はるの
2025-03-19 21:40:31
5281文字
Public 感想文
 

Flow

ネタバレ感想

めちゃめちゃめちゃめちゃ良かった!!!!

前作のAwayもめちゃくちゃ好きなんだけど、ちょっともたっとしたところもあって、けど今作はよりブラッシュアップされててすごく良かったです。始まりからチェイスシーンで面白くて、開始5分でもう1回観たいってなってた。
本当に世界観を映し出すやり方が大好き。ただ綺麗な景色ってだけじゃなくて、描きたいものへのまなざしが強いところがギンツ先生の強みだと思う。見せたいものを100%見せてもらえてる感じ。平面的な絵柄をうまく多い情報量に落とし込んでるのもすごく好きです。
あと感動したのがカメラワーク。ほとんど"わたしの視点"じゃなかった??ねこを見てて、音がしたら上を向いて、右スティックでカメラ移動、みたいな。ゲーム的というか。わたしの知る限りだけど、あんまり映画で見ないカメラワークで、けどその個人的な視界がこの世界観を映すのにすごくマッチしてると思った。たまに自分の見たいところにカメラが行かなくて、でもいいショットを撮ってるのも良かったです。このくらいの距離感がいい。
映像が本当に綺麗なんだけど、ドラマチックさはこのカメラワークのおかげだと思う。

ねこさん、かわいかったね!!!!!
いまだにねこさんと呼ぶかねこちゃんと呼ぶか迷っている。愛称より敬称をつけたくなる瞬間がある。
初手でヤカラに絡まれてて何事だったけど、このときからいぬくんに興味を持たれててかわいかった。
ご自宅、え、ギンツ先生の家?!(イラストがあるので)と思ってふふっとなったし、少し前まで暮らしてた人間が突然消えてしまったような雰囲気なの良いね。ラプチャーされたんかな。
つまりこのねこさんは飼い猫だったのかと思うとちょっといとしいです。人間を失って孤独を選ばされたねこなのだとしたら、この後の展開本当に……………泣きそう
だいぶ強火のねこ担芸術家がねこを信仰していることが伺えるドデカねこ像のことを思い出してクールダウンしよいやデカいわ。強い。

というか最初、人間のいない世界かな、絵が描けるのも人間とは限らないし、と思ってたんだけど、途中で人間の像が出てきたので、やっぱ人間おるわ、もしくはヒューマノイドだわ、ってなりました。建物とか道具とか、人間がいた気配だけするのも良いね。人間が動物になっちゃった世界なのかもわからんな。ヘビクイワシ先生あからさまにチートだったしでもまあ、いいんだ、そんなことは。
世界観は各自解釈してねってギンツ先生スタイルなんですが、映し出されるものたちすべての存在がもうそれだけで強いので、これを分析したりするのはちょっと違うなという気持ちになる。これAwayとか、他の短編でもそうだった。ギンツ先生の作品、そこにあるままそっくり飲み込んで、もう黙りたい気持ちになる。言葉に再構築して取り出してしまうと全然違うものになる気がする。好きです。

カピバラ先輩、あまりにもどっしりとした安定感じゃなかった???カピバラ先輩がいなかったら明日も見えないこと、絶対いっぱいあったと思う。ねこさんが最初に会ったのがカピバラ先輩でよかった。
船には乗ったものの、すごく警戒して距離取ってるねこさんに対して、マイペースで特に構いはしないところ、保護ねこを慣らしてる感じでなごんだ。雨が降ってきておそるおそる近づくのとか、関係性を風景で描くのがうますぎる。かわいい。

キャラクターを描くのが本当にうまいなと思ったのはワオキツネザル。こんなにも「利己的でケチな守銭奴ナルシスト」がわかることある??好き。カピバラ先輩がカゴ持って行くのやさしさの塊すぎる。ねこさんが舵を学習してるのめちゃめちゃ頭良くて好き。
おさるが途中で仲間に会ったとき、ほかのワオキツネザルを引き入れようとして失敗してがっかりしてるの、すごく気まずかったね。華美に装ってるほうが強い資本主義社会でやばかった。
鏡見て表情作ってるのかわいかったし、いぬくんと犬猿の仲(いぬくんはじゃれたい)なの面白いし、先輩とねこさんにはなんやコイツとしか思ってなさそうなとこが好き。

