だごまる
2025-03-27 02:48:03
7855文字
Public
 

夢か、正夢か(伊剣)

副題:セイバーが5人、食費が5倍!
ほとんどギャグです。湖でセイバーを見失った伊織がアルトリア・アヴァロンから「あなたが見失ったのはどちらのセイバーですか?」と問われる話です。
CP要素は薄めですが、書いている本人は割とノリノリでした。新刊の内容が真面目だったので反動でギャグが書きたくなりました。満足です。原稿に戻り……ま

 マスターである藤丸立香に呼ばれてレイシフトした先、さっそく伊織とセイバーははぐれてしまった。

 あてもなく森の中をセイバーに手を引かれて伊織は進んでいく。

「セイバー、セイバー。待て」

「こっちだ、イオリ!」

「マスターのいる位置が解るのか?」

「いや、解らぬ」

 足を止めたセイバーが首を左右に振った。解らないのに自信満々に突き進んでいたのか。

 伊織の呆れた顔にセイバーが眉を寄せる。

「なんだその顔は。きみだって同じだろうに」

「そうだが、あてもなく森の中を進むべきではないだろう」

 サーヴァントとはいえ、むやみに動いて魔力を消費するのは得策ではない。敵と遭遇した場合を想定して魔力を温存しなければ。

 かと云ってアルトリア・キャスターやロウヒ、アビゲイルがついているとはいえ、マスターの身の安全は気にかかる。

 どう行動したものか、と思案している伊織が目を離した隙をついてセイバーが駆け出した。

「待てセイバー!」

 遅れて気付いた伊織が手を伸ばすも、届かずセイバーの背中が遠ざかる。ため息をついた伊織がセイバーの後を追った。





 セイバーを見失った伊織はセイバーと呼びながら森の中を進んでいた。木々の間を通り、雑草を掻き分けた先小さな湖が現れる。

「セイバー!」

 呼んでも返事はない。伊織は息をついた。

「どこに行ったんだ」

 湖にはいないと判断して去ろうと踵を返しかけた時、水面が揺れて水中から見知った人影が姿を現した。

 金色の長い髪を青いリボンで結い上げた女性。頭上には輝く黄金の小さな王冠、手にはマルミアドワーズを有しているのはアルトリア・アヴァロン。

 アルトリア・アヴァロンはゆっくりと目を開けて翡翠色の瞳で伊織を見据えた。

「アルトリア・アヴァロン殿? このようなところで何を?」

 マスターと行動を共にしているはずのアルトリア・アヴァロンがなぜここに。

 しかも、なぜ湖の中から出てくるのだろうかと伊織は疑問符を浮かべた。

「宮本伊織」

 伊織の問いには答えず、アルトリア・アヴァロンが名を呼んだ。

「あなたが見失ったのはこちらの現代風のセイバーですか、それとも神代寄りのセイバーですか?」

 湖からチェック柄のパンツに黒のジャケット姿のセイバーと、神気を帯びたセイバーが現れた。理解出来ずに伊織が目をしばたたかせる。

 どちらも自分の知っているセイバーではあるが、なぜ二人に別れているのだろうか。

 問いたいことはあるが、今自分が探しているセイバーはただ一人。三つ編み姿のセイバーだ。目の前の二人ではない。

「いや、どちらも違うな。二人は俺の探しているセイバーではない」

「そうですか。正直ですね。では」

 満足そうにアルトリア・アヴァロンが目元を緩めると、パチンと指を弾いた。次に姿を現したのは探していた三つ編み姿のセイバー。

 けれど、またしても二人姿を現した。

「あなたが見失ったのは、甘えん坊のセイバーですか、それとも寂しがり屋のセイバーですか?」

