ない保健室なんて都合がよすぎるのだ。
 三限が終わってすぐの休憩、少し腹が空いた。
「隠れるんはええけど体調もうええんか?」
「もう大丈夫です」
 体調不良で保健室に上がり込んだことが彼にまで伝わってしまった。単純に寝不足なのだがそれは誰にも言わない。片割れにはバレていそうだが。
「大丈夫やったらええ。体調悪なったら素直に帰りよ」
 外の光が彼を照らす。同じ高校生なのにこんなに光の似合う人間がいるのだろうか。
 ぼうっと聞いていたことで「大丈夫か?」と顔を覗き込まれてしまった。少しだけ幼くて、どこか可愛く見える顔。
「なんで北さん来てくれたん?」
 彼の心を揺さぶりたくて思わず声に出た心の内。正直確証があるからこその言葉だ。
 まん丸く見開かれた目がより幼く見える。
「心配やったから、やとあかんか?」
 彼にしては少しだけ隙を見せた気がする。表情には確かに出てはいないがもう二年も一緒に居るのだからわからないはずがない。それに、俺はずっと見ていたのだから。
 ぐっと彼に詰め寄って彼が引かぬように腰を捕える。俺よりも少し線が細い。
「お、さむ」
「そんだけです?」
 その心配の影に下心は居ませんか。その問いを空気に放ち彼の目を見る。性格なのか、蛇に睨まれたせいなのか目は俺を捕えたまま。
 外から声がする。邪魔だな、今この空間には二人だけで充分なのに。
 彼の腰を引いたままさっきまで自分が寝ていたカーテンに囲まれたベッドへ連れ込む。
「おいっ」
「質問の答えまだですやん」
 光から彼を隠すようにカーテンを閉めて閉じ込める。彼が乗り上げてミシッと揺れるベッド。
「ね、俺北さんのことわかるようになってきたんですよ」
 彼の太ももの隣に膝を乗り上げると彼は後ろに逃げるように身体をさらにベッドへ乗せてしまった。今まさに彼はまな板の上の鯉だ。
「周りよく見とるけど俺んこと一番見とる。目が合わんけど熱はそこにある……わからんはずないやん」
「それは」
「俺も同じやから」
 俺を見上げる彼の顔は赤く染まる。
 美味そうだなと思うのはこの人が可愛くて愛おしいから。
「すんません北さん」
 予鈴が鳴る。でももう帰せない。