千聖
2025-03-17 20:59:24
3139文字
Public 腐ロセカ
 

わんにゃん飼いました!

唐突に始まって唐突に終わる。
飼い主同士と犬猫の話。

天馬家は1ヶ月ほど前から犬を飼い始めた。
毛が紫色で所々水色の毛が入っている大型犬だ。
保護犬を見せてもらった時にいたく司が気に入られてしまいそのまま連れて帰ることになった。
家族の誰にでも比較的従順ではあるが司にだけは特に従順であった。
司が居なければ仕方がないと食事や遊びはするものの絶対に散歩とお風呂は行かなかった。

「もぉ〜わん太郎!お散歩行こうよ〜」
妹の咲希がリードをどれだけ引っ張っても頑なに動かない。大型犬なので重量もそれなりにあり、咲希の力では無理やりどうこうはできなかった。

「お兄ちゃんは遅くなるから無理なんだよ?ね?行こう?」

ちなみにわん太郎というのは司命名で呼ばれた時はえ?自分のこと?と流石の本人もダサすぎて引いていたが今ではすっかり慣れてちゃんと反応はしている。

二進も三進もいかない状態に咲希は肩を落としていると玄関の開く音がしたと思ったらわん太郎の耳がピン!と起き上がった。


「すまん遅くなった!咲希ー?わん太郎ー?いるか?」

「わん!わん!!!」

待ってましたといわんばかりにわん太郎は玄関へと走って行き司の前でぐるぐる回り出す。

「まだ居たか!間に合ったようだな」

よしよしとしゃがんでわん太郎を撫でる司に何やら不満があったのか体ごと体当たりして体をすりすりと擦り付けていく。

「お兄ちゃん!」

「おー咲希!わん太郎の散歩は行っていないようだな」

「お兄ちゃん以外とは絶対行かないみたいだからお散歩よろしくね」

「ああ!ランニングも兼ねたいから一旦着替えてくるかわん太郎ついてくるか?」

「わん!」

そのまま1人と1匹は同じ部屋へと消えて行き散歩を楽しんだ。


「おかえり〜ってお兄ちゃんもわん太郎も泥だらけだよ!?l

「わん太郎が茂みに潜ってだな虫の死骸を持ってきてびっくりして転んだんだ

「そうだったんだねとりあえずお風呂入ってきたらどうかな?」

「すまん食事は風呂の後にするから少し待っててくれ」

「うん!」

またもや1人と1匹は一緒に今度はお風呂場へと移動した。

「ははっ!!おいわん太郎!体をぶるぶるするんじゃない」

「きゅーん、くぅーん」

「どうした?今日もいつものようにお前が洗ってくれるのか?」

わん太郎はいつも自分がモコモコのシャンプー塗れになった体で司の体を洗うのだ。
背中も前も体をゴシゴシと擦り付けて洗っていく。

「ありがとうな!わん太郎。では流すぞ」

わん太郎にお湯をゆっくりかけて綺麗に毛並みを整える。いつだってお風呂場でもブラッシングをして乾かす時にも念入りにブラッシングをする。司なりのこだわりだ。

自分にもササッとお湯をかけて湯船に浸かる。わん太郎は流石に湯船に入れてあげられないので洗面器にお湯を入れてあげて前足だけ浸かっている状態だ。

「先に上がって咲希か母さんに拭いてもらってもいいんだぞ?」

毎回言っているがわん太郎は頑なに動かない。
むしろ湯船から身を乗り出した司をぺろぺろと舐め始める始末。

「そんなにオレのこと好いてくれてるのか?」

「わふっ!!はっはっ」

「わん太郎は可愛いな」

頭をひとなでしてから風呂を後にした。


一方神代家では

「なぁぁん」

「ただいま。ペガにゃん」

部屋の入口までお出迎えしてくれた猫をサッと抱き上げて類は部屋に荷物を置いて自宅へと上がる。
抱き上げられた猫は類の首元に体を擦り付けるようにしてゴロゴロと喉を鳴らしていた。