 質問の意味が解らない。自分の知っているセイバーはよく笑い、よく食べる御仁だ。

 「イオリ、イオリ」と名を呼びながら袖を引いてあちらこちらと連れ回す姿を思い出して伊織は緩みそうになる口元を手で覆い隠した。

「ぶっちゃけ、どちらですか?」

 なかなか答えない伊織に煮えを切らせたアルトリア・アヴァロンがもう一度問う。

「俺の知っているセイバーは甘えん坊でも寂しがり屋でもないな。よく食べる元気な御仁だ」

「どちらもセイバーの持つ本質ではありますが、あなたには見せないのでしょうね。いいでしょう。では、宮本伊織」

 一人で納得しているアルトリア・アヴァロンがもう一度指を鳴らす。

「あなたの見失ったセイバーを返します」

 二人のセイバーが消えたのと同時に、一人のセイバーが現れた。眠っているのか、夕陽を切り取ったような琥珀色の瞳は閉じられている。

「セイバー」

 両手を伸ばした伊織の腕の中にセイバーが収まった。

 眠っているだけだと安堵している伊織がアルトリア・アヴァロンを見ると、彼女は小さく笑い翡翠色の双眸を細めた。

「正直なあなたにはさきほどのセイバー全員を贈りましょう」

「今、なんと?」

 聞き違いだろうか。セイバー全員と云わなかったか? 今までアルトリア・アヴァロンが見せたセイバーは四人。

 つまり、四人のセイバーが今から現れるということだろうか。

「待ってくれアルトリア・アヴァロン殿!」

 伊織の制止の声を聞かずにアルトリア・アヴァロンが笑顔のまま「えい!」と指を弾いた。途端に伊織の傍に四人のセイバーが現れる。

 タイミングよく腕の中で目を覚ましたセイバーが伊織を見上げた。

「イオリ?」

「目が覚めたかセイバー。覚めたのならどいてくれ」

「なぜだ?」

 セイバーが不満そうに眉を寄せる。説明している暇はない。伊織は黙ってセイバーの両肩を掴んで横を向かせた。

 そこにはセイバーが四人こちらを覗きこんでいた。

「んな!? どういうことだイオリ! ウワキか? 私という者がありながら他の私に現を抜かすとは!」

 涙目のセイバーが伊織の肩を掴んで勢いよく揺らす。

「俺が聞きたい。アルトリア・アヴァロン殿のいたずらか何かだろう」

「失礼ですね。これはとある方から教わったマーリン魔術。私の問いに正直に答えた宮本伊織への褒美です」

 そんな褒美はいらん。と云いかけて伊織は口を閉ざす。口にしたところで王の気質を持つアルトリア・アヴァロンがこちらの要望に応えるとは思えない。

 すでにアルトリア・アヴァロンは用事は終わりだと云わんばかりに消えようとしている。

「それでは宮本伊織。五人のセイバーをよろしくお願いしますね」

 無責任に云い残してアルトリア・アヴァロンは早々に湖の中へと消えた。残された伊織をセイバー五人が囲む。

「イオリ」

 五人のセイバーにくっつかれながら真っ先に伊織の脳裏に浮かんだのはセイバーが五人になったということは、食費が五倍になるということ。

 つまり、これからマスターへクエストの量を増やしてもらう必要がある。

 伊織は遠い目をしながら青い空を見上げた。






 身体を揺すられる感覚に伊織は眉をひそめる。

……オリ、イオリ!」

 自分の名を呼ぶ声に伊織の意識が覚醒した。目を開けた伊織が勢いよく起き上がり、ゴンと鈍い音が響いた。

「っ」

「痛った! 急に起き上がるやつがあるか!」

 セイバーが涙目で額を押さえている。同じく額に手を添えている伊織は項垂れながら痛みに耐えていた。

「しかし、きみの頭突きは相変わらず効くな」

