らく@創作企画TRPG
2016-08-22 21:55:24
460文字
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【花葬】2番目の花嫁



波風ひとつ立たない、陽の当たる深い海のような声だった。

「こんにちは、花嫁」

何もない空間で、声だけが浮いている。
「とうめい、にんげん?」
「んん、それとはちょっと違うかなぁ」
誰もいないのに、独り言に答えが返ってくる。
「僕は『聞こえるだけ』の存在だから」
いないのに、近くにある彼は『いる』のだと存在を囁く。
何もない空間で、けれど、声だけが温度と感情を伴って花嫁のそばに置かれた。
「君は死んで花嫁になった」
顔にかかる白いヴェールを素通りして、柔らかく温かい声が頬を撫でていく。
「僕の3番目の花嫁。あれ?6番目だったかな」
存在自体が酷く曖昧なのに、言うことにも確証がない。
「いや、やっぱり2番目にしよう」
考えるようにうなっていた声がぱっと明るく振り返った。
「君は花嫁になった。僕の2番目の花嫁にね。どうぞよろしく、愛しい人」
悪くない声だった。
異形の花嫁。
何番目の花嫁かはきっと彼の気分によって決まるのだろう。
けれど、彼の最初の花嫁になれることは決してないのだと、そう思った。




※こちらのテキストは妄言でもあり、フィクションでもあり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。