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三毛田
2025-03-25 10:14:16
1072文字
Public
1000字3
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42 02. 素直に笑えたらいいのに
42日目
お前たちのように
氷に包まれ、宇宙空間を漂っていた少女のように。
宇宙ステーションで出会った青年のように。
ベロブルグの下層部で暮らす、子供たちのように。
俺も、素直に笑えたらよかったのに。そう思ってしまうことが増えた。
「丹恒は丹恒だろ? そのままでも、十分魅力的だ」
ボソッとそんな事をこぼしたら、耳聡く聴いた穹からそんな言葉が。
「だが、世間一般的には、笑顔が素敵だと言われる人間のほうが」
指が俺の唇に触れ。それ以上は駄目だというように、そっと押してくる。
「俺が好きなのは、無口で無表情で、でも、情に厚くて。それから、優しくて俺のことを好きって言ってくれる丹恒。お前だから」
穹の言葉は、じわりじわり俺の胸の中へと染み渡り。それと同時に温かくなって。
他の人の言葉であれば、俺の中に響くこともなく、それどころか下手したらズタズタに心を傷つけてきただろう。
生まれた時から、敵意や悪意のある言葉ばかりを投げかけられてきた。
だから、誰も彼もそうなのだろうと諦めていた部分もあり。
けれど、星穹列車に乗り込み、様々な人々と触れ合うことで、それは間違いだと気づいた。
気づいただけ。言葉のすべてを信じられるかと問われたら、無理だと答えられる。
「
……
お前の言葉こそ、俺に優しくて甘いだろう」
「なんてったって、丹恒の事が大好きだからな!」
ニカッと笑い、俺の頬を両手で包む。
「好きだ、丹恒」
「俺もお前が好きだ」
「俺たち、両想いだ」
「ああ、そうだな」
「恋人になってください」
「喜んで」
俺の言葉に目を丸くした後、ぎゅうぎゅうと痛いくらい強く抱きしめてきて。
「キス、していい?」
「ああ」
キスをする時の作法などはあっただろうか。
そう思っているうちに、穹の顔がゆっくり近づいてきて。
「痛い」
「うう
……
」
歯と歯がぶつかり合い、俺たちの初めての口づけは失敗したのだった。
「
……
」
「なんだ」
「笑ってる丹恒先生、俺よりも美少女じゃん」
拗ねたように唇を曲げている。
「そんな事を言うのは、お前だけだ」
「んふふ〜」
恥ずかしさを誤魔化すように乱暴に髪を撫でるも、自称美少女の青年は嬉しそうに笑うだけ。
「丹恒、出会った頃よりも笑うようになったな」
「そんな俺は嫌か」
「全然! むしろ、俺に心を許してくれたんだなって嬉しくなる」
「
……
」
まさかそんな解釈をされるとは思わず、手も言葉も止まる。
けれど、穹はそんなことなど気にした素振りも見せない。
「大好きだ、丹恒」
「俺もお前が好きだ、穹」
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