膝枕(雑伊)


(※伊作がタソガレドキに就職、食満の進路捏造してます)

伊作と留三郎は医務室に居た。
「もー!喧嘩はやめてって言ったよね?」
「だってあのバカが仕掛けてきたから
「ほら、傷よく見せて」
伊作はそう言うと留三郎を自分の膝に寝かせる。
「伊作、この体勢はちょっと
「これなら留三郎は喧嘩に行けないし、僕はケガの具合も見れるし一石二鳥だよね」
「無理があるんじゃないか?」
「そう?この方が処置がやりやすいんだけど。とりあえず血拭いて、包帯巻くね」
伊作は濡れた布で留三郎の額を拭いていく。

すると医務室の扉が開く。
「伊作君、近くに来たから寄ったんだけどえ、何やってんの?」
そこにはタソガレドキの組頭である雑渡昆奈門が居た。
「お前は曲者!」
留三郎は立ち上がり伊作を守るように雑渡の前に立つ。逆に雑渡はニコニコしながら二人に話しかける。
「やぁ、曲者だよ」
「雑渡さん、どうしたんですか?」
「あぁ、薬を貰いに来たんだった。けど伊作君が忙しそうだから帰るね」
「え?ちょっと待ってくださいってもう居ない」

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なんてこともあったよね。あの時は柄にもなく嫉妬しちゃったなー」
雑渡は伊作に膝枕をされながら呟く。
「今は伊作君を独占出来てるからいいけど」
「僕は雑渡さんがこんなに甘えん坊だとは思いませんでした」
「二人きりの時くらいは甘えさせてよ」
忍術学園を卒業した伊作は雑渡の誘いを受け入れてタソガレドキに就職し、新設の医療班の首領をしている。また『善法寺伊作は組頭のモノだから手を出すと、組頭に始末される』との噂が流れており、一部のタソガレドキの忍からは恐れられている。

するとガタッと二人が居るタソガレドキの医務室の天井の一部が開く。
「伊作、文を持ってきたぞって何している曲者!」
天井を開けたのは留三郎だった。
留三郎はフリーの忍者をやりつつ、タソガレドキに就職した伊作を心配して半年に一回のペースで伊作に文を持ってくる。文の内容は近辺の城の勢力や他の同級生の近況など様々だ。
「それはこっちの台詞だよ、食満君。大事な二人の時間を邪魔してさ」
雑渡は不満そうに伊作の膝から起き上がる。
「そうかそうか、それは邪魔したな」
その雑渡を煽るように留三郎は言う。
「二人共、喧嘩しないでください。留三郎、文をちょうだい。読んで返事を書くから」
伊作は留三郎から文を受け取ると、二人を放置して机に向かう。
こういう真っ直ぐなところが良いんだよね」
文の返事を書く伊作を見ながら雑渡は言う。
「曲者、伊作に無理をさせてないだろうな」
「当たり前だよ。伊作くんに何かあれば君が飛んでくるからね。ちゃんと私が無理しないように見ているよ」
そうか」
「たった数年でタソガレドキの医療技術を向上させ、我が軍の死者を極限まで減らした優秀なお医者様だよ。丁重に扱ってるに決まってるじゃない。っていうか食満君こそ、そろそろ伊作くん離れした方がいいんじゃない?結婚出来ないよ」
「余計なお世話だ!」
「書けたー!あれ、二人共ちょっと仲良くなりました?」
話をしている二人の元に来る伊作。
「なってない」
「なってないよ」
同時に言う二人。
「留三郎、これ文ね。急ぎじゃないから皆に会った時に渡して」
伊作は書いた文を留三郎に渡す。
「おう」
「また遊びに来てね、僕も休み貰ったら遊びに行くから」
伊作は笑いながら留三郎に言う。


留三郎が帰り、タソガレドキの医務室は再び二人だけになる。
「食満君、帰っちゃったねところで伊作君、このあとなんだけど
「駄目です。戦が終わったばかりなんですから、今日はこのまま大人しく寝てください」
最後まで言わせてよ」
事に及ぼうとした雑渡をキッパリと伊作は断るのだった。