らく@創作企画TRPG
2017-04-19 21:38:09
655文字
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【学戦】佐久本鈴之進と倉野纈【幼少】





 家人たちは基本的に着物を着ていた。
 その中でTシャツとハーフパンツ姿で動く小さな子供は、言うまでもなく、よく浮いていた。
 髪の色も暗い色の多い中で、その家に預けられた彼女だけが白に近い白銀だった。
 当の本人は、家に馴染まない自分のことなど全く気にかけてもいないようで、逆に周りの家人たちの方がぎくしゃくとよそよそしい動きをするものだから、どちらが養われている側なのか分からなくなる。
「鈴」
 どこに行こうとしていたのか、すれ違う家人の間を縫って歩いていた彼女を呼び止めた。
 ぴたりと足を止め。落ち着きはらって振りむく姿は、どこか大人じみていた。
 たまに彼女は無邪気さを削ぎ落してしまったかのような動きをする。
 俺を捉えた金色の目が大きく見開かれる。
 人差し指で自分自身のことを指差して「自分を呼んだのか」と問うように首を傾げた。
 名前が聞こえなかったのか。
 その動作に怪訝に思いながらも、呼んだんだよ、と頷いて手招きする。
 何を確認したのか知らないが、戸惑うように周りを見まわしてから、彼女はとたたっとこちらに駆け寄ってきた。
「なに」
 ぶっきらぼうな問い。
「いや、特に用はないんだが」
 元気でやっていたか気になっていた。そう言えば、彼女は名状し難い表情で一度言葉に詰まった。
「不便はないか」
 あの女に置き去りにされたも同然でこの家に養われているのだから、不便でないわけがないのだが、自分より下の兄弟を持ったことがない俺は他にどう問えばいいかわからなかった。





※こちらのテキストは妄言でもあり、フィクションでもあり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。