haruon1018
2025-03-26 11:18:49
3463文字
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某昭和初期舞台漫画パロディー 2

もう一つの世界の話(ネタバレバンバンあります)
tksgさん出てないけど長晋です。
新撰組三番隊長さんが登場します(ノブの下にいるぽいけど徳川がノブの下にいる設定)
※三番隊長さんは受だと思うオタクが書いているので要素があるかもしれません。

 長可達、覇族が肉の国と呼んでいる場所の一角には組という組織が存在する。
 名前はなく単に組と呼ばれているそこは更に東西南北の部落に分かれており、それぞれに座長がいる。
 長可は織田が仕切る南部の上座貴族、森家の次男だ。
 部は下から下座、並座、上座と居住区が分かれており、下座はスラム街、並座で幻灯町の下町程度、上座は貴族や権力者、役人が住む地域なので華やかな町並みだ。
 上の座に行くためには関所を通らねばならない。
 森は面倒だと思いながらも、上座に入るための関所に向かう。
「通行証を拝見します、ほら出して」
 寺院の門に似た関所の前では、浅黄色の羽織を着た青錆色の縮れ髪をした男がへらへらしながら立っていた。
 浅黄色の羽織は、南部の警邏隊である新撰組の隊服だ。
「オレの面見れば分かるだろう」
「おたくそれでうちの部下何人か殺ッてるからね、軟弱な方も悪いけどさ」
 今日と同じように肋骨服で帰ってきた長可を疑る目で見てきたのがムカついたので、つい頭を握りつぶしただけだ。
 斉藤が云うように軟弱な方が悪い。
「だろ、だから通せ」
「あのね、うちの永倉もだけどおたくら本当話通じないね……
 分かったと斎藤は関所を開く。
 話が分かる男で助かる。これが今は西部の武田に付いている永倉ならお互い血まみれになるまで殴り合っていたことだろう。

