ortensia
2025-03-28 19:53:42
3309文字
Public 傭リ
 

ぶれえめんのよーり隊(他べいかぁおやこ+ぴあそんさん)

そうだ!ドイツ行こう!

  ロバ→リッパー
  イヌ→傭兵
  ネコ→庭師
ニワトリ→ミニ復讐者
  泥棒→泥棒

 むかしむかし、あるところに自称芸術家のリッパーがおりました。しかし、芸術家は自称であったため、いつしか周囲から、殺人鬼の疑いを掛けられ、どんどん居場所が無く成って行って仕舞いました。そこでリッパーは、以前耳にしたことの有った、噂を頼ることにしました。
 その噂とは、エウリュディケ荘園なら、誰でも歓迎、と言うものでした。リッパーはエウリュディケ荘園に行くことにしました。
 リッパーがエウリュディケ荘園に向かう道すがら、動き易さだけを重視したような、布地を目深迄被った風貌の男に、声を掛けられました。
「オイおまえ、こんなところで何してる、怪しいな。」
「怪しいのはそちらでは?」
 相手の男は肩を竦めました。
「おまえ知ってるぜ。その左手。ジャックザリッパーだろ。おまえはおれを知らないが、おれはおまえが怪しい奴だと言うことを分かって言っているんだぜ。」
 今度はリッパーが肩を竦めました。
「一方的に知られていることは、質問に答える理由には成りませんね。」
 男は小首を傾げて、少し考える素振りを見せました。
「おれは、傭兵だ。」
「へえ?ではどなたかに雇われて、わたしをお目当てに?」
「いや、今は誰にも。フリーだが、おれは人は誰しもが平等だと信じている。だから不審人物は例え雇い主であろうと咎めるに値する。」
「おやまあ。これはこれは。」
 リッパーは傭兵の正義感を嗤いました。しかしその愉快さに免じて、答えることにしました。
「わたしはエウリュディケ荘園に向かって居るのですよ。」
「エウリュディケ荘園か。人殺しでも迎え入れると噂だな。」
「ええ。おまえが訪ねても、きっと招き入れてくれますよ。」
「おれは……いや、あそこは確かにきな臭い場所として目を付けて居た。良いだろう、おれも同行しよう。」
「うふふ。やったあ。」
……良いか、おまえを見張って居ることも、忘れるな。」
「ええ、ええ。勿論ですとも。うふふ、うふふ。」
 こうして、リッパーと傭兵は、エウリュディケ荘園に向かいます。
 そんなリッパーと傭兵が、やんややんややりながら、エウリュディケ荘園への道を進んでいると、麦藁帽子とエプロン姿で、見るからに仕事着の娘が、何やらおろおろと困った様子を見せています。
「どうした?」
 傭兵が正義感から声を掛けます。リッパーは少々面倒事のように、その様子を見て居ました。麦藁帽子の娘は動作が幼く、淑やかさに欠けており、土に汚れたその姿は、リッパーの好みの容姿では無かったのです。
「大変なの。エマの仕事場が燃えちゃったの。」
「えっ。火事か!」
「もう火は消えたんだけど、庭師のお仕事が出来無くて。」
「そうか……まあ、あんたが無事で良かったが、困ったことに成ったな。」
「そうね。エマはただ、案山子サマを燃やしただけなのに。」
……なんだって?」
 なんと、庭師が案山子を燃やしたことで、自ら火事を起こしたと言うのです。傭兵にはわけが分かりませんでしたが、リッパーは面白がって、傭兵を押し除けました。
「では。わたし達と一緒にエウリュディケ荘園へ行きませんか?」
「オイ!」
「エウリュディケ荘園、なの?」
 リッパーは、初めと打って変わった態度で、庭師に話し掛けます。
「ええ、ええ。エウリュディケ荘園は、誰でも受け入れてくれるそうですよ。」
 例え案山子を魔女狩りの刑に処すような、可笑しな娘でも。
「じゃあ、エマもエウリュディケ荘園に行こうかしら!」
「そうしなさい、そうしなさい。」
「ちょっと。」
「案山子サマにとっても、それがきっと良いわよね!」
「その通りですとも!」
……大丈夫か?」
 こうして、リッパーと傭兵と庭師は、エウリュディケ荘園に向かいます。
 そんなリッパーと傭兵と庭師が、わちゃわちゃしながらエウリュディケ荘園への道を進んでいると。
