クトゥルフ神話TRPGの海さん(日本人とイギリス人のハーフ)過去編をなんか文字起こししてみようかな企画です。過去に考えていた設定を少し読みやすく出来ていたら嬉しいな。気持ちが続く限りやってみますね。
過去編 英国から日本へ 前半
いつもの家に
なだらかな丘に一本の道が続いている。乾いた土は轍が重なりボゴボコと凹凸が酷く、人の足では歩きづらい状態だった。そんな草すら生えなくなった跡からできた頼りない道をものともせずに子供たちが声を上げ駆けていく。
「おい!あそこまで行こうぜ!!」
「もちろん!皆で競走だな!」
「あれか?あの羊が集まってる所だよな? 抜け駆けはなしだからな!」
わっとかけ出す四人を追いかける一回り小さな人影がある。
「わっ! 皆待って置いてかないでよ!」
前にいた内の一人は振り返り、後から付いてくるその子に手を差し出す。
「ほら、こっちだよ!一緒に行こうか!」
にこと振り向く子は赤い髪が日に透けて、その笑顔までキラキラと光っているようだった。
目指すはあの羊の群れがいる丘の上だと話していく子供たち。一番先に着いたのは、言い出した金髪が眩しい子だった。
「おっしゃーーー! 俺一番!」
「
……くっそ! ハロルド! ずるいぞ!! 先に走り出してたじゃんか!」
「そんなことなかったぞ!! ちゃんと声掛けたし!」
「はぁ、はぁ
……あと少しだったから
……まあ、そう怒んなってお前ら」
だって!と納得いかないのかギャーギャー騒いでるのは、ハネているくせっ毛が揺れるコネリーだ。ハロルドも俺はズルしてないからな!と勝ったはずなのに騒いでいる。
「なんだよ! そんな顔して、エリックだって悔しいんだろう!」
そういうコネリーは何してんだと言わんばかりの態度のエリックを少し見上げながら声をかける。汗で引っ付く明るい金の前髪を払っているその相手に。
「そりゃあ、悔しいもんはもちろん悔しい。
……ただ、後ろが気になってさ」
そういうエリックが振り返る先をあとの二人も覗くように目を向ける。
「ほら!あと少しだから! 気をつけてね」
「う、うん
……! ありがとう
………!」
「どうってことないよ!女の子には優しくしてあげなきゃダメだからね」
何でもないというその言葉に、彼女はひとつにまとめた金髪を揺らしながら碧眼を細めて笑う。
「ありがとう!カイ!」
「えへへ。メアリーさぁ、ハロルドたちの所に行こう」
メアリーの手を引くのはカイ、そう本名は五三 海(いさみ かい)という珍しい名前と珍しい赤髪を持つ少年だった。
「競走だって言ったじゃないか! カイ!」
メアリーの手を引きながらかけてくる海に思わず不満げな声を掛けるコネリー。
「ちょっと! 私のためにカイは遅くなっただけじゃない!」
「ならメアリーが悪いな!足遅い癖になんで来るんだよ!カイが優しいからって競走の邪魔するなよ!」
「そ、そんなことないもん!急に走り出して競走だって言ったのはそっちじゃない!!」
メアリーが負けん気で言い返す。それに反応する様にコネリーもそういうもんだろ!と勢いで返し、まさに売り言葉に買い言葉の状態だ。
「まあまあ、いや、どうせなら皆で行きたいなって思って」
本人を他所に騒ぐ二人へ海はにこにこと微笑みながら答える。そんな様子の彼らにハロルドが口を挟む。
「俺の妹がごめんな。でも誘ってもないのに付いてくる奴をそんなに相手にしなくて良いぞ?」
「なんでそんなこと言うの!!」
「だってお前、来るなって言ったのに付いてきただろう!」
今度はハロルドとメアリーが口喧嘩を始めた。ハロルドも負けず嫌いというか頑固なところが強いが、妹のメアリーも負けないぐらい気が強い。この兄妹の喧嘩は日常茶飯事なぐらいだ。
「また始まったぁ。もういいや、俺。とりあえずハロルドの勝ちで」
「あ、一番はハロルドだったの?コネリー」
いつもの光景を目の前に三人が口々に話し出す。
「一応な~、絶対ずるしたと思ったけどな」
「納得したんじゃないのか?」
