らく@創作企画TRPG
2017-04-08 19:51:36
1029文字
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【学戦】空は青く透き通っていた【新田 辰之助】

なかのさんとこの田村くんとサブロク小隊をお借りしています(@mucchan_nakano)



 空は青く透き通っていた。
 けれど、鼻をとおっていく空気の臭いは、あまりいい香りとはいえなかった。
 生温く、重く、どこか生臭い。
 息を吸えば臭いと同じ苦みが、密かに口の中へ広がった。
 焼けつくような太陽の匂いに掻き消されていたものが、風に煽られては肌にまとわりつく。
 ひとつ、ゆっくりと瞬きをする。
 片目を開けた先、広がるのは、青く大きな海の割に小さな砂浜。
 岩場の方が場を占めているような場所だった。
 道すがら聞いていた話では、海水浴には向いていない海岸なのだそうだ。
 仲間内で浅瀬でわいわいと遊ぶくらいならちょうどいい。地元ではそんな穴場的なスポットなのだと言っていた。
「どちらかというと釣りスポットなんだ」
 ごめんな、初めての海が屋台もなんもない閑散としたとこで、と米原が人がよさそうな顔にさらに人がよさそうな笑みを浮かべて辰之助へ向けた。
 彼の実家の農家の手伝いへと何度か駆り出されているうちに、何かの話しの流れで米原の父親が海に連れて行ってくれるということになったのだ。
「予想通り、大所帯になったねぇ」
 当然、話はサブロク小隊に広がった。のんびりとした口調で田村が辰之助の隣に並ぶ。
 鮮やかな騒ぎ声がする。
 その声に釣られて視線を前へとやれば、隊の一年だと紹介された三人がビーチパラソルを設営しながら、なにやら他愛もなく言い合っていた。
 会話の内容までは、海の風にさらわれてよく聞こえなかった。
 手伝うべきか、と一歩足を踏み出すも、驚いてわずか後ずさる。
 砂浜は、火傷してしまいそうなほど熱かった。
 すでに海へと駆けだしている何人かは裸足だったので、こんなにも温度が高いとは思いもよらなかった。
 砂浜の熱に戸惑う辰之助の横で
「海に入っちゃえば案外平気なもんだよ」
 と、いつの間にか脱いだビーチサンダルを端に寄せながら田村が言う。
「おーい、お前ら、遊んでいいのは浅瀬までだからなぁ!」
 注意をしているのは、意外にも素行が悪そうに見える二年だった。確か、宮村だったか。
 準備の終わった一年が元気よく走りまわっている。
 燦々と降り注ぐ太陽に、熱を孕む砂浜、湿った風を運ぶ波の音。
 どうしていいかわからず、じりじりと太陽に肌を焼かれながら、ただぼんやりとしていれば、とんとんと肩を叩かれた。
「行こ、新田」
 仲間が遊ぶ砂浜と海と青い空を後ろ背にして、ゆるく笑う田村が眩しく感じた。






※こちらのテキストは妄言でもあり、フィクションでもあり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。