この猫1ヶ月ほど前に弱っていたところを類が温めて保護してから家に居座るようになったのだ。
元気になったらまた野良に戻るかと思っていたものの居心地が良かったのか、類の撫でるスキルがあまりにも高くお気に召したのか猫はもともと飼い猫でしたけど?と言わんばかりの大きな顔で神代宅のマスコットとなっていた。

なんとこの猫背中に羽のような模様があるのだ。そしてやたらとポーズを取るので思わず恋人に似ているなと思った類が連想される言葉を繋げてペガにゃんと名付けた。
最初はペガサスくんと呼んでいたものの両親がにゃんにゃん、にゃんこーって呼ぶものだから猫が困惑してしまい結局くっつけた名前が出来たというわけである。

猫は気まぐれと言われれば気まぐれだが、この子はどうにも人懐っこい気がする。

「ペガにゃんご飯は食べたかい?」

「なぁ〜ん」

「フフ。それじゃあ一緒に食べようか」

しっぽを腕に巻き付けられて満更でもない類。
ペガにゃんは拾って助けてくれた類にかなり懐いており類の母が作ってくれるササミのご飯と時たまくれるチュールが特にお気に入りだった。今日も類の膝の上に座ってテーブルに置いてあるペガにゃん専用のお皿に入ったササミ入りのキャットフードをモグモグ食べている。

毛繕いをよくしているので毛並みはとても良く、類自身も手触りがいい方が良いのでこまめにブラッシングをしてあげている。そのペガにゃんを撫でながら食事をするのが最近の楽しみでもある。

「にゃっ!にゃっ!」

「ん〜それは野菜だから無理かなぁ」

「にゃー!!にゃっ!」

「よしよし。それ以外は食べてるから大丈夫だよ」

野菜を食べていないことに指摘された類は黙らすために撫でくりまわして大人しくさせる。
ペガにゃんもその撫で心地にうっとりとしてしまい野菜を食べていないことなどどうでも良くなってゴロゴロと喉を鳴らしベッタリと甘え始める。

大体類は徹夜で作業を行う。が、ペガにゃんを拾ってから規則正しい時間に寝て起きてを繰り返していた。というのも類の布団に丸まって鳴くので類自身後ろ髪を引かれて一緒に寝てしまうのである。そんなことが続けば自然と風呂からあがればペガにゃんを抱き上げて布団へと直行することが増えた。
たまにいないと思って布団を捲れば温めておいたぞと言わんたばかりのドヤ顔と目が合うのだ。


そんな2人の生活もそろそろ終わりを迎えようとしていた。
そう。高校卒業である。

「ねぇ、司くん。卒業したら一緒に住まないかい?」

「む?なぜだ?」

「恋人同士一緒に住みたいというのもあるし、せっかく同じ大学なんだからルームシェアするのもいいでしょ?」

「お前はわざとランクを落としおって

「ランクの高いところに行けばいいってものでは無いんだよ。それに行く大学にはこの本の教授がいるからね。それはそれで興味深いんだよ」

「そうかしかし

「何か懸念ごとでも?」

口をモゴモゴと普段のハッキリと物を言う司らしからぬ様子に類も怪訝そうな顔を隠せなかった。
恋人と一緒に住むのは嫌なのかそこまでの愛は育めて無かったかと不安が頭をよぎったものの理由は意外と呆気ないものだった。

「いや犬と一緒に住まねばならなくてなペット可の所を探す予定だし、犬が一緒でもいいか?」

「おや?いつの間に犬を飼い始めたんだい?」

「少し前にな。近所から犬でも飼い始めたんですか?と再三聞かれてなならばいっそ飼おうと保護犬を見に行って懐かれたんだ!それでオレ以外にあまり懐いてなくてな一人暮らしをするなら連れて行けと言われてしまって」

「そうだったんだね。ふむそれなら僕も猫を連れて行ってもいいかい?」

「猫?お前いつの間に猫なんて?」

「少し前に道端で弱っていた子を保護したんだよ。えらく懐かれてしまってそのまま居着いたって感じかな。それにうちの猫も入れば司くんの所の犬も昼間寂しくないと思うよ?」

「そうだな!それは名案だ!」