「いや、エリック、だってさぁ」
口を尖らせながら俯く彼に、エリックが背中をどんと押す。
「そんな気にすんなって。あと少しだったんだろう?それだけお前の足が速かったって意味だから」
「そうだよ!後ろから見てたけどどっちも速くて一番が誰か分からなかったんだもん。コネリーはすごいよ!」
「そ、そうかな
……?」
照れくさそうに笑うコネリー。機嫌が直った様子の彼にエリックと海も良かったと笑う。
海がいつも一緒に遊んでいる友人たち、ハロルドとコネリー、エリックはこの村の幼馴染だ。村では特に悪戯好きと知られており、ハロルドが先頭に立ち、面白そうだなと意気投合するコネリーと組んで大事になっていく。その横で周りを見ながら二人が困らないようのらりくらりと逃げる方法を考えるのがエリックだ。そんな三人は海を最初赤髪と呼び、からかっていたので仲良くはなかったのだが、ハロルドと海が子供ながら殴り合う程の大喧嘩をしてから今のような友人となった。
「
……と、それにしても、相変わらず長い喧嘩だな、カイ」
「そうだね~」
「これは誰かが止めに入らないとずっとこのままだな、なあカイ」
「う~ん、そうなんだけど
……僕が止めないとダメ?」
二人に名指しで声を掛けられる海は少し困り顔で聞き返す。
「だってカイの言葉は素直に聞くじゃん。あの二人」
「そうなんだよな。特に気難しいメアリーなんか俺たちが止める時とは反応が違うからな」
うんうんとコネリーはエリックの言葉に頷く。
メアリーはハロルドの妹ということもあって、よく四人と一緒に付いてきて遊んでいた。昔から気が強く、ハロルドとコネリー、エリックの三人の時は女子と遊べよ!とよく逃げられもしたが、海が入ってからは一緒に行こうと声をかけてくれるので遊べる頻度が増え、より一緒にいる時が多くなった。
「そんなこと、ないと思うけどな? まあそこまで言うなら止めにいってくるよ。そろそろ皆で遊びたいしね~」
じゃあ、待っててねと二人に手をひらひらさせながら、喧嘩が止まらない兄妹の元へ向かう。
「だからそういう所が可愛くないんだよ!!大人しく家で待ってたら良いだろ!」
「何よ!女の子だって外で遊ぶのよ!そんなの可愛いとか関係ないんだから!なら私だってもっと優しいお兄ちゃんが欲しかったよ!ガサツなお兄ちゃんじゃなくて!」
んべっと舌を出すメアリーにわなわなと身体を震わせるハロルド。着地の見えない喧嘩に止めに来た海も思わずため息をこぼす。
「はぁ
……もう、二人とも! 今日はこんな晴れ渡った空の下でそんなに喧嘩がしたいの? そんなことよりもっと面白いことしようよ!」
「だってこいつが!!」
ばっと指を互いに刺しながら、声を揃えて海に答えてる兄妹。
「ほらほら、そんな息ぴったりなら楽しいこと間違いないよ? お昼過ぎてるし、今日は僕は用事あるからいつもより少し早く帰るのに
……二人は遊んでくれないんだね
……?」
寂しいなぁとそう言うと少し俯きながら悲しそうにする海。二人が慌てて駆け寄る。
「そうじゃない!いや、遊ぼうな!だから声掛けたんだぞ!!」
「私も遊びたいよ!ね、皆で遊ぼう!」
ほら、仲直りしたからと手を握る二人。海は目線を少しあげ、まだ信じられないような顔を向ける。
「ほんとうに? 仲良し?」
「お、おう!ほら! な、メアリー!!」
「ぇ、うん!もう大丈夫! ね、お兄ちゃん!」
互いに抱き合い、同じ緑の瞳を二人がヒクヒクさせながら笑顔を見せる。これで仲良しだろ?と言いたげに。まあ、良しとするかとボソッと呟きながら
「うん、ならもう喧嘩しないで遊んでくれるんだね! じゃあコネリーとエリックのところに行こう!」
にこと笑顔を見せる海。そして有無を言わさず、二人の片手をそれぞれ握り歩き出す。海を挟むように並ぶ。海の右手にはハロルドが、左手にはメアリーがいる。
「
……怒ってる?」
「えっと
……もう喧嘩、しないから、な?」
「そんなことないよ~それより遊ぶ前に二人ともごめんなさいだからね? 待ってる二人にもね?」
