謙蛍のただただ幸せそうな所を見たかった……久しぶりに蛍がいじめっ子になったよ!しかし口付け描写が多めなのでもし苦手な方はご注意を…!控えめにしたつもりではあるんですが(震え声) 大人だけどゆっくり付き合っていく二人が好きです。
二人が強いのは?
布団で雑誌を読みながら寝転がっているとふと目の前に影ができた。読みづらくなった文字列から目線を外し、覗き込む彼女に声をかける。
「蛍ちゃん?どうしたんだい」
「うーん、謙之介さんはなんの本読んでるのかなぁって思って」
隣で同じように寛いでいた蛍が微笑んでいた。手には携帯を持っており、先程まで誰かとやりとりをしていたようだ。
「ああ、前に気になってた美術品の特集があったから読んでるんだよ」
ほらこれと見せてくれるページには南国を思わせる木々と紺碧から白群のグラデーションがパッと目をとめる海の風景画が載っていた。
「凄い綺麗だね~海とかあんまり見たことないけどこんなに綺麗なところなら凄く行きたくなっちゃうね」
「ああ、凄いだろ。行きたくなるのもわかるよ。この作品を観たときにこんなに綺麗にかけるのかと印象に残ってたんだ。青の使い方が上手いんだよなぁ。
…あと何となく懐かしくてな」
「謙之介さん、鹿児島の方だったもんね!」
「うん、まあ海とかは身近だったから恋しいのかもしれないな」
ふっと懐かしむように微笑む謙之介にそうなんだねと蛍は嬉しそうに答える。
「じゃあ、次出かける時は海に行こうね。私は詳しくないから近場に行くとかになるかもだけど
……謙之介さんが行きたいって思えるところ行こう!」
「良いのか?一緒に泳ぐとかは出来ないが」
右脚の義足に少し目をやり、申し訳なさそうにその脚をさする。寂しげに見える彼に蛍は大丈夫と話す。そして右脚ごと優しく包むように彼の手に自身の手を重ねる。
「うん、謙之介さんと一緒だから良いんだもん。眺めるだけできっともうテンション上がってそれどころじゃないと思うし
…! 話すだけでその日終わっちゃうかもね!」
今から楽しみで仕方ないと、えへへと笑う彼女に謙之介もつられて笑ってしまう。
「まだどこに行くかも決まってないのにか? 気が早いな、蛍ちゃんは」
「だって楽しみなんだもん! 謙之介さんは違うの?」
「いや、俺も楽しみだよ。
……泳がなくても蛍ちゃんの水着姿は見たいかもな?」
一瞬悩んだあと、ニヤリとほくそ笑む謙之介に蛍は焦りだす。
「はっ
……!!いや、その!無いから!ちゃんとした水着ないから
…!」
「そうなのか?」
「
……川遊びとか、で偶に着てた時は学生とかだったし、基本スク水とかTシャツに短パンで行ってたから
…サイズ的にも
…………」
「
……ん? 後半
…は、服で泳いでた、のか?」
「ひ、人が居ない穴場があって
…! そこだけ家族とすずめちゃんたちと行ってた時だけだからね! ガッツリ泳ぐとかじゃなくて、浮き輪で浮かぶとかだったし
……!」
今はそんなことしてないから!とわたわたと言い訳をしだす蛍。その慌てようにあははとたまらず笑う謙之介に対して、蛍はもう情けないと耳まで赤くなっていた。
「あはは
……、い、いや、思ったよりやんちゃだったんだなぁ。蛍ちゃんは
……くっ、まさか服で泳いでいたとは
……!」
「
……もう! そんなに泳ぐ機会なかったから、買う必要無いかなって
……思ったんだもん
……!」
「わ、悪い
……くっ
……いや、予想外だったから
……つい、
……な?」
思った以上に笑いに入ったようで声が漏れないように堪える。しかし笑い続けている謙之介。その様子をじーと見つめる蛍はズンと近づき彼にあと少しで届く所で両手を構える。
「
……うんと、そんなに笑いたかったら、もっと面白くしてあげる
……ね?」
それ!っと言いながら謙之介の脇にお腹にとわしゃわしゃとくすぐり出す。
「おっ
……!?わっ!?!! ちょっ
……ちょっと、待って! う、あははっ、はははは!!」
「声出したかったら、たくさんどうぞ
……!!」
それそれ~といい笑顔で謙之介をくすぐり続ける蛍。そして彼にまたがる形で逃げられないようにする。もう状況からみたら襲ってるようにしか見えない
……いや、実際襲われている三〇歳をとうに過ぎている謙之介。
「あ、ははっ、ふっ
……くっ
……ちょっ
……くそ
……っ!」
流石の彼も年下のしかも彼女にされっ放しなのはどうにかしないとと、もがきながら抵抗をしはじめる。
「ふふふ、謙ちゃんが優しくて力任せに抵抗できないことは知っているんだからね~」
「あっ、それは
……卑怯だ、くっ
……ぞ!!」
「たくさん笑ってくれたから、笑うお手伝いしてるだけなのになぁ~ひどいなぁ~」
久しぶりの悪戯っ子が出てきた蛍に、謙之介はそう言えばこの子はイタズラ好きだったなと思い出していた。しかし、懐かしむ暇なく脇の感触に笑いがおさまらない。
「
……あはは、あはははは
……! いや、待て
……蛍ちゃん
…!! くっ、もう
……大丈夫だから
……すまん
……!!」
「うん、だから?」
笑みを浮かべてこちらを見る蛍に謙之介は、あ、そんなに怒ってたのか?と笑いながらも悟った。でも流石に笑うのにも体力の限界がみえてきた彼は動き出す。
「くっ
……ほ、蛍ちゃん
……すまん
……な!!」
「えっ?」
