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らぎ
2025-03-18 14:09:25
702文字
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モノノ怪
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離坤ドロライ番外編「香り」「空室」
ルビだらけで申し訳ない。
「ふむ。
薫衣草
ラベンダー
に
丁子
クローブ
、
立麝香
タイム
に
緋衣草
セージ
ですか。」
坤の薬売りがしげしげ覗き込むのは、八卦が一振り、艮の薬売りが同輩たちから着想を得て調香したと言う香水の瓶だ。
「あっしが頂いたものに比べると
…
なんと言うか、薬のような配合ですね。」
「アンタのはどうなんです」
離の薬売りが問うと、ぱかりと開いた背負子の棚からもうひとつ、瓶が出てきた。此方は深緑をしており中はよく見えない。
「白桃と
木犀
オスマンサス
、それから
椰子
ココナツ
だそうで。」
「オスマンサス
…
と言うと、金木犀の」
「ええ。しかしこの香料だけでは、金木犀の香りにはならんのだとか」
不思議な話だ。薬売りは四象、両儀、ひいては太極から分たれた存在でありながら、其々に個性が在る
…
そのありさまに似ているやも知れぬ。
坤の薬売りが意識を逸らした隙に、何やら考え込んだらしき離の薬売りはひとつ瞬きをすると、徐に自身の手首に件の香水をひと噴きした。芳しいラベンダーに紛れてクローブの微かな刺激、それから香草の爽やかに青い香りが広がる。
「さて
…
香というのは不思議なものでして、纏う人によっても感じ方が変わるとか」
「ハア」
きょとんとした苅安色の瞳を、二藍のそれが見据える。
「また経験とも結び付く、らしく
…
。」
伸びてきたしなやかな手に、色の薄い目を細めた坤の薬売りは頬を寄せた。紅潮した頬に、ひやりとした指が心地良い。もっとも、今からこの指でもって更に熱を高められる訳だが。
その後混ざりあった白桃と
薫衣草
ラベンダー
の芳香は、部屋の主たちが去っても暫くは空室に揺蕩い、入った者に二人の関係をそこはかとなく想起させたとか。
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