そしていぬくんゴールデンレトリバーかなあれは。いぬくん…………やばかったね……いるだけであんなにも無邪気に事件を起こすことある??水に押し流されたときもそうだし、ねこさんの第一印象最悪だっただろうな。良い。いぬくんにめちゃめちゃ嫌そうな顔してるねこさん最高にかわいかった。いぬくんはずっとうれしそうで良い。
陽気と厄介の紙一重ハンバーガーことずっと元気を持て余してる天真爛漫いぬくん、みんなを構いに行っては一悶着起こしてて、でもなんにもわかってなさそうなところ、際立ってて良かったです。ワシ先生にガラス浮き玉で遊んでもらってるの笑った。かわいい。

ワシ先生ことヘビクイワシ、人生何周目ですか???すごい賢者なんだけど。
ヘビクイワシは小型の哺乳類も食べるらしいので、なぜ先生だけねこさんを助けようとしてるのか不明なんですが、なんだろうな。「いい目をしている」とか言いそう。この人だけ人権の意識があるんだよな。
群れのリーダーとの対決、だいぶしんどかったけど、調べたらヘビクイワシってキックとか踏みつけで獲物を弱らせるみたいですね。自然の行動なら致し方ないかでもやっぱふらふら飛んでる姿はしんどかった。
飛べないなら陸路で行くわ、って切り替えが早い先生さすワシだし、まじで先生はこの現象のすべてを知っていそうなのやばかったね。
一度襲われてヘビクイワシ恐怖症になってたねこさんが、先生に助けられて、先生にだけはすごくなつくのやばくないですか??先生がひとりでいたらすっと隣に来て静かに景色を見ているようなの、ものすごくエモーショナルでしたほんと何があったんだよ先生の人生に

船での生活、最初はみんなそれぞれ自分のしたいようにしていて不協和音奏でてたけど、ヘビクイワシの島を出たあたりから、みんながみんなに慣れてきた感じですごくかわいかった。みんなと離れてひとりで寝てたねこさんが、最終的にはワシ先生以外のみんなで屋根の下に固まって寝てるのめちゃめちゃ感動しました。なついてる!よ、よかったないぬくん
ねこさんがすっかり水に慣れて魚を獲ってきて、それをみんなにおすそわけしてるのもはちゃめちゃにかわいかったです。よかったなあ!いぬくん!ワシ先生にはそろそろと歩いていってそっと置いていくのも好き。先生に対するねこさんのその憧れのような何かは何。大好き。
おさるのしっぽとか鏡の反射にじゃれついてるねこさんもすんごくかわいくて、ようやくリラックスできるようになったんだなあと思うと本当にかわいい。かわいいね。
みんながいると安心する、という空間が、この船の中にできていて、とんだハピネスでした。

まあドッ喧嘩してえらい目に遭うこともありましたがガラス浮き玉が流される事件、あのくじらのような巨大生物、水没した街とあいまってすごくきれいだったな。
いつも都合よく現れてくれるけど、目的地が同じだったのかなあのくじら。
あのサイズの水生生物があの山の上に行こうとしたら、世界を水没させるしかないよな逆に水没したから行こうと思ったのか?わかんないけど、でもあの人はいい人だと思う。わかんないけど。

からの、ヤカラいぬ再来で、平穏が全部ぶっ壊れてしまうのほんと。きついけど良い。
ワシ先生は全部わかってて無視してたんだろうし、失われる命を選ばず真っ先に助けようとするのがカピバラ先輩なのあまりに"'わかり""だし、そういえばいぬくんは無邪気だったけどなんでお前だけ仲間はずれにされて置いて行かれてたんだお前もしかしていじめられてるんじゃないのかお前は気づいてなさそうだけどと思ったし、おさるは騒動に参加すらしないし、ねこさんはものすごく躊躇してから、受け入れよう、と小さくアクションするの、すごかった。一軒家ですごしてたねこさんは絶対にそんなことしないから。ねこさんはこの旅で、他者というものをすごくすごく認識したんだなと思った。後悔はしたかもしれないけど。

