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11155.
2021-08-21 15:18:45
3133文字
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一〇回言ったら
付き合う前の謙蛍。うちよそ組みです。縦書きで作成するので数字の表記はこちらになりますが「十回」と読んでもらえたらと思います。とても尊い( ˇωˇ )
一〇回言ったら
骨董屋「ガルデニア」の扉を開けると背の高い棚いっぱいに本や時計、アクセサリー等々とそれぞれに物語を感じさせるものがところ狭しに飾られていた。見る者にとっては思わず手に取ってしまうものまであるだろう。
そんな店内をぐるっと見渡すと、奥まった席には店主と思わしき男性が座っていた。さらっとした黒髪に細目の彼はどうやら誰かと話しているようだ。隣の女性だろう。
「今日もお邪魔しちゃったけど大丈夫ですか?」
このまま話しても良いかと、タレ目より上に切りそろえられた前髪と肩まで届かない短髪の彼女は、申し訳なさそうに声をかける。そんな顔を見せる彼女に彼は優しく笑いかける。
「もう終わるくらいだし、気にしなくて良いよ。客の足も引くぐらいの頃だしな」
「そうなんですか?」
「ああ、話し相手がいる方が気も紛れる」
静かな店内を少し見渡す。それに続くように彼女も他の人が居ないことを確認すると、戸惑いながらもへらっと嬉しそうに笑う。
「じゃあ、お言葉に甘えてこのままお話させてください。謙おじさん」
「俺でよければ」
「はい!」
彼、謙之介は年下の彼女に元気だなと思わず声がでる。
「えへへ、仕事が少し早く終わって良かった。謙おじさんと話せるから」
「お、おお
…
嬉しいが話すとかは俺じゃなくても良かったんじゃないのか? 蛍ちゃん」
蛍と呼ばれた彼女は不思議そうな顔を見せる。
「え?」
「いや、隣とはいえ歳も離れてるし、仲の良いすずめちゃんもいるだろう? だから何でかなと思って
……
」
だんだん聞いてる自分がいたたまれなくなってきた。ふと思った疑問だが、遊びに来てる子に聞く必要はないじゃないかと、謙之介は目線を彼女から逸らしていた。いつも慕ってくれる彼女がどう答えるのか知るのが怖かったからかもしれない。
「うーん? 謙おじさんと話したかったからですよ? すずめちゃんはまた後で話すのでそれは心配いらないです」
私のことを心配してくれてるんだなと蛍は思い問題ないと答える。その言葉に目が合わないままの謙之介は少し跳ねた胸を抑える。
「謙おじさんだから話すのが楽しいんです」
彼は顔を上げると嬉しそうに微笑む蛍と目線があう。やっとみてくれたと目を細める蛍は自分の前で両の手のひらを合わせる。
「私が友人少ないのもあって心配かけてるんだと思うんですが、少ないからじゃなくて、謙おじさんが良いから来てるのでそこは大丈夫です! 実ちゃんも結さん、健さんとも仲良しなんで!」
他にも碧とか鈴丸くんもとよく話す名前を上げていく蛍。そうじゃないんだがと思う謙之介だったが、彼女のその思っていたのとは違う様子にははと笑ってしまう。
「そうか。たくさんいるんだな」
「はい! なので大丈夫です!」
「それは良かった
……
」
笑っていた謙之介は、はぁと息を整えていると、彼女がそうだと何やら思いついた様子を見せる。
「謙おじさん! スキを一〇回言ってください」
にっこり微笑む蛍が彼を見つめる。
「そりぁ、唐突だな」
「とりあえず何も考えずにお願いします」
「ああ、言われた通りにすれば良いんだな?」
「はい!」
これはまた定番のクイズだと謙之介は思っていた。スキだと何があったかなと思いながら、彼女の言う通り従うことにした。
「スキ、スキ、スキ、スキ、スキ、スキ、スキ、スキ、スキ、スキ」
指をおり数える彼はスキを連呼する。手をみせ、十回言ったことを蛍に知らせる。
「ほら、それで?」
ふふとこぼれるような笑みをみせる蛍は顔を近づけ、彼と目が合うような姿勢をとる。