キラキラと輝く緑の瞳には、最初にみせていた笑顔とは違う重みをハロルドとメアリーには感じさせていた。
「はい
……」
揃って答える二人はまさに仲良し兄妹だった。
「ごめんなさい!」
「ごめん!もう喧嘩しないから!」
海に連れてこられた二人は待っていたコネリーとエリックに謝る。
「おう、大丈夫~こうやって戻ってきてくれたし」
「そうだな。謝ってもくれてるから、遊ぼう。そうだよな、カイ?」
後ろでにこにこと微笑む海に皆が目を向ける。
「うん、これで大丈夫だね。次はもっと仲良くなってると嬉しいな」
無邪気に笑う海を見て、ハロルドとメアリーはやっと安堵する。コネリーは流石~と言いながら笑い、エリックは思わず呟く。
「カイがやっぱり適任だな。あの二人には」
「うん?どうしたの?」
「いや、これから何して遊ぼうか。なカイ?」
そうだね!えーと、と嬉しそうに考える海にエリックも青い瞳を細め思わず苦笑する。どんな遊びをしようかと皆で出し合うことにし、これからの時間に胸を高鳴らせていた。
「坊ちゃん~~~時間ですよ~~~~! どこに居ますか~~~?」
遠くから呼ぶ声が聞こえる。バタバタと走り回っていた海が立ち止まる。それにつられるように周りの皆も止まり、コネリーがどうしたのかと海に尋ねる。
「今呼ばれた気がしたから。ちょっと待ってね!」
すると見晴らしの良い、元いた場所へ向かうと、道の向こうから人影が見える。どうやら声の正体はその大きな人影のようだ。
「こっちだと思ったんだけどなぁ。もういっちょ声かけるか」
一際大きな声で坊ちゃんと呼びかける。
「はーーーーい!こっち!! 今行くから待ってて!!!」
気づいた海はそう答えると、遊んでいたハロルド達の方を向き時間だと残念そうに話す。
「ごめん、もう時間みたい。アールが迎えにきてくれたみたいだから帰らなきゃ」
「アールさんが来たのか!呼びに来るぐらいなら今日は大事な用事なんだなぁ」
少し遅れてハロルドが到着し、海の隣に並び声をかける。
「そうなんだよ。お父様が来る日だから」
「偶に会えるお父さんだっけ?」
「うん、そう。偶にだけど会える日は連絡くれるからその日はお母様と一緒に会うのが約束みたいになってて」
「カイのところは大変とか言ってたもんな。まあ偶になんだしゆっくり会ってくると良いよ」
ハロルドはそう言うと海の肩に手をぽんと置く。その彼の横からひょこと顔を出したコネリーも続く。
「俺たちとはまた遊べるしな!そのお父さんに顔見せてきなよ!」
「そうそう」
「カイ、また明日遊びましょう!」
エリックとメアリーも到着していたようで同意していく。ただ少し俯きコネリーが一人零す。
「そりゃあ、遊べないのは嫌だけどさ
……」
その肩にハロルドがガシッと腕を回しながら元気づけるように声を掛ける。
「そんな顔すんなって。お前も言ってただろ。また遊べるからさ。なっ、カイ?」
にかっと笑い彼は海に顔を向ける。思わずつられてコネリーもその目線の先に目を向ける。
「もちろん!」
満面の笑みで答える海に皆が照れくさそうにわらう。
「ありがとう!皆! こんなに良い友達がたくさんいて本当に嬉しいよ! お父様にも報告してこなくちゃ! また明日来るね!」
そうだね、またなと口々に別れの挨拶をしていく。海は手を振りながら迎えにきたアールの元へ駆け出していった。
「アール!待たせてごめんなさい!」
「坊ちゃん、大丈夫ですよ。奥様が準備するからと少し早めに呼びにきただけなので。ただ、探しましたよ!こんな所まで来てたんですね」
大変だったんですよと大笑いしながら背が高く胸幅も広い彼は、海の家の使用人の一人。唯一の男性で力仕事も軽々とこなし、海の遊び相手も勤める子供好きである。そして根っからのお人好しだ。
「今日はかけっこしてたのもあってここまで来たんだ! 皆で羊を追いかけたり寝っ転がったり色々としたんだよ!」
「へぇー! そりゃあ楽しそうですね!」
「うん!!」
