一番に決めたこと
うんと返事をするが、なんで返事をしたのかさえ意識が怪しくなっていた彼女は懸命に腕で前に倒れないよう支えていた。もはや机に倒れ込むまであと少しといった体勢だった。
「でね! 今度は忘れないようにしてたんだけど、結局当日になったら忘れちゃって
……」
「
……うん
……う、ん
……」
「だからごめんねって謝ったんだけど
……蛍ちゃん? 大丈夫??」
「
……うん
……」
俯きながらじっとしている蛍の様子に話し続けていた彼女が声をかける。同じ返事しかしない蛍を心配しながら顔を下から覗く。
「もう凄く眠そうだよ~」
「
……う、うん
……あ、大丈夫
……だから。すずめちゃん」
止まっていた蛍がすっと動いたかと思うと数回目を瞬かせ答える。その目線は下から覗くすずめとは合わないようだ。
「無理しないで欲しいんだけどなぁ」
「
……え、えへへ
……どうしても、起きてたいから」
へらっと笑う蛍にすずめはもうと少し困ったような表情をする。
「今日はたくさん遊んだから疲れたんだね。セバスチャンとも一緒にお出かけしたし。今日はお泊まりだから好きにしてて良いんだよ?」
「
……そ、うなんだけど。まだ、一番しようと
……思ってたことできてない、からさ」
「そうなの? 蛍ちゃんがしたいなら付き合うよ
……! ただその後はちゃんと寝てね?もう夜遅いし」
「うん
……ありがとう
……付き合ってくれて
……」
「蛍ちゃんのお願いだもん! おしゃべりならたくさんできるから! 私も本当は嬉しいよ🌸」
ふわっと微笑むすずめの周りにはまるでお花がとんでいるのが見える様だ。その様子に蛍も優しく微笑む。
そのまま蛍が頑なに寝たくないと言っていたのですずめは隣で起きていられるように今日はあそこに行ったねと最近はこんなことがあって驚いたなどと只管話し続けていた。
変わらず何とか起きている蛍と横で語りかけるすずめのいる部屋で、時計の二針がちょうど上に揃った。夜中十二時を示す時計の音が響く。
「
……あとね! あっ、蛍ちゃん! 十二時なったよ! 言ってた時間だよ!」
ほらと時計を示しながらすずめは眠気を我慢していた彼女に声をかける。そろっと背を伸ばし時計を確認する蛍。目を細めじっと見つめたあと、教えてくれたすずめに本当だと笑いながら反応を返す。
「ありがとう
……! そして、お誕生日おめでとう
……すずめちゃん
……!」
「!! ありがとう🌸🌸🌸 その為に起きてくれてたの?」
「うん
……何とか、言えた
…良かった
……お泊まり決まった、時から
……一番に言おうと
……お、もってて
……」
「蛍ちゃん
……🌸」
「
……ふふ、いつもありがとう
……」
机においたその腕で頭を支えながら蛍は満面の笑みをすずめに向ける。もうその目は眠くてほぼ閉じられているが。
「ううん、こちらこそありがとう🌸
……ってあれ? 蛍ちゃん??」
動かなくなった彼女にすずめは手をひらひらと顔前で動かす。しかし反応はまるでなかった。
「
……蛍ちゃん、寝ちゃったのかな
……? ふふふ、もう頑張り屋さんなんだから🌸 お布団に連れてってあげよう🌸 ちょっとごめんね」
すずめはそれっと言いながら、蛍をお姫様抱っこする。揺れに一瞬蛍の声が漏れるが、そのまま目は閉じたままだ。
「良かった! じゃあ蛍ちゃん連れていくね~今日も楽しかったけどまだ明日もあるもんね! 楽しみだな🌸」
明日も二人で遊ぶんだと嬉しそうにすずめは笑いながら、起こさないよう蛍を大事に抱えそっと一歩を踏み出した。
あとがき
最近長いのばっかりなので一場面だけと条件つけて書いてみました。前のお題ガチャにて、蛍とすずめちゃんのうちよそコンビです。この二人は幼なじみになるのかな。めっちゃ仲良しでこう、いつも一緒にいるのが当たり前の友人です。お泊まりする仲の同級生は蛍だとすずめちゃんしか居ないんだろうなと思ってたのもあり、友人と楽しく過ごしてたら思ったより疲れちゃったのは仕方ないよなと中の人的にはなってました。
ただ結構、今寝たらまずい状況ってなんだ?を考えましたが、締め切りに追われてるか運転中とかしか思い浮かばず、でもすずめちゃんが語ってても反応しようとする場面は
……と悩んでました。お部屋でうとうとしてて欲しいのもあり、今回は誕生日祝いの言葉を伝えたい蛍(彼女的には寝たら起きれない程疲れているまずい状況)にさせていただきました。彼女たちがゆっくり過ごすそんな場面が表現できていたら良いなと思います。
すずめちゃんの反応があっているかちょっと一番不安ですが、すずめちゃんは可愛いです。後、めっちゃでっかい蛍を抱えられるのも彼女だからだよなと最後、思わずお姫様抱っこを入れてしまった。
▼呟き元
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