2025-03-22 03:41:09
3608文字
Public 封神演義関連
 

「封神:妖姫とキングダムの動乱」日本語字幕版感想

第2部(英語字幕)を見たほんの数日後、なんとまさかの第1部(と第2部)を日本語字幕にしてくれると聞いて感謝感激雨あられ。これでよくわかんなかった姫発と殷郊の関係がわかるぜ!!!
※あまり褒められない性癖全開の感想が最後の方にあります。性癖地雷などある方はご注意下さい。涙の同士討ち大好き。

 冒頭から不安な注意書きを書きました。先に書いておきますと四大諸侯とその子供たちの場面です。最高でした。

以下、気に入ったところや気になったところ。

○質子
 これ、元ネタがあるのかどうかは知らないけど、面白い設定だなぁと思いました。有力諸侯から諸侯たちの子供を人質に取り、しかもその子供たちには王家に忠実であるように教育されている状態。もちろん、故郷に住む親たちが自分をどういうつもりで遠い王都へ「人質」として派遣されてるかなど知り及ぶこともなく、特に殷寿(紂王)にとっては、自分の境遇と彼らを重ね合わせるところもあったかもしれないな、と。あの様子だと、妲己がいなくてもそのうち彼らを使って父と兄の罪でもでっち上げて反乱起こしてたかもしんない。
 人質に送られているのが伯邑考ではなく発の方、蘇護の息子が蘇全忠ではなくなぜかオリジナルキャラ、なのを見ても、おそらくほとんどの諸侯は自らの跡継ぎではなく、2番手以下の子(さすがに下過ぎるのは人質としての意味はないので次男坊あたり)を送り込んでるのかな。自分は「絶対跡継ぎにはなれない存在」「跡継ぎを守るための道具」であると思っている殷寿にとって、彼らは自分と境遇を同じくする同志。人の心を掴み、自分の見せたいところを魅せることに長けている殷寿にとって、質子たちを思うとおりに教育(洗脳)するのは簡単だったでしょうね(冒頭の蘇護の息子のシーンも、他の質子たちに対する洗脳教育の一環)
 ただ、この点で疑問になるのがこの辺。
 ・姫発以外の四大諸侯の子が全員原典と同じ、跡継ぎメンバー(=長子?)
 ・上のメンツが都合上次男以下の設定に書き換わっているとすれば、なぜ蘇全忠は蘇全忠を出さずにわざわざ別人物(オリキャラ?)を設定したのか
 崇侯虎周辺は史記に載ってるから改変できない、のならわかるけど(でも崇応彪の名前出てたっけ?)、この辺の改変の意図がちょっとわからない。全忠が第3部で出てきて活躍するとかならわからんでもないが

○十二仙、そして元始天尊と封神榜の設定
 慈航が観音様だってことは誕生日アカウントでも何度か指摘してたし、観音様が女性に描かれがちというのも知識としては知ってたので、実際の中華圏出身作品でそれを確認できたのは嬉しかったな。
 割と気になるのが封神榜の設定と、法力を奪われた元始天尊様の今後の展開かな(後者は本当に第3部ご期待ってやつだけど)。封神榜については仕組みがよくわからん。
 ・封神榜を触ってしまうと法力がなくなる(なくなった法力はどこ行くの?なくなるだけ?)
 ・封神榜を使うことでどうやって人間界の災厄が収まるのか
 ・人の魂を吸っているように見える封神榜、いったい何のために吸ってるのか(それが災厄を収めるエネルギーになるなら、むしろ殷寿の使い方は正しい気さえしてくる)
 ・殷寿が封神榜を狙うのは「殷寿自身が犠牲になることなく」災害を収めて真の王になるため、だろうけど、金鰲島が封神榜を狙う理由は?
 結構立て続けに情報が入ったシーンでもあったので、何か見落としがあるかもしれないです。

○殷郊
 武王伐紂平話も元ネタとして入れているとのことなので、おそらく殷郊は生き残るか、生き残れずとも太歳神として神界、あるいは冥府で天下の盟主となるのだろうなぁ、という予想。むしろ姫発と殷郊のあの仲の良さから見て、地上の天下の盟主は姫発が、神界(あるいはそれに類するもの)の天下の盟主は殷郊が、とするのが物語的に美しく収まる気がする。元始天尊様の法力持ってっちゃったから十二分に力あるし。もっとも、第三部で通天教主の影が見えておりますが。