「パパ!」
 廃工場前の瓦礫に、ぽつんと一人座っている、ぬいぐるみのような男に向かって、庭師が嬉しそうに駆け出しました。リッパーと傭兵は顔を見合わせます。
「ぱぱ、ですって?」
「そう、エマのパパなの!」
……親父さん……小さいな?」
「そう、エマのパパなの!」
 庭師は、ぬいぐるみのような男をひょいと抱え上げ、自分の麦藁帽子の上に乗せて、大喜びです。
 そりゃあ自分の父親を慕って居れば、出会えた喜びは理解出来ますが、リッパーと傭兵は、その小さなぬいぐるみにタグを見付けました。
 そのタグには「復讐者」と記載されておりました。
……。」
 小さな復讐者は、何も言いません。
 こうして、リッパーと傭兵と庭師とミニ復讐者は、エウリュディケ荘園に向かいます。
 そんなリッパーと傭兵と庭師とミニ復讐者が、そろそろどこかで宿を取ろうとして居ると、何処からか明かりが延びて居ます。明かりの源は人気の無い小屋で、リッパー達が近付くと、何やら騒がしく音が聞こえます。
 一行が小屋の窓からそっと中を覗くと、絢爛豪華なお酒やご馳走様と、金銀財宝の大金を囲んだ人物が、笑いながら、何やら一人で話して居ます。
「ったく、金持ち連中め。あんな嫌味な奴らが金を持って居て、この俺様が貧しいのは可笑しい……そうだ……これは本来、お、俺のような素質有る者が手にするに相応しいんだ……そう、俺が、俺こそが王者だ!」
 傭兵が食べ物を目にごくりとしながら、大声で話して居る内容を聞くと、どうやらこの人物は、盗みを働いて、この暮らしを手に入れたようなのです。
 それを理解した一行が、窓の外でこそこそと話します。
「なんだ。こんな小悪党、追い出してここを宿にしてしまいましょうよ。」
「食べ物、いや、悪者は懲らしめてやるに限るな。」
「小屋の中はなんだか楽しそうなの!エマもパパと楽しみたいの!」
……。」
 一見意見が一致した一行は、泥棒を追い出す作戦に、取り掛かります。
 リッパーは傭兵を肩車し、その傭兵は庭師を負ぶり、更に庭師はミニ復讐者を掲げました。その状態で、窓の外から一斉に、その窓を叩きました。
 中に居た泥棒はぎょっとして自分の功績を褒め称えるのを辞め、窓を見ました。
 そして泥棒が目にしたのは、風の運ぶ土埃で薄汚れ、曇った窓の向こう、大きくて正体が判別出来ない何かの影です。
「ば、化け物!」
 驚愕と恐怖で、泥棒は小屋を飛び出しました。
 作戦が成功した一行は、堂々と小屋の中に入り、ご馳走様と財宝にありつき、眠りに就きました。
 その後、戻って来た泥棒は、小屋の明かりが消えて居ることにまた恐れを抱きながらも、扉を開けて中に入ろうとしました。
 しかし、忽ち目覚めた一行は泥棒を暗闇の中、リッパーが斬り裂き、傭兵が体当たりし、庭師が1000tミニハンマーを振り翳し、ミニ復讐者が鮫のぬいぐるみを振り下ろし、文字通り闇討ちしました。とは言ってもこれでなかなかしぶとい泥棒は、またも小屋を飛び出し、そして二度と戻って来ませんでした。
 一仕事終えた一行は、また、そして、今度こそ、ぐっすりと眠りに就きました。
 自分達の働きに満足して眠った一行は、次の朝すっきりと大変心地良く目覚め、自分達の新しい生活の始まりを感じました。
「このメンバーでテキトーに音楽隊でもやろうかと考えて居ましたが、エウリュディケ荘園に行かずとも、我々にはこの場所が有るではありませんか!」
「久々に良いスリルを味わった。悪く無い気分だ。」
「エマ達の新しいお家なの!」
……。」
 そのため、一行はエウリュディケ荘園に向かうのをやめ、その小屋で、みんな楽しく暮らしました。めでたし、めでたし。
「良いんですよ。おまえ一人で荘園に行って貰っても。別に。」
「おまえに着いて来たのは、第一におまえを見張るためだと、そう言った筈だ。忘れるな、とも言った筈だが。」
「はいはい。精々その似非正義感で、わたしを楽しませてよ。この新生活、目一杯ね!」
 おしまい。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。