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2025-03-18 18:10:24
2125文字
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タグ、掌編、その他
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タグまとめ15
アカデメイア・プルート
刀神
モイラと鼎と糸車
それぞれフォロワーさんのお子さんお借りしています。
木洩れ日ごっこ(プル学・カウトさんとルーシー)
目の前が雪で真っ白になると、目をつむり、耳を伏せ、からだの中に雪が入るのを防ぐ。カァンと高い音が響いた。耳が立ってから目を開く。「カウト先生、それなぁに?」大きなからだのその先生は、ゆっくりと腰をまげて手の中にのせた、手のひら大の白い石をルーシーに渡した。「これは
……
暗いところで光る石」ルーシーにもわかるように、噛み砕いた言葉で伝えてくれる。石を受け取り、空にかかげた。青白い空と風はいつの間にか雪をどこかにやって、澄んだ空気がルーシーの鼻先を通り過ぎていく。「くだいて、道にまいておけば、めじるしにもなる」先生はそういい、受けとった石をふたつに割った。きらきらと破片が散って、流れ星のように落ちていく。はあっと息を吐くと白い煙がじわじわ漂って消えた。「先生、お星さまみたいだねぇ」そう笑ってみせると、先生のくちびるがわずかに緩んだ。
瞬かない不文律(刀神・戒靜さんと蓮)
「十九渕さん」蓮がすこし目線をあげて呼びかけると、戒靜がこちらを振り返る。休憩時間がおわった時間だと、すこし慌ただしく騒がしい。衣ずれの音、和紙を捲る音がよく耳に届く。「ああ、これはここに署名してもらえればいいよ」と、彼は教えてくれた。たずねる前に答えをくれたので一拍、礼を言うのが遅れた。「
……
ありがとうございます」軽く頭をさげる。戒靜はすこし苦笑して「
天照
ここ
の書類ってお役所みたいだよな」といった。蓮はしばし考えて、頷いてみせる。「よく分からないところが?」素直に問えば、彼は苦笑したまま、「それもあるけど、」わずかに顔を耳によせて、「遠回しでもったいぶってるところが」といった。蓮もたしかに、と思わずふ、と息を吐き出す。「大学の本もそうですけど、もっとこう、なんとかならないんですかね」自分のほうがよくないことを言ったようで、蓮は慌てて口を噤んだ。
蓋然性の酩酊(刀神・白梅氷華さんと一葉)
白梅氷華はいま、刀のなかに籠もってしまっている。また自分は彼の怒りを買ってしまったらしい。焼けて、変色している鞘をそっと手のひらで撫でる。触るな、とでもいいたげな雰囲気を感じた。それでも、手を離したらほんとうにいなくなってしまう気がして、彼の手を握るように鞘を握りしめる。ギシ、と手袋が軋んだ音をたてた。白い影が鞘に落ちる。自分の髪だと知ったのは、数秒たってからだった。「白梅」そっと名前を呼ぶ。呼んでも応えないことくらいは分かっている。畳の上に寝転がって、白梅氷華を抱きしめた。ひんやりとした冷気がほおを撫でる。それすら愛しい。彼が彼たらしめる
異能
もの
だからだろうか。外は曇っていて、うっすらと白い冷たそうな煙が立ち上っている。水蒸気のようにも見えた。この家の庭に梅があったらあなたはどう思うだろうか。紅い花より白い花がいい。潔いほどに白い花。雨露にぬれて凍えてもなお涼やかな。「こんなにも綺麗なのに」
凸凹の永遠(モイラ・陽向子さんと春木)
煙草の煙が天井にへばりついてやがて黄色くなっていくように、春木了は染みになることをほんの少し望んでいた。「俺はおかしいことを言っただろうか」ぼやくも、彼女は煙を吐くだけでなにも言わない。ことばを望んだわけではない。声に出して、ことばとして形づくって、染みにもならずに消えていった。ことばとはまさに
それ
・・
で、文学とは染みだ。「すぐ落ちる染みもあれば、落ちない染みもあるわね」小江陽向子は煙を吐いたあと、そういった。了はただ「そうだな」とだけ応えた。つまらない返答だ。「落ちない染みだって、いずれは〝そういうもの〟という認識になる。あって当たり前、みたいにね」陽向子の指さきによって煙草は灰皿に押しつけられ、灰がぼそぼそと広がった。「飽きられるのか、誰かの傷や痣になるのかは分からない」おなじように、煙草を灰皿に押しつける。じゅっ、と音がした。「それでも書かなければいけない。作家だから」了は自らに言い聞かせるようにいい、深くため息をついた。
たったひとつ残響じゃなかったこと(モイラ・ヨルさんと春木)
足もとでちいさな鳴き声がした。ベンチの下に這いつくばって覗き込むと、ちいさい黒猫が鳴いていた。「どうかなさったの」と、後ろから聞き知った声が聞こえて、ビクリと体が跳ね上がる。同時に頭をベンチに思い切り打ちつけてしまって、目の前がチカチカとした。「まあ! 春木様。大丈夫?」頭を抱えたままうなずくと、ようやく落ち着いたのでゆっくりと体を起こした。「すまん」となりにいるヨルに謝ると、彼女はいいえとかぶりを振った。「下に
……
」ぽつりとつぶやく。「下に?」彼女が促すので、「子猫が」と答える。思ったより掠れた声が出た。また膝をついてベンチの下を覗き込むと、子猫はもういなかった。「もういない」薄情な奴め、と思う。ヨルは「残念」、そうクスリとほほえんだ。「春木様は猫に好かれるのかしら」問われたので、了は肩をすくめた。「さあな。庭にそこそこいるが、糞だけ残していつの間にかいなくなっている」けれど、あいつらみたいな気ままな動物は、嫌いじゃない。そう伝えた。
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