○仙人界気分が抜けない楊戩と哪吒
 子牙は人間界にいた期間が長く、だから人間界慣れしてるってことで封神榜を受け取り人間界に行く役目に立候補したわけだけど、お付きの楊戩と哪吒は、劇中の行動や発言を見てると明らかに仙人界目線。哪吒は簡単に「人間界なんか見捨てちゃえ」って言うし、楊戩は事態の悪化に対する予測が鈍い感じがする。おそらく悪行のない崑崙山で過ごしている時間が長いせいで、人間の欲や汚さといったものに縁がなく、だからこそ予想が付かずに後手に回っちゃうのかなと。殷郊を仙人界に連れて行けと言われたら「残される子牙の安全を考えることもなく」二人で行っちゃうし、人間界が存外危険なところであることを、知ってはいても理解はまだ及ばない状態で動いている感じがする。これ、フジリュー版の哪吒や楊戩にも使えそうな感覚なので、ちょっと考察と論文(二次創作)に取り入れてみたい。
 ※どこかで誰かが、蝉玉が土行孫にミミズを食べさせようとして「土行孫くんも諦めたらいいのに」って言ってるシーンがなんか楊戩ずれてる、って指摘してたように思うんだけど、あの感覚ですよ……人間に(あんなでかい、しかも生の)ミミズを食うなんてできないんです、だけど、金鰲島の妖怪仙人に囲まれて修行した蝉玉や、もともと妖怪仙人である楊戩にはその感覚が……ん????蝉玉の感覚だいぶおかしくない????君、人間だよね?しかも割と大きくなるまでパパの元にいて……

○雷震子
 健気でかわいいのひと言しかない。初めから人外描写だったのはちょっとびっくりしたし、姫昌さんの懐の広さにも目を丸くしたけど、原典にはいともたやすく人体改造しちゃう雲中子・道徳他多数がいるので、その辺はうまくごまかされた感じ。というか、第二部の魔家四将もそうだけど、この世界の人間界には普通に妖魔がウヨウヨいるようですね、怖。

○妲己
 こちらも健気でかわいく美しい……結構今までの妲己像って、妲己そのものが諸悪の根源だったことが多いと思うのだけど、この映画の妲己は完全に「狐の恩返し」。まぁ、なんで蘇州で封印されてたのか考えたら彼女も大概極悪狐の可能性はあるけれど。
 作中、一番凄いなぁ、って見惚れたのが髪の毛や衣装の表現。躍っているときの衣や水面に靡く髪が描く、計算されたかのような美しい弧!あれを表現するのに何度リテイクしたんだろう……じゃなくて、妲己の妖艶さを妥協なし、余すところなく表現されてて、見ているこっちもうっとりしちゃう。でも、美人で妖艶でときどき凄く強気なのに、勝てそうにない相手に睨まれるとさっと殷寿のそばに隠れちゃうところはあまりにも「動物」でかわいいし、死にかけた殷寿をどうにか助けようと必死に傷をなめる最後のシーンも、健気としか言い様がなかった。まぁ、そいつ極悪人なんですけどね!!

○伯邑考と「自分の未来だけは読めない」姫昌
※この辺から駄目な性癖語りがにじんできます、注意
 封神演義、どこをどうあがいても伯邑考の最期だけはいつも同じ……まぁそこがある意味見所シーンでもあるので(辛い)。けれど、そういうシーンでも味付け次第でさらなる地獄を見せることができます。
 顕著なのはフジリュー版の「昼ご飯に出たハンバーグ・魂魄が飛んだのは夜中」だけど、この映画でもかなり好みな地獄の味付けがされてました。「自分の未来だけは読めない」姫昌さんです。占い師、創作の世界では「自分の未来だけは読めない」って設定は結構見かけるんだけど、ことにこのシーンの姫昌さんに関してはクリティカルヒット×5くらいダメージ行ってますね……自分の占いに自信があるタイプとお見受けしたので、これならいっそ未来なんてはじめから読めない方がどれだけ良かったか、と牢の中で自分を呪ったかもしれない。ちなみに原典では酒の席で占いを所望され、「紂王が横死し殷は紂王の代で滅ぶけれど自分は大往生する」と発言してますが、ここの時点で伯邑考の肉を食わされるとは予知できていません(食わされる直前に占いで知ったパターンだったはず)。

○四大諸侯と息子たち
※駄目な性癖語りしかありません
 好きなんですよねぇ、同士討ち。洗脳されて死んだ魚の目で相手を攻撃するタイプじゃなくて、葛藤の末に、立場の違いやどちらが勝っても一族が生き残るようにという戦略的判断、あるいはずっと仲良しだったのにどうしても無視できない価値観の違いがだんだんと広がっていってそれだけのために対立せざるを得なかったり。
 今回の一番心が滾ったシーンは殷寿に煽られて四大諸侯を息子たちに殺させようとするシーンでした。元々野心家だったのか真っ先に手柄を取りに行く崇応彪、父を刺せと言われても刺すことなどできない、と殷寿に面と向かって刃向かい殺された鄂順(あまりのことに叫びながら、鄂崇禹も逆らおうとして殺されてるのが更に追い打ちをかける)、逆に微笑みながら息子の未来を祈り自ら刺されに行く父に慟哭する姜文煥……マスクの下で一人ニッコニコしてましたよ、こういう展開大好き(反吐みたいな性癖だよ)!



-----✂----------------
管理:鮎
SNS一覧misskey(Maniakey)misskey(封神台)X(旧Twitter)
個人HP(WJ封神)個人HP(ヘタリア)
----------------✂-----