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kgsg_hirg
2025-03-28 15:29:04
1295文字
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ひだまりの庭
6月に出す予定の本の尻叩きプロローグです
鬼だって腹は減る。それは生き物だから当然なことで自然の理だ。
自我を持った時にはすでに兄弟と二人だった。親というものは居たとは思うがある程度自分で行動ができるようになれば子は親から離れるようになる。個々で力を持っている鬼は守られる必要がないからだ。鬼という種族に情はない。
食べ物の匂いに誘われて人里に降りてしまったのは仕方のないことだと思う。最近はねぐらにしてる山の獲物も減ってきた。圧倒的強者の鬼が他種族を襲うのは普通だ。しかし人間は襲うことはない。人間には知恵があるからである。弱者でも集まれば脅威だ。他の鬼もよっぽどのことがない限り襲うことはない。
そう思っていた俺が何故こんな所に居るのか。
「
……
腹減っとんのか」
「
……
」
そう、腹が減っているからだ。
「お前どこの村の奴や? 親は?」
その男は茂みから出てこない俺にどんどん話かける。痺れを切らしたらしい男は茂みを覗き込んでこちらの顔を確認した、してしまった。
「
……
つの」
こうして間近で人間と接触するのは初めてだ。思わず目を見開いて固まっていると男は数秒俺を確認したのち何かを呟くと姿を消してしまった。
小鬼とはいえど鬼。恐れたか、もしくは排除のために応援を呼びに行ったのではないだろうか。そんな不安がよぎり、逃げようと足を動かそうとしたが腹が減って動けない。
空腹に身を縮こませているとふんわりと何かの匂いが鼻を刺激した。
――
食い物だ。
「ん、おるな」
先ほどの男が何かを持って戻ってきた。食い物ということだけはわかる。少しだけ甘く、しかし木の実やそういったものではない。
「初めて見たで驚いてしもたんや。気ぃ悪くしたらスマン」
「
……
」
「これ美味いで」
差し出された白く小さな粒を固めた何か。これから美味そうな匂いがする。しかし容易に手を伸ばせないのは男が人間だからだ。
「食べ物で変なことはせん。
……
ん
…………
これでええか?」
俺が食べない理由を察したらしい男はその白い塊を一口食べてみせた。口を何度か動かしたのち口を開きそれを食べたとこちらに見せる。空っぽの口の中、男の胃に流れていったであろう残りを見比べて俺は思わず手を伸ばしてしまった。
穀物だろうそれは俺の知らないもので、ひんやりとした白い粒ひとつひとつ柔らかいがしっかりとした歯ごたえと甘さがあり食べたことのない美味しさをしている。
「うちの米美味いやろ」
「こ、め」
「! おう、この白いんはウチで作っとる穀物や」
気がつけばそれを半分は食べてしまっていた。それほどに美味かったのだ。
「炊き立てはもっと美味いで」
「たきたて」
「鬼が何食っとるかは知らんけど、人間はいろんなもん美味く食えるように工夫すんねん」
美味く食う。食うことが好きな俺にとってぶん殴られたような衝撃だった。
「俺もこんな、美味いもん食いたい!」
思わず身を乗り出して男に叫ぶと、男は驚いた表情をして
――
嬉しそうに笑った。
「ふふ、食いたいんやったら教えたるわ」
そう言うと男は俺の頭を撫でた。
それが男
――
信介さんとの出会いである。
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