 涙目のセイバーはなぜか嬉しそうで、伊織は額をさすりながら疑問符を浮かべていた。

「それよりもセイバー。なぜおまえは俺の上に乗っている?」

 掛け布団を隔ててはいるが、セイバーは伊織の上に跨って座っていた。問いにセイバーが無言で伊織の上から退き、傍で正座する。

「寝ていたらきみの唸り声が聞こえてきたのだ。うなされていたようだったからな、様子を見るために顔を覗きこんだ。それだけだ」

 わざわざ自分の上に乗って顔を覗きこむ必要があるのだろうか? 浮かんだ疑問を伊織は吞み込んで一言「そうか」と返す。

「きみがうなされるような夢だ。どんな内容だったのだ?」

「よくは思い出せん。思い出せんが……

 伊織がセイバーを盗み見る。夢の内容をはっきりとは思い出せないが、セイバーが複数人いたことだけは覚えている。

「セイバー」

「なんだ?」

 周囲にセイバー以外の気配がないことを確認した伊織は正座してセイバーへ向き直った。

 自然と背筋を伸ばしたセイバーに緊張の色が見える。構わず伊織はセイバーの手を取った。

「イ、イオリ!?」

 驚いたセイバーの肩が揺れる。動揺しているセイバーを余所に伊織は口を開いた。

「俺は、おまえが一人いればいいと思っている」

 もちろん、食費的な意味でだ。夢で見たセイバーが五人もいるとなると、食費が五倍に跳ね上がる。

 マスターからの頼みで素材回収に付き合い、給料をもらってはいるがおそらく足りなくなるだろう。

 故に、セイバーは一人で充分だ。そんな伊織の思考を知る由もないセイバーは顔を真っ赤に染めて困惑していた。

「んな、なな!? そんな、急に! 急に告白など! もっとあるだろう!? 場所や雰囲気が!」

 赤面しているセイバーが逃げようとするが、伊織がしっかりと手を握っているせいでそれも叶わない。

「セイバー?」

 なぜ、セイバーが動揺しているのか理解できない伊織は相手の顔を覗きこんだ。

「うっ、そ、そんなに見つめるな!」

 伊織の視線に耐えきれなくなったセイバーが手を振り解いて伊織の身体を突きとばした。

「痛っ」

 とっさに受け身を取ったけれど、崩した体勢を整えている間にセイバーが部屋を出て行こうとする。

「待てセイバー!」

 呼び止める伊織の声に一度足を止めたセイバーがこちらを見てぷい、と顔をそむけて出て行った。遅れて伊織が追いかける。

「セイバー!」

 ストームボーダー内の廊下を走るセイバーの後ろを伊織が何度も呼びながら追いかけた。

 曲がり角から自分たちのマスターである藤丸立香が誰かと話しながら歩いてくる。急いでセイバーが立ち止まった。

「カルデアのマスターではないか」

「ああ、タケルと伊織。こんな朝早くどうしたの二人とも。追いかけっこ?」

「いや、俺たちは……なんでもない」

 どう説明したものかと思案して伊織は口にすべきではないと即判断した。深くは聞かない立香に安堵していた伊織は目をしばたたかせる。

 それはセイバーも同じだったようで、立香の背後を指した。

「カ、カルデアのマスターよ。後ろにいるそれらは何だ?」

「なんだ? って見れば分かるでしょ。タケルだよ」

 黒髪の少年が言い終るとの同時、彼の背後にいたセイバーことヤマトタケルが五人伊織目がけて駆け寄った。

「イオリだ!」

「イオリ!」

 口々に伊織の名を口にしてセイバーたちが伊織を取り囲んだ。

(これは……

 夢で見た光景と同じ。場所は違えど、セイバー五人に囲まれている状況は変わらない。セイバーたちを見下ろした伊織は苦い顔をして天井を仰いだ。

(正夢!)

