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溶けかけ。
2025-03-21 21:33:13
1021文字
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ほぼ日刊
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今日もフォンテーヌは平和です。
壊れたフリーナのお話。
(ヌヴィレットによるフリーナへの軽度な乱暴な行為があります)
「
フォカロルス
神性
ではなく、
僕
人性
が代わりに死ねば良かったんだ
……
」
音も立てずにソーサーにカップを戻したフリーナはヌヴィレットに微笑みかけた。
「彼女ならば、今なお残る貧富の差も情勢不安も見事に解決してみせただろう」
言葉を失うヌヴィレットの態度を肯定と受け取ったフリーナは笑みを深く──いや、満面の笑みに差し替えた。
「だって
……
僕が幾ら足掻こうと解決策なんて見つけられなかった難問──『フォンテーヌを予言から救う』ことだってやってのけたのだから」
「は
……
」
「ああ、けれど
……
キミが居るのか。もうひとりの僕を凌ぐほどの力と頭脳を持つキミが居るのなら
……
この国は安泰だね」
少しもそうは思ってなさそうな顔でフリーナはヌヴィレットに笑いかけた。
「まあ、もう僕の出る幕はないけどね。
終幕
クランクアップ
を迎えた役者はお払い箱だからね」
パシンッ──乾いた音がした。張った頬がじんわりと熱を持っているはずだ。
「アハハ
……
! ヌヴィレット。何を動揺しているんだい?」
フリーナが腹を抱えて笑い出す。ヌヴィレットは咄嗟に頬を張った手のまま、呆然と立ち尽くしていた。
「君は
……
」
ヌヴィレットが口を噤む。フリーナのどんよりと澱んだ瞳にはヌヴィレットが映り込んでいた。
「キミは正しいことをしただけだ。軽率に水神を貶した一般人に忠告をした
……
やり方は少々乱暴だったけどね。まあ、罪人の扱いとしては満点かな」
パシンッ──また乾いた音がした。
「
……
痛いよ、ヌヴィレット」
フリーナは笑っていた。紡がれた言の葉と不釣り合いな表情にヌヴィレットの顔が曇っていく。
「ヌヴィレット、どうしたんだい? 悪は滅びたんだ
……
ここは喜ぶところだろう?」
ヌヴィレットに抱きしめられながらフリーナは笑う。泣くことも弱音を吐くことも出来ず、笑うことしか出来なくなったフリーナ──こんな彼女に誰がした?
答えは決まっている。ヌヴィレットだ。そして、この国──フォンテーヌだ。神性すら殺し、人性すら押し込めて国の歯車として歯型を摩耗させ続けた彼女には何も残らない。摩耗した部品は交換することでしか直せない──。
「させない。君を交換する、など
……
」
「何を言っているんだい、ヌヴィレット。もう、フォンテーヌは──キミを中心に回りだしているじゃないか」
歯車は回る。
新たな
部品
贄
を嵌め込んで──
…………
。
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