ワシ先生が舵を放棄してしまってカピバラ先輩が代わりを務めてるのすごい。おさるの手鏡事件で決定的になって、みんながバラバラになってしまうのもすごく良い展開だった。わたし、ひとりがひとりじゃなくなったら、ひとりじゃないところからもう一度ひとりになって確かめてほしいタイプなんですよね。それでもって、ひとりという意味も、ひとりじゃないという意味も、わかると思うから。
ここでねこさんが仲間じゃなくてワシ先生を追うのが好き。ねこさんにとって先生は本当にとてつもない土台を築いた存在なんだな山のてっぺんで、ふたりぼっちになるシーン、すごくセンチメンタルで大好き。

山の上で起こったことは、形而上学的な生死観を感じました。Awayでも似たようなことがあったので、ギンツ先生の癖も感じた。
ねこさんだけは行けなかった、という結論と、ひとりで山を降りるシーン、ぐっときました。良い。痕が残る傷のような。ひとりなんだよな、結局。
ガラスの浮き玉は、最初の家にもたくさんあったので、それに助けられてるのも良かったです。目を閉じる最後に、あの家のことを思い出しました。ずっと庭にいたいぬくんのことも。みんなのこともそうやって、ひとりでもひとりじゃないんだろうなって勝手に思ってた。

こういう洪水系の超常現象パニッシュメントは割と突然始まって突然終わるイメージある。ちょっと地上水洗いすっか!って神々が思い立ったら終了。
水が引いて、みんなを探しに行く選択をするねこさんが良いです。ねこさんはこの旅でそういうものになってしまったから、あのとき"行けなかった"んじゃないかと思う
最初に会うのがおさるなの笑いました。ヤカラを引き入れて散々なことになったから、おさるはねこさんを許してないし、引っかかった船から自分だけ木登りして出て行っちゃったのかな。
それでもあとでついてきて、ねこさんに仲間の場所を教えるの、めっちゃ良かったです。並走してるふたりの画、良かった。
まあヤカラはヤカラでしたね。いぬくんが少し躊躇してから、みんなのところにとどまってるのにっこりした。あいつらはたぶん君のことを大切にしないので、君はここにいるべきです。ねこさんをキャッチするカピバラ先輩頼もしすぎる。

みんなと合流してから、ワシ先生のいた山頂に駆け出すねこさんもめちゃめちゃ良かったです。鹿の群れに襲われたあと洪水が来たから、ワンチャン同じことが起こって、今度は自分も行けるかも、って感じなのかな。とにかく気持ちが急いてるスピードなの良かった。
そこで、あとはもう息絶えるだけの、おおきないきものを見つけて、立ち止まるのも良かった。
ここ、うまく言葉にできないんだけど、ねこさんの、ある種の諦めを感じました。終わるものは終わる、というかただ穏やかにあってほしい。ねこさんがくじらに頭を擦りつけるの好きです。このいきものがなんなのか本当にわからないけど、たぶん絶対にいいやつだよ

振り返ったら追いかけてきたみんながいて
洪水前にはひとりきりで映ってた水たまりに、今はみんなが映っていて
そこで終わるのも最高でした
ああ、もうそれでいいんだ、と思って
ねこさんは、もうそれでいいんだねって

孤高に生きるひとは、ひとりでも立っていられる強さを持っていて、それはワシ先生や、かつてのねこさんが持っていたもので
仲間を得るということは、その孤高でいられる強さを失うことだとわたしは思います。
ねこさんは、ワシ先生のあの姿を、自宅のベッドから見た景色を、もはや一生遠くにしか感じることができないだろうけど、その代わりに、隣に誰かがいることを選んだんですよね。ねええ〜〜〜〜〜泣く
どっちが良いとか悪いとか、強いとか弱いとかじゃなくて、ねこさんはそれを選んだんだなってのが、すっごく……すっごく良かったです。
ワシ先生を探さない、という選択、良かったです。
君はその選択をときどき後悔するだろうけど、でもそれ以上に、仲間がいることをうれしく思っていてほしい。そう思う。
エーン泣く!!!

そんな気分だったので、エンドロール、ギンツ先生ひとりで作ってたAwayは秒で終わったのに、Flowは次々と人の名前が出てきて、なんか余計に泣けてきてしまいました。もうひとりではやらない、と言ってたギンツ先生思い出しちゃったいいんだ、もう
それでもこれはギンツ先生の世界だなって作品をお出ししてくれてるので、良かったんだなって思った。良かったよ〜〜〜〜

みんな幸せに暮らしてほしい。
落ち着いたらみんなで山に登って、朝日を見たりしてほしいです。