sousakuyamamusume
2025-03-20 16:55:14
917文字
Public 一次創作
 

彼岸警邏隊4

スギナの話

スギナは■である

 俺の手は血で染まっている。
 如何なる理由があろうと、人を傷付けてはいけない。人に銃口を向けるなどもってのほか。例え結果的に死なずとも、人殺しに相当することだ。それを俺は二回やった。一度目は、警邏隊に入隊する前に、当時の相棒を。二度目は、旦那を。
「ま、この仕事してりゃ避けては通れねぇ道だ。」
 なんて、旦那は笑って言ってたけど。
 俺の手は血で染まっている。
 それは何も、人間だけではなく怪異の血でも染まっている。封印弾とはいえ、俺は何度怪異を撃ったか。……10より先は数えるのをやめた。ここまでくれば10も100も1000も同じ事。
 俺の手は血で染まっている。
 本来なら、娘のミツキを撫でる資格も、妻のアヤカを抱きしめる資格も、とっくに失っている。二人は天国にいけるだろうが、俺は間違いなく地獄行きだ。それでいい。まぁ、そもそも、人間として死ねない可能性もあるが。……人間として死ぬ、か……

「よ、また考え事か?」
「旦那……なんだ?招集でもかかった?」
 しっかしこいつもまぁ、生真面目なやつだからなぁ。おおかた、『俺の手は血で染まっている』とかなんとか考えてたんだろう。俺も考えてないといえば嘘になるが、こいつは俺以上に考えてる。
「あんま考え過ぎんなよ。何があろうがお前はお前なんだ、それだけは自信持ってけ。」
……心配かけてたか。なるだけ顔にださんようにしてたんだけど。」
「だからこそ逆に心配なんだっつーの。ったく、スギナくんは真面目ちゃんだから。」
「だからその呼び方やめろってば。」
 ん、それでいい。
 あれこれ考える、それがお前の美徳っていやぁその通りだが……。それでも、お前まで『向こう側』にいっちまったんじゃ、ツルギのやつも向こう側にいっちまうだろうから。
「ああもう、何考えてたのか忘れたじゃん。」
「余計なこと考える暇あるなら射撃訓練でもしてたらどうだ?」
「なるだけ撃ちたくないって前に旦那にも言ったよな。記憶力大丈夫か?」
「はっ、言うねぇ。人間は忘れる生き物だろ?」
「それもそうだ。……そうだな、俺もあんたも人間だもんな。」
「おーよ。」

スギナは人である