11155.
2022-01-29 17:19:52
2886文字
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一緒にいる理由

うちの子、海さんとシェーンのお話。気の合う親戚同士の雑談は楽しくできてたら良いな。シェーンは思ったより海さんに遊ばれててなるほどってなりました‪w

一緒にいる理由
 
「なあ、カイは誰と一緒にいるのが一番好きなんだ?」
 携帯の通話履歴を確認しているシェーンは瞳にかかる前髪をかきあげた。そして視線はそのままで目の前の海に問いかける。目の端で捉える海は手に持つティーカップを口から離し優雅な仕草で机に置いた。
「突然どうしたんだい? シェーン。君にしては珍しい問いかけだね。何か悩み事かい?」
「いや、ただ気になって聞いただけさ。カイは男女問わず誰かしらと遊んでるからさ。ちょっとした従兄弟としての心配と言うものかな」
 顔を上げたシェーンは海と目を合わせる。そしてニコリと微笑むとその綺麗な口を開いた。
「教えてくれたのはカイだ。そのカイがなぜひとりなのかが気になって仕方ないんだ」
 何をとは言わないけどねと呟くシェーン。
「うーん……なるほど、とうとう可愛い従兄弟にも心配されてしまったかぁ。これは由々しきことだ」
 これは困ったと大袈裟な口振りで座っているソファーの背もたれにドサッと全身を預ける海。指先を額にあてながら天井を見上げる海の姿はシェーンの眉を歪ませた。
「何が由々しきことだ、だよ。本当は困ってないだろう。
 それよりも答えは何なんだ? はぐらかすのは紳士として良くないことだと思うけどな。この可愛い従兄弟の質問は難しいことではないだろう。あなたにとっては、さ?」
 顔は笑っているが少し言葉が多くなるシェーンに海は思わずふふと声を漏らす。そんな海の態度にムスッと口を閉じたまま見つめる従兄弟にすまないと口を抑えて謝る海。はぁと一息つくと、スーツを直しながら背を伸ばした。
「何だか可愛い彼女に問い詰められた心境になってしまってね。……なぁ、シェーンならわかるだろう?」
 くっと隠しきれていない笑いが海から出る。
「こんな背の高い綺麗な彼女は今のカイにはいなかったはずだが?」
 ふんと顔を逸らすシェーンは髪をバサッと手で払う。その様子にまた海はあははと笑ってしまった。
……はぁ、はは、すまない……君からそんなことを聞けるとは思わなくて……はぁ。もう大丈夫だ」
 相変わらずじっと見つめるシェーンに心配ないと海は息を整える。その重い目線を受け止めながら、さてと爽やかな笑顔に切り替え何事もなかったかのように話し出した。
「質問に答えようと思うが、彼女がいるかだったかな?」
「とうとう耳まで年に勝てなくなったのか? 正確には違う。彼女の有無は知ってる。
 誰と一緒にいるのが一番好きかどうかだ」
「これまた厳しいなぁ。そうだったね。うん、それは決まっているよ。皆、とだよ」
「もう一度聞く。耳がおかしくなったのか?」
 シェーンは目を細め訝しげに見つめる。理由まで話したのにと。
「いや、私もそして君も耳には問題はないよ」
 にっこりと微笑む海はティーカップを手に取り、またひと口と喉を潤す。揺れる水面に浮かぶのは自分の顔だけなのを見つめながら言葉を紡ぐ。
「好きなのは全員なんだ。だから全員と言葉を交わし、共に行動することが一番好きなんだよ。
 シェーンならわかってくれると思うんだけど、どうかな?」
 碧眼をゆっくり瞬かせた後、海は目の前の彼へと目線を合わせる。見上げる海の瞳は照明にあわせキラキラと煌めく。シェーンはその瞳からそらすことが出来ずにただ見つめていた。
「好きだよ。シェーン」
 数分の沈黙の後その優しい声に、シェーンははぁ~と項垂れながら両腕を組む。ズズっともたれ掛かる椅子にずり落ちながら、満面の笑みの相手へ口を開いた。
……それで何人落としてきたんだ? 今は教えてもらう時間じゃなかったと思うんだけど」
「本心を伝えただけなんだけど酷いなぁ」
 紅茶を飲むその仕草すら計算の内ではと疑ってしまう程海はいつもの彼だった。
「一番なのは目の前のこの瞬間さ。だから君も一緒にいてくれるんだ。それが答えであり、十分じゃないか」
……つまり、可愛い彼女には目の前の君が一番だと答えるのが正解なんだな」
 よく出来ましたと言わんばかりの顔をする海。ティーカップを机に置くと、海はそっと立ち上がり、シェーンの頭を撫でる。
「自分を大事にしてくれる相手にめいっぱいの気持ちをあげられるならそれが紳士だと私は思うよ。ただ相手が悲しむことだけはしないのが前提さ」
「カイは……いや、何となく。何となくだけど分かったから大丈夫だ」
 撫で続ける海の掌はあたたかく、それだけでもう満足だった。シェーンはされるがままの状態で瞼をおろし、そして口を開く。
「カイは今が楽しいんだよな」
 撫でられる手が少し止まったように感じたが気のせいだろうか。そんな風に考えていると一際ゆっくりと撫でる掌はシェーンの髪も梳いていく。
……ああ、今が楽しくて最高だ」
 眩しそうに目を細める海に気づかないシェーンはただそれなら良かったと零した。
 
 
 
 
 
 
 おまけ
 
「で、シェーンの困った悩み事は彼女への返答だったのかな?」
……いや、そうじゃない」
「それにしては何だかスッキリした顔になってるから、てっきりそうなのかと思って。シェーンは良く相手を泣かせるからさ」
「それは仕方ないだろう。好きだからさ」
「うーん、シェーンは良い子なんだけど……やり過ぎるなよ」
「カイも人のことは言えないと思うけどな」
「おや、私は優しいから心配ないはずだけどな」
 にやにやと笑う海。うっと声を漏らし、少し目を逸らしながらシェーンは言う。
……優し過ぎるからだろ……とりあえずやり過ぎには注意しとくから、今度ナンパ付き合えよな」
「あー、はいはい。私よりも自分の心配した方が良いんじゃないか?」
「俺はこう見えても一途なんだ。相手がまだ見つかってないだけで」
「ははは、なるほど。まあ、そういうことにしとくよ」
 
 
 
 
 
 あとがき
 
 年明け初作成か!ということで今年書初め(?)投稿します。また趣味の時間が減る中で久しぶりに短編作成しました。うちの子の海さんと従兄弟のシェーンの雑談です。セッション時にはなかなかRPではできない、イケてる海さんが見たいなぁと思って書き出してみました。色んな遊びを海さんから教わったシェーンとなら話すかなぁと思って話させましたが、海さんがなんか悪い人に見えてきたのは気のせいだろうか?
 まあ、海さんは人生楽しんだもん勝ちなので、人と関わることが好きです。でもまだ独り身なのは人が好きすぎること、そして自分も好きだからです。否定が嫌いな海さんだからこの答えがさらっと出てくるのかなぁと思ってやり取りをしてみたら、なんかシェーン相手に悪いことしてるみたいになってしまった……いや気のせいだよね?ちなみに二人はただの仲良し親戚です。LIKEであり家族のLoveです。
 人気がある二人(イケメン)だからこそ選ばない理由が何となくわかるそれがこの雑談で伝われば良いなと思ってます。
 ※シェーンは生粋のイギリス人です。なので会話は英語でしてます。