sousakuyamamusume
2025-03-17 15:01:34
1948文字
Public 一次創作
 

彼岸警邏隊3

トリオ捜査

「今回は私も出る。」
 ブリーフィングの最後に放たれたのは、ツルギの爆弾発言。
「ツルギさんが?」
「ええ、何かおかしいことでも?」
「あ、いえ。珍しいなと思っただけです。よろしくお願いします。」
 あーあーあーあーあー、スギナの野郎『ツルギさんもいるなら百人力だ!』みてぇな顔しやがって……。これだからルーキーはなんもわかっちゃいねぇんだ。
「旦那?どうしたんだ黙っちゃって。」
……なんでもねぇよ。」
 今回のヤマが、それだけヤベぇ案件ってことだよ、ルーキー。

 人里離れた山中に、廃墟が建っていた。一見するとただの廃墟だけど……ん?
……足跡?しかも結構新しいような……。」
「どこだ?」
「そこの、草の影。」
 何気なく目を落とした先に足跡があった。しかもこれ、スニーカーとかじゃなさそうだな。少なくとも俺は見たことがないタイプの形をしている。
「こりゃあ、軍靴じゃねぇか。おいツルギ。」
「ええ、それも最新型。沈み方からするとそこまでの重装備ではなさそうだけれど。」
 軍靴?……軍靴!?えっ、てことはつまり、その。
「あんまり立ち入っちゃいけないところなんじゃ……。」
「そうね。スギナは外からのバックアップをお願い。もし逃げる車がいたりしたらGPS弾をお見舞いしておいて。」
……了解。」
 あっさり流された。旦那が渋い顔してたのもちょっとわかるかもしれない。
「コールは私と内部に侵入する。異論はないわね?」
「ねぇよ。俺が断ったらお前一人で行く気だろ。」

……ツルギはああ言うけど、マジでヤバそうなら俺らのこと置いて逃げろ。いいな?」
「わかったよ、旦那。気をつけて。」
「ああ。」
 ありゃわかってねぇ顔だ。まぁ、外部のあの位置にまで下手人が来る可能性よりは俺とツルギんとこに襲撃してくる可能性のが高いからな。どっちかってと俺らの方がヤバいってわけだ。
「それじゃ、侵入するわ。」
「外から見て動きがあれば連絡します。」
 そう言って、スギナはそっと目を閉じた。その方がやりやすいんだろう。
「あくまで証拠集めが目的、戦闘は最小限にするわよ。」
「りょーかい。」
 足音を立てず、物音を立てず。
 スギナの奴には『建造物侵入罪と不法な武器所有、怪異の介入の可能性あり』ってことで伝えてるが、この様子と……ツルギが自ら先陣切ってる時点で察しがつくことが一つ。
 多分ここの人間は、怪異を利用してやがる。

『スギナより伝達。――装甲車が3台とまりました。』
 こわばった声。私達のこと心配してるのかしら?それとも、単純に怖いのか。両方かしら。
「了解、他に異常は?」
『ッ……
 リボルバーの発砲音。6発。
「スギナ」
『ナンバープレートに1発ずつ。』
「よくやった。」
 これで車の出所はわかる。さてと。
「きっとこの先ね。」
 目の前には電子ロックがかかった金属の扉。ゲームや映画なら番号のヒントでもあったんでしょうが、現実はそうもいかないもの。そして私達の新入は恐らくバレている。
「いくのか?」
「ええ。」
 捜査にしては物騒な得物だけど、持ってきていて良かったわ。

 『マスターキー』で開かれたドアの先には、機械に繋がれた大量の幽霊。
……思った通りね。」
 そして、低い声色で呟くツルギ。あ、結構怒ってるなこれ……
『っ、ツルギさん!旦那!一体、何が……!』
「一旦耳塞いどけ。お前の『感応』じゃ引きずられる。」
『物騒なもん持ってる、奴に、追っかけられてなきゃ、そうしたさ!!』
 嫌な予感が的中しちまった。この一件の主犯、俺らのこと皆殺しにするつもりでいやがる。
「スギナ、お札持って耐ショック。」
『ツルギさん!?なにが』
「いいから言うとおりにしとけ!」
 怪異を利用してやがる上に自分の部下も殺されそうになったツルギの堪忍袋の緒が、爆発しやがる前に!

「抵抗は無駄だ!おとなしく」
――「爆ぜろ」』
 草むらに隠れて言われたとおりにお札持って耐ショック体勢になったところで、通信機の向こうから氷のように冷たい声がした。瞬間、文字通りの『爆発』が起こった。その声がツルギさんの声だということに、後になって気がつく。
……一体、何が……
 爆発があった、と思った。実際、武装してるやつらはひっくり返ってる。でも、煙もなければ火も出ていない。
『いきてるかー』
「旦那!なにがあったんだ!?」
『ツルギがキレた。』
 ツルギさんが、キレた?
……とりあえず倒れてる奴ら拘束しとく。」
『おう、そうしてくれ。』
 一体何がどうなったらそうなるのだろうか。そんな質問を飲み込む。多分旦那もツルギさんもそれどころじゃないだろうから。