ぐいと蛍の視界が回り出す。さっきまで下にいた謙之介の顔が今は真横にきている。二人とも布団の上で横並びになっている状態で倒れているようだ。そして蛍の下には謙之介の腕が支えるようにあった。
「
……っ、はぁ、はぁ
……さ、流石に
……キツくてな
……」
息が乱れている謙之介。一瞬何が起きたかわからず目をぱちぱちさせていた蛍は謙之介に許してないんだからとまた手を出そうとする。
「あ、でもまだやりたり、ないんだから
……ね!」
「
……そう、なんだな
……じゃあ、こっちも
……我慢せずに
……いくからな?」
「う、ん??」
息を大きく吐くと狙いを定め蛍の首筋に吸い付く。咄嗟のことに蛍も分からず驚くばかりだった。
「あっ、け、謙ちゃん
……!! ぅっ、ぁ
……!」
執拗にちゅっと音を鳴らしたり、甘噛みをしたり首をせめていく。その度に蛍は我慢しきれない小さな声を漏らしながら身体を震わせる。
「
……ほたる、ちゃんは
……ここふ、よわひ
……からな?」
首筋を口に含みながら話していく謙之介。
「ず
……ずるいっ
……ひゃ
……!」
「止まらなかった、蛍ちゃんが引き金だろ? 俺は謝ったんだよ?」
また一つ口付けを落とす。
「うっ、だって
……笑い
……過ぎだよ
……あぅっ
…」
「ああ、それは本当にごめんな」
優しく告げるとまた一つ大きく吸い付く。
「んっ
……もう、許したから
……! 大丈夫
……!」
ゆらゆらと瞳をゆらす蛍は謙之介にされるがままになっていた。先程とは違い立場が逆転している。
「うん、ありがとう。じゃあ、もう少し蛍ちゃんに気持ちが伝わるように
……」
「えっ?」
すっと目を細めにっこりと微笑む謙之介は蛍に優しく声をかける。
「俺の気持ち受け取ってくれるか?」
「あ、
……はい
……」
「良い子だ。可愛いな、蛍ちゃんは?」
かぁと全身が燃えるように熱くなる蛍。もう見るからに赤く染まっているのが分かる。謙之介はくくっと思わず笑いがこぼれていた。
「
……もう、だから
……!」
からかわれたのかと震える声で見つめる彼女にもう我慢できなくなる。
「いや、違うんだ。蛍ちゃんが本当に可愛くて。謙ちゃんの蛍ちゃんは自慢の彼女だからな」
「あっ、そ、それは
……」
「うん?違ったか? 謙ちゃんは誰のだったかな?」
畳み掛けるように問いかける彼に蛍は羞恥に悶える。
「
……あぅ
……蛍の
……です
……っ」
「はい、良く言えました」
蛍には直視できない程の嬉しそうに微笑む謙之介にうっと心が締め付けられていた。あの時の出来事を覚えていると彼に知られてからはこうやって偶に話題にされる。
「謙ちゃん
……が嬉しいなら、私も、嬉しいよ
……」
ただその言葉を出すだけで蛍は精一杯だった。それに対して謙之介は上機嫌で言葉をかけ続ける。
「ああ、好きだよ」
「
……はぃ、好き
……」
「うん、好きだ」
「
……!! もう、好きだから! もう、もう
……!」
キャパオーバーです
……と彼の胸の中で音を上げる蛍。
「謙之介さん、ズルい
……それ弱いのに
……」
「はは、これくらいしか勝てないからね。蛍ちゃんは付き合う前から強かったから」
「
……うっ、違うと、思うよ?」
そうだよね?と声を震わせながら聞く様子にまた、くくっと笑ってしまう謙之介。
「ずっと可愛くて強い蛍ちゃんだよ。さてあと少しだけ
……」
なんだろうと見つめる蛍に耳もとで囁く。
「俺だけに見せてくれ。蛍ちゃん」
ぶわぁとまた全身が赤く染まる蛍は辛うじて一言を口にする。
「
……謙之介、さん?
…」
その言葉だけでわかってしまう自分なのに頷くことも拒否することもしない蛍。
ただ聞き返すことしかしない自分はずるいなと思いながら、彼がする自分の首筋への口付けをただただ受け入れていた。
おまけ
「蛍ちゃん、可愛いは言ってくれるけど、言われるのは慣れてないのかすぐ照れるよな? 好きもそうだけど」
「え? あ、うーん、何でだろう? 慣れてないからだと思うよ??」
首を傾ける蛍。すると何か思い出したように声を出す。
「あっ」
「うん? どうしたんだ?」
「あ、いや、なんでも
……」
「なんでもないんだったら言ってみたら見たら良いんじゃないか? 別に変なことじゃないだろ?」
そうなんだけど
……と渋る蛍。
「えっと、多分、謙之介さんだから照れるんだと思う
……よ?」
「
…彼女として、って
……ことか?」
「
……う、上手く言えないけど
……私は割とどんなこと言われても平気な方なんだけど
……なんか、謙之介さんと
…付き合ってから知らない衝撃ばっかり受けてて
……上手く受け止められ、なくて
……あんな、感じに急に固まったり
……ってどうしたの???謙之介さん??」
顔を手で覆う謙之介がいた。えっと驚きながら様子を見てる蛍をよそに謙之介は呟く。
「
……本人に聞く俺もアレだけど
……目の前で言っちゃうとか蛍ちゃん
……」
「あ、あれ?駄目だった?」
「いや、そのまま素直な蛍ちゃんで居てくれ
……好きだよ
……」
「
……!?」
謙之介さんはだきって蛍に抱きつくのかな。蛍はよく分かっていないが、まあ謙之介さんに変に思われなくて良かったってホッとしてます~。
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