「私もです」
「ん?」
「私も、大好きです」
彼女の言葉が理解出来ずに謙之介は固まる。「ダイスキ」の言葉が頭を巡り出すと、彼は蛍から距離を取るようにガタッと背もたれにもたれかかる。しかしこれ以上後ろに下がれないため、先程とほとんど距離は変わらない。
「ぇっ、うわぁ
……
!? ほ、蛍ちゃん
…………
?!?」
「はい」
「い、いま
…
なんて
………
」
「大好きですよ」
「んっ
……
!?!」
謙之介の顔が青くなったり赤くなったりしている様子に思わず、いたずらっ子の様に笑ってしまう蛍。耳まで赤く染まり驚いている表情の謙之介から彼女は目が離せなかった。
「ふふ、やっぱり謙おじさんは可愛いな」
「んなっ
…
! からかうにも程があるだろう
……
!?」
「ごめんなさい。でも嘘はついてないから許してください」
「それって
……
うわぁ!!」
彼が言い終わる前に蛍は彼の後ろに回り、ガバッと抱きつく。可愛いと思う気持ちが抑えられなかったようだ。
「えへへ、おにいさん可愛い~~~」
「ちょっと、蛍ちゃん
……
!?!!」
謙之介は義足の自分では逃げられないと悟り彼女が満足するまでやり過ごすしかないとじっとしていることにした。顔が変わらないよう眉にギュッと力を入れたまま、ドキドキと鳴り止まない胸を抑えることしかできなかった。
おまけ
ふと、謙之介は前にされた一〇回クイズを思い出す。今の彼女にしたらどうなるのかと疑問を持った彼は隣に声をかける。
「蛍ちゃん、スキを一〇回言ってみてくれ」
肩まで伸びる髪を耳にかける蛍は本から目線を外し、謙之介に顔を向ける。
「えっと? スキ、スキ、スキ、スキ、スキ、スキ、スキ、スキ、スキ、スキ、スキ
……
ってあれ、何回だろう? これで一〇回は言えてると思うけど大丈夫?」
問題ないかと伺う彼女に微笑む謙之介。
「ああ、大丈夫だ」
良かったと目を細める彼女に彼はそっと頬に触れる。
「俺も好きだよ」
「あぅ
……
!?!!」
ボンッと赤くなる蛍。おろおろと目線が泳ぐ彼女にくっと笑い声が漏れる。
「な、なんで急に
……
?」
「いや、ちょっと。くくっ、前に蛍ちゃんがしてくれたの思い出してさ」
「
……
あ、ああ!? だ、だいぶ前だね!」
なるほどと恥ずかしさで蛍がまた慌て出す。前とは違うその様子に胸があたたかくなる。
「ああ、好きだよ。前よりかもな」
「うぇ
……
!!」
「蛍ちゃんの好きもまた聞きたい」
「
……
ぅぅ、大好き
…
です
……
」
目をぱちくりする謙之介。そしてあははと声を出して笑う。
「ははは、大好きだ。蛍ちゃん」
今度は俺がと思いながら、蛍を優しく抱きしめる。
あとがき
付き合う前の謙蛍です。探索終わったあとの距離がぐっと近くなった感じの時期かな?蛍の印象が親しい謙おじさんから可愛い謙おじさんになった頃だと思っていただければ。
付き合う前はこうですね。蛍謙な感じです。蛍が照れる謙おじさんをからかうのが日常でした。好きも簡単に言えちゃう彼女が唯一、異性の中で可愛いと思わせた謙之介さんにぐいぐいいってますね。この時の大好きは家族の好きだと思ってる蛍だから、こんなことが簡単に出来てしまう。謙之介さんの驚き方ももうちょいこう、大人な対応かもなんですが、すみません。中の人が驚く謙之介さん見たかったようでこうなりました。
ちなみに本編の最後、お店にお客さんが来ないかの心配も謙之介さんはしてそうだなと思ってました笑 蛍は見られても良いやと思ってるので謙之介さんほど心配はしてないかな。
おまけでは付き合ってからの謙蛍を少し。短編から謙蛍を知っている方はこちらのイメージが強いんではないかなと思っています。どちらも中の人的な尊過ぎて直ぐにかけてしまった
……
尊いは偉大だ。
また思いついたらこんな感じで短編をあげたいなとは思ってます。ちょっと時間見つけて出来そうなものからかいていきます~。
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