Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
らく@創作企画TRPG
2017-04-07 23:52:02
684文字
Public
Clear cache
【学戦】 伊野教官は今日も優しい 【新田 辰之助】
※若干、薄気味悪い感じ。たぶん残酷さが見え隠れしてる感じ。
知識として知ってはいたが、行ったことも見たこともない。
写真の中の海と、今目の前にある光景は、色以外はよく似ていた。
空は底抜けに青かった。
遠く波打つのはたくさんの黒い人影だ。
それが、手前から赤く染まっていく。
徐々に足元から、向こうまで。
まるで小波のように。
***
暑い、暑い夏の日。
中等部で美術の授業があった。
海を描けと言われて、悩むことなく絵具を手に取った。
白く幼い手を、絵の具で汚しながらパレットに絞り出し、何代目のお下がりかわからない酷く毛羽立った古い筆に塗りたくる。
真っ白な紙の上に、置く。
そして、ただひたすらに左から右へと余白という余白を埋めていった。
時折り、重なる色の上に黒と白を散らしながら、ただ淡々と埋めていった。
見回りをしていた伊野が、足を止めて覗き込めば「新田」と呼び掛ける。
「描くのは夕焼け? じゃなくて、海だぞ」
その夕焼け? もなかなか独創的でいいとは思うけどな、と疑問形になりながらも彼は優しい教官らしく、そう言う。
辰之助は、何度か瞬きをして、ただ不思議そうに紫暗の両目で伊野を見上げた。
口を開こうとして、何と説明したらいいのか分からなくて口を噤む。
この絵の説明をしようとしたが、手元にある真っ白だった紙に描かれているのは、どう客観的に見ても赤と黒の波線の記号と、こぼしてしまったのかな? と思われそうな白い雑な点々だけだった。
辰之助は青い海を知らない。
戦場で見たあの光景が、一番、写真の中の海に近かった。
だから、それを真似たのだ。
※こちらのテキストは妄言でもあり、フィクションでもあり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内