 絢爛豪華な調度品が並び、玉座は金銀瑠璃がが惜しげもなく使われている。
 その部屋ではセーラー服を着た少女と西洋のドレスを纏う乙女が長可を歓迎していた。
「勝蔵、帰ってきたか、どれどれワシにもっと顔を見せろ」
 長可は座長である信長に会うため、一度実家に戻り着替えた。
 あえて生成り色の布地に白糸で柄を浮かせ、紺色の羽織と上着は上座の貴族にしてはシンプルな装いだが、目の前にいる信長がセーラー服なのだから問題ないだろう。
「大殿、また退化して外界をうろついたのか変わらねぇな」
「この格好の方がうまくいくのでな、それにあやつらもそろそろ動かさないと煩い」
 信長の周りでうろうろしているのは彼女が操る人形達だが、ほんの一部だ。
 かつて母親から唯一所属することを許された人形を使い戦闘する女子部隊は、信長の戦闘スタイルや統治力を格段に上げた。
「ワシばかり放して済まぬ、勝蔵が帰ってきたのだから蘭丸も話したいじゃろ」
「お帰りであります、」
「おう成利、戻ったぜ、相変わらずアズが漲ってるな」
「蘭丸、少し勝蔵にも分けてやれ、大分アズを絞られておる」
「はい、」
「そうか? 全然分からねぇけど、大殿が云うならそうなんだろ」
「兄弟分が近くにいればアズは高まるが、おぬしの弟分はアズを蓄えておらん。場所が悪いからの」
「オレはまだ晋作を弟分にするとは云ってないぜ」
「何を言うか、おぬしの力量なら弟分の一人や二人いても可笑しくはないわ」
「座長以外、部下は持てても弟分は一人だけが決まりだろ、大体、大殿が実の弟妹との兄弟分禁止なんて法律作るから」
「だってそうじゃないと煩い奴がいるからの、じゃあワシと蘭丸みたいに伴侶になる?」
……なんで分かったんだよ」
「カマかけたら見事に引っかかった、えっ何本当って書いてマジなの、チューした?」
……した」
 淡々と話しているが目元をぽっと赤らめる長可に信長は大げさに騒ぐ」。
「おい蘭丸酒を、いや座長会議開く?」
「成利、それより先にアズ分けてくれ、大殿の勢いに飲まれそうだ……
 長可が上着を脱ぐと見事な大胸筋と六つに割れた腹筋が露わとなった。
 そのまま座り込むと蘭丸が長可に近づき、アズを注ぎ込んだ。
 長可達、覇族は長年外界人から存在を隠し隠れ里に住んでいる古代民族だ。
 飛び抜けた戦闘能力を持つ代わりに寿命は短く、赤紗と呼ばれる薬がなければ生きていけない。
 赤紗が切れれば躯の一部が爛れていく。
 高杉を初めて見つけたとき弱り具合から赤紗切れの覇人と分かったのもそのためだ。
 覇人はより多くの覇族を残すために定期的に外界から老若男女問わず攫ってくる。
 女は子どもを産ませるために、男達は血肉が覇族を救う延命剤となれるよう薬を飲ませているが実験が成功した事は一度もない。
 失敗した外界人は半成窟に捨てるか奴隷として飼う。
 稀に実験体にならずに済む人間もいるが奴隷になるのは同じだ。
 赤紗を必要とする覇族の中で赤紗を必要としないのはアズを操る血族の女性と御神体だ。
 長可と蘭丸は両親を同じとする兄妹だが、アズの血族の血は母から娘にしか伝承しない。
 蘭丸の下の妹たちもアズの血族の血を引いているが、能力が一番高いのは蘭丸であるため、幼い頃から座長である信長のそばに付いている。
「おっ効いてきた、もういいぜ、ありがとな」
「蘭丸は酒を持ってきます、信長様暫しお待ちを」
 アズとは体力とは別に覇族の躯の中に存在する精神力のようなものでアズを分け与えられると躯が治癒され、個々の能力値が上がる。
「待っておる。で、伴侶にするってことはもう既成事実作った?」
「なんでそんなに聞きたがるんだよ、まだ口づけしかしてねぇよ」
「マジででも、舌くらい捻り込んだじゃろ」
……触れただけだ」
 その言葉を聞いた信長は思わず手で口を塞いだ。
「勝蔵にしては珍しく手順を踏んでいる……それほど大事な伴侶と云うことか、ならば尚更弟分にしてから添い遂げろ」
「なんでだ」
「おぬしが溺愛する伴侶の兄貴分になれば色々口出ししやすい、」
 勝蔵の話を聞く限りメカニックにも強いとなれば西部の武田が欲しがると信長は付け加えた。
「んな奴、殺せば良いだろ、ジジイにもやらねぇ」
「うん、この話の通じなさ、さすがは鬼武蔵、仕方がないが……兄弟分の絆の強さはわかってはおるな」
「分かった、晋作はオレの弟分にする」
 兄弟分は組で生きていくためには必要不可欠な存在だ。女子でも妹分として兄貴分に仕えるが逆は聞いたことがない。
 組の男女差別は外界より厳しい。
 今は座長として君臨している信長や北部の長尾も座長になるまでに多くの血を流した。
 それは武田も同じだ。
 まともに座長を交代できたのは東部の今川くらいだ。
 弟分の扱いは兄貴分によって異なる。本当の弟のように溺愛する兄貴分もいれば己の従者として扱う者と差は激しい。
 血族の女性達のアズほどではないが兄弟分の絆が強いほど互いのアズが高まり、強くなれる。
「そうしてくれおぬしの時は大変だったのだからな」
 貴族の純血覇人で体格にも恵まれていた長可を弟分にしたい覇人は沢山いた。
 長可の兄貴分は形式上、信長だと組の者なら誰もが知っている。
 それでも信長を女だからと侮り、また若い長可ならば勝てるだろうと命知らずが果たし状代わりの黒札を出してくることがあった。
 そういった者達は丁重に分からせて傘下にするか下座に落としてきたので、今は誰も黒札を出したりはしない。
「また蹴散らしていけば問題ないだろ、それであいつの承諾もだけど、夫婦になるなら親には挨拶しないと、それで一度組に戻ってきたんだが」
「それならもう調べてある、武田の所の上座の高杉で間違いない」
「マジか、」
「晋作とやらが高杉と名乗ったのだろ、まぁ水劇の支配人を怪しむのも無理はない。混じりの分際で大きな顔をしておる」
 覇人は大きく二つの分けられる、両親が覇人の純血と母親が外界人の混じり。
 純血の覇人は能力が高く、混じりは高い能力の者もいるが外界人のように、何も持たない者まで大きくばらつきがある。
 ただ純血覇人の女性は出産と同時に亡くなるので、大抵の貴族は混じりの妻を同時に持つ。森家はアズの力なのか最初の妻だけで何人も子を成しているが例外中の例外だ。
「誘拐の仲介役をやっていたようじゃが同時に貴族の子弟を攫う、純血の覇人は見目が良いから赤紗を適当に与えて弱らせ、服従させようとでもしたか」
 ケラケラと笑っているがその笑いには怒気が含まれいた。
「たぶんぶっ殺すから代替わりさせないとな、仲介役は抜いて」
「それなら阿国を復活させよう、あれに舞わせて話題を集めれば春風が消えたとて問題はない」
「さすが大殿、」
「そうじゃろ、おお蘭丸戻ってきたか、勝蔵も飲むか」
「オレは良い、西部に行ってくる」
「良い返事が貰えると良いな」
 ふふっと笑う信長に長可は手を振って、部屋を後にした。