11155.
2021-12-19 11:16:10
1454文字
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寝ている間に

謙蛍の短編です。目が覚めたら隣に愛おしい人がいるって良いですよね。蛍がその想いをただただ語るだけのものです。

寝ている間に

 あたたかくて、ふわふわと心地よいまどろみの中にただ感じていた。漂っているような感覚からゆったりと意識が覚めてくるなかでふと手のひらにサラサラと指の間を滑るものがある。ずっと触れていたくなるその感覚に指で、手のひらで、何度も梳いていく。緩やかな曲線に沿いながら撫でていると、もぞもぞと胸元で動くのを感じた。
……んっ
 小さな音の方へ視線を下げる。まだ開ききっていない目はゆっくりとまぶたを持ち上げ、ぼんやりしていた視界が鮮明になっていく。
……あぁ、そっか……昨日から一緒に居たもんね」
 へへっと口元が緩む。胸が熱くなる気持ちをまるで逃がさないように、そっと胸の中にいる大事な人をもう一度閉じ込める。そこにいることを確かめたくて。
 頬にあたる真っすぐに流れる黒髪、すっと通った高い鼻、生きてきた時間を刻む目もとの皺。いつも見てるはずなのに胸の中ですぅと寝息をたてている彼の姿が全てが何だか胸を締め付ける。
……いつも……だよ」
 ぎゅうと頭ごと抱きかかえた。今この瞬間がずっと続けば良いのにと思う。それが現実的ではないと分かっていながら、それでも願わずにはいられない。
「えへ……大好き……ううん、もっと
 少し顔を上から眺め、大事そうに頭を撫でる。息は苦しそうじゃないのを確認して、また体ごと包み込んだ蛍。何処にも行かないでと言わんばかりにぎゅっと。
愛して…………
 静かに落とす口付けと共に小さく囁く。相手に届いて欲しいが言えない言葉。そして今だから言える。目元が熱くなるのを誤魔化すように、彼の頭に顔を埋める蛍。
「ぅ、はぁ~~~ でもいつか言えるようになるもん……もうちょっと、あとちょっとだけで言えるから」
 段々小さくなっていく声は自信のなさか、それとも彼を起こさないためなのかわからない。いつもより高鳴る胸を彼ごと隠すように背中に回していた腕に力を入れる。
「うん、謙之介さんだ……嬉しい……
 まだ顔を出したばかりの太陽が微かに部屋に射し込む中で、もう一度まぶたをおろす。隣にいる彼が寒くないように、私が一番に挨拶できるように布団ごと二人を包み込む。火照る顔が落ちつくまで蛍は彼の吐息にじっと耳を澄ませていた。
 
 
 
 
 
 
 あとがき
 
 今落書きしている時の蛍ってこんな感じじゃないかな~と書き出してみたのがこの短編でした。いい夫婦の日にただ二人が抱き合うCPたちって尊いよなぁから始まったやつなんですが、なんかできたね。
 朝早くに目が覚めた蛍は腕の中で寝ている謙之介さんにただただ愛おしいと感じてる場面です。目が覚めた時に隣にいるのって嬉しいよなぁと思って蛍に語っていただきました。
蛍は一途だな。良いぞ、もっと言葉にしていこうな。
 また、おまけ的な謙之介さん視点も入れようかなと思ったけど、中の人的に蛍の想いでしんみり終わりたいなと思い本編だけにしときます。蛍が語ってる所で起きてたかもしれないし、彼は彼で蛍の寝てる顔を見てニヤけてても良いし、ご本家と読んでくれた皆さんにお任せしようかなと。謙之介さんの想いも蛍が聞けたら良いね。まあ自分の短編では謙之介さんに割と語らせてますがね←
 久しぶりの尊いに感化され、完成した短編でした。今は正直仕事上資格取らねばならない状況なのでなかなか創作もクトゥルフセッションもできてないですが、こうやって突発的にもできていけたらなと思います。とりあえず謙蛍は尊い( ˇωˇ )