雨の道
休日、昼間の輝いていた太陽が嘘のように今は厚い雲に空が覆われている。むしろゴロゴロと遠くから音が聞こえるくらいだ。
「良い天気だと思って傘持ってきてないや
……」
空を心配そうに見上げる彼女は隣にいるカラーコーンを被る彼の手を握る。
「そうッスね。俺も持ってきてないんスよ」
「丸介くんも?」
こくんと彼が頷くと赤いカラーコーンが揺れる。
「このまま降る前にどこかで休みますか? 結さん」
「そうね。雨宿り出来そうなところあれば良いんだけど
……」
周りを見渡しながら歩く二人。
「傘を買うのでも良いんだけど、なかなかお店がないのね」
「コンビニでもあれば違うんスけど
……ないっスね」
雷の音がだんだん近くなっているように感じる。それでも目的の雨宿り出来そうな場所やお店は見つからず二人は足が速くなる。
「
……まだ私の家の方が近いかも。とりあえず家に向かうのはどうかな? 丸介くん?」
「結さんが良ければ
……!」
「うん。じゃあちょっと歩くけどそうしよっか」
「はいッス!」
結の家に向かおうと二人が話しているとポツポツと小粒の雨が降り始めた。急ごうと走り出した頃にはザァーと本降りへと変わっていた。
「わぁ、雨が
……!」
手を握りながら走る結は丸介の背中を見失わいように足を前に運ぶことでいっぱいいっぱいだった。結は少しでも視界を確保しようと右手で激しい雨を覆うが変わらない。
「ヤバいっスね
……!」
「もう
……」
「結さん?」
彼が足を止める。後ろを振り向くと、手を繋いでいる彼女が肩を震わせているではないか。どうしたのかと、思わず声をかける。
「大丈夫っスか!?!!」
どこか体調が悪くなったのかと丸介がわたわたと慌てるそんな彼に結は肩を抱きながら顔を上げる。
「だ、大丈夫
……ふ、ふふ」
「ど、うしたんスか?」
「ふふふ、いや
…だって
……」
突然笑い出した彼女に丸介は訳が分からずポカンとする。結はふふふと笑いが止まらない。
「ふふ、ご、ごめんね
……もうここまで濡れたらおかしくって
……!」
「おかしい??」
「そう、ふふふ、急いでももう、変わらないかなって
…思うと
……!」
「まあ、確かに自分もずぶ濡れっス
……!」
丸介は胸から下が濡れて肌に張りついている服を確認する。もう下着まで濡れている様だ。
「ふふ、ね? 私も同じなの」
「お揃いっスね」
「うん」
周りが走り出したり傘をさして歩く中、二人はあははと笑い出す。
「今日が、暑い日でまだ良かったっス
……!」
「はは、それは同感
……!」
「はぁ
……でも、結さんが風邪ひくと心配なんで
…とりあえず行きましょうか
…!」
丸介は結の手を握り直す。それに応えるように彼女もにっこり微笑みながら握る手に力を入れる。
「ふふ、丸介くんもだよ。まあ、家着くまでは雨を楽しみながら行くことになるのかな」
「そうッスね!」
「雨のデートも丸介くんと一緒なら嬉しい」
少し頬を染めながら目を細める結。見上げたあと、恥ずかしそうにさっと顔を逸らしこっちだよと前を歩き出す。
「
……!! 俺も! 結さんと一緒だから嬉しいっス!!」
「うん
……」
先を歩き出す結の隣に並び丸介は顔を覗く。彼女はまだ目線を合わせてくれないが、口元を緩ませていた。そんな彼女に丸介は声が弾む。
「結さん!」
「な、なあに?」
「可愛いっス! だから後でゆっくり見せてください!」
「えっ!?!!」
どういうこと?と驚く結は顔を上げる。雨に濡れ額にはりつく髪をそっとよけながら、丸介は頬を包む。
「今の結さんも良いっスけど、もっと明るいところで見たいんスよ!」
それにと彼は続ける。
「この格好はあんまり他の人に見られたくないんで」
「え、そ、そんなに?」
丸介は濡れて体のラインがわかる結の姿を見下ろす。胸元を抑えている彼女だが、その手が離れない様にしようと心に決めながら声をかける。
「そうっスね! 手はそのままが良いと思うっス!」
「わ、わかった! そうする
…!」
「はいっス!」
彼は嬉しそうな返事をすると、行きましょうと歩み出す。さぁと降り出す雨音と二人の跳ねる足音、そして笑い声が家へと続く道に響いていた。
おまけ
「お風呂お借りしました!」
「温まりましたか?」
「はいっス! ありがとうございました!」
「ふふ、それなら良かった」
髪を乾かしている結は手を止め、丸介に微笑む。
「お父さんの服で申し訳ないけど、一応サイズ的に入ってよかった」
「服まですみません」
「ううん、そのままで風邪ひく方が困るから気にしないで」
「ありがとうございます
…!」
「ふふ、あ、こっちきて。髪乾かしてあげる」
「いや、そこまでは
……! 自分でできるんで!」
「私が終わったところでついでだから。それと
……何となく私が丸介くんの髪乾かしたいと思ったんだけど駄目かな?」
嫌ならやめるけどと少し申し訳なさそうに見上げる結。丸介は一瞬悩んだ後、頭をかきながらこたえる。
「そ、それならお願いします
……!」
「はい、喜んで」
ぱぁと嬉しそうに微笑む結はこっちと自分の隣をぽんぽんと手で示す。丸介は少し緊張しながらも嬉しそうに頬をほころばせて彼女の隣に座っていた。
あとがき
お題ガチャの診断結果から介結を書いてみました。付き合ってからの二人です。突然の雨でも二人なら楽しく過ごせるんだろうなと書いていて中の人はほくほくしていました笑 尊いです~
雨が降る中で丸介くんはカラーコーンしてるからそこまで濡れないかもと頭をよぎりましたが、まあそれすらを越える雨が降れば良いかとなりました。それと心配する彼なら結さんにカラーコーンを渡すのでは?と思った時はこんなに重いものを彼女に渡さないかとなり、とりあえず一緒に歩いて結さん宅(お店)へ向かうことになりました。
おまけでは髪かわす場面があったら可愛いなと思い少し追加を。つい甘やかしたくなる結さんでした。
▼テーマ_診断結果
ずぶ濡れになってもう吹っ切れたので、雨を浴びながら帰る丸介と結。
#お題ガチャ
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