「マスター」

 伊織が助けを求めるように立香へ視線を送るけれど、自分たちのマスターはなぜか腕を組んで満足そうに頷いている。

 ダメだ。このマスターは助ける気がない。

「な、なな! 何なのだきみたちは! イオリから疾く離れよ!」

 状況についていけず、ポカンと口を開けて五人のセイバーに囲まれている伊織を見ていたセイバーはようやく我に返ったようで、慌てて伊織から自身を引き離そうとする。

「カルデアのマスター! これはどういうことだ!」

 まったく微動だにしない自分に苛立ちを隠せないまま立香へセイバーが吠えた。

「え? タケルを強くしたいからたくさん呼んだんだよ。召喚に応じてくれたタケルたちがさ、一目伊織に会いたいって言うから連れてきたんだ」

「私を強く?」

 以前も似たようなことがあったな、と伊織はセイバーに囲まれながら記憶を辿る。そのときは自分が四人いた気がする。

 強くしたいからと言うマスターにセイバーが「イオリは渡さぬ!」と涙目で両手を広げて抵抗していた。

 なるほど、と伊織はセイバーが複数人いた理由に一人納得する。

「それではセイバーは今まで通り一人になるということか」

「まあ、そうなるかな。寂しいけどね」

 視線を落とすと、五人のセイバーがこちらを見ていた。自分たちの役割を理解しているのかセイバーたちは笑みを向けてくる。

「そうか」

 短く返して伊織はセイバーたちの頭を一人一人撫でた。伊織と立香の会話に交互に二人を見比べていたセイバーが首を傾ける。

「タケルが強くなるためだよ。そろそろ行こうか。はい、タケル集合~!」

「わ、私もか?」

「そうだよ。ちょっと伊織と離れるけど我慢して」

 立香の号令にセイバーたちが反応して名残惜しそうにしながらも伊織から離れていく。

 マスターについて行くセイバーたちの後姿を見送った伊織は一人廊下でそっと息をついた。

「五人のヤマトタケルに囲まれる気分はどうでしたか?」

 背後から声をかけられて伊織は肩を揺らし、とっさに柄へ手を掛けた。

「そんなに警戒しないでください。私です。アルトリア・アヴァロンです。キャスターの姿が良かったですか?」

 金色の王冠を頭に乗せた金髪の女性が顔を覗かせる。伊織は警戒を解いて柄から手を離した。

「アルトリア・アヴァロン殿」

「想いを寄せている相手に囲まれてあなたはどんな気分でしたか?」

 いたずら心を宿した翡翠色の瞳が伊織を見据える。伊織は顎に手を添えて少し思案してから口を開いた。

「セイバーが五人もいるとなると、食費が五倍に増えるのだろうなと思っていた」

 予想外の回答だったのだろう。アルトリア・アヴァロンが目をしばたたかせている。残念ながら彼女の期待に添えられていなかったようだ。

「ふ、ふふっ。そうですか、食費の心配を」

 アルトリア・アヴァロンが細い肩を揺らしながら控えめに笑いだす。なぜ、彼女に笑われているのか解らない伊織は疑問符を浮かべた。

「気付いていますか、宮本伊織。あなたは無意識のうちにヤマトタケルが何人増えようと自分が養う気でいるんですよ」

……

 指摘されて伊織は目を丸くした。カルデアでは働きに応じて給料がでる。

 それはセイバーも同じで、マスターに同行することが多い自分たちはそれなりに給料をもらっている。

にもかかわらずセイバーを養うのは自分だと思っていたのは何故か。

「本心であり無意識ですか。なるほど、おもしろいですね。もう少し話を聞いてみたかったのですが、時間のようです」

 アルトリア・アヴァロンが視線を廊下へと向ける。廊下の先から立香とセイバーが歩いてくる。

「イオリ~!」

 伊織を見つけてセイバーが駆け出した。

「きみ、ずっとここにいたのか?」

「ああ。アルトリア・アヴァロン殿と少し話をしていた」

「話?」

 こちらを見上げていたセイバーが隣にいたアルトリア・アヴァロンを見る。視線を受けたアルトリア・アヴァロンがセイバーへにこりと笑みを向けた。

「そんなに熱い視線を向けないでください。宮本伊織とはあなたの話で盛り上がっていただけです」

「わ、私の話!? イオリ、どういうことだ?」

 自分の話をされていたとは思っていなかったのか、セイバーが目を丸くして伊織の衿を掴んだ。

「アルトリア・アヴァロン殿」

 セイバーに勢いよく身体を揺すられながら伊織がアルトリア・アヴァロンに非難めいた視線を送る。当の彼女はすまし顔をしたままだ。

「ヤマトタケル、良かったですね。宮本伊織はあなたのことをちゃんと想っていますよ」

「なっ!? アルトリア・アヴァロン殿」

 満面の笑みで告げたアルトリア・アヴァロンに伊織が額を押さえた。セイバーが自分を揺する手を止めてジッと見上げてくる。

「イオリ? 今彼女が云ったことは……

 琥珀色の瞳は期待を宿しており、誤魔化せる雰囲気ではない。なんと云ったものか、と伊織が視線をセイバーから外した先マスターと目が合った。

「え、なになに? 何の話してるの?」

 遅れてきた立香が興味深そうに問う。助け船のように思えた伊織はそっと息をついた。

「いえ、何でもありません。行きましょうマスター。早くレポートを作成しないとまたゴルドルフ新所長からどやされますよ」

 隣にいたアルトリア・アヴァロンが立香の傍に立ち背中を押した。

 不満そうにしていた立香ははぐらかされた内容が気になるのか、背中を押されながら何度もこちらを見てくる。

「あ! そういえば」

 思い出したように立香が声を上げた。アルトリア・アヴァロンが足を止めて「立香?」と首を傾ける。

「伊織に紹介したいサーヴァントがいたんだった!」

「あ! カルデアのマスター待て」

 慌てたようなセイバーの制止の声を無視して立香が大声を上げた。

「タケル~! もう出てきていいよ!」

 立香の声に廊下の曲がり角からもう一人のセイバーが顔を覗かせる。

「セ、セイバー!?」

 なぜもう一人いる? 目を丸くしている伊織の隣でセイバーが「あぁ~」と頭を抱えながら座り込んでいる。

 セイバーは理由を知っているのだろうが、今問うたところでセイバーからの回答は望めないだろう。諦めた伊織が立香を見た。

「マスター。なぜセイバーがもう一人いる?」

 伊織の問いに立香はよくぞ聞いてくれました! と言わんばかりに人差し指で鼻を擦る。

「いや~、実はさ。タケルが二人いれば伊織を挟むことができるんじゃないかって思って一人多めに喚んでおいたんだ」

(なぜ挟む必要がある?)

……

 無言になった伊織の傍にもう一人のセイバーが近づいてくる。

「イオリ、イオリ」

 袖を引くセイバーに伊織は視線を落とした。

 こちらを見上げてくるセイバーは頭を抱えてうずくまっているセイバーとまったく同じ顔で自分はこの顔に弱いのだと思い知らされる。

「どうした、セイバー?」

 いつもの癖でセイバーの問いに答えてしまう。表情を輝かせたセイバーが伊織の袖を引く。

「私は腹が減った。食堂に案内せよ!」

「きみ! いや、私? 勝手にイオリの袖を引くな!」

「む。別に良いではないか。きみのイオリでもないのだろう?」

「なっ!」

 伊織を挟んでセイバーが口喧嘩を始めてしまう。傍観していた立香は満足そうに腕を組んで頷いている。

「これが見たかったんだ」

(これが?)

 立香の云っていた自分を二人のセイバーで挟むという願望のことだろうか。苦い顔をしている伊織をアルトリア・アヴァロンがジッと見て口角を上げた。

……食費が二倍、ですね」

……

 彼女の云いたいことが解ってしまい伊織は反論することもできずただ、息をついた。

「解った、解った。二人とも喧嘩はやめろ。ほら、食堂に行くぞ」

 伊織がセイバーたちの頭に手を乗せると大人しくなる。

 子ども扱いをされていると思っているのか、不満そうに頬を膨らませてこちらを見上げてくる二人のセイバーに伊織は苦笑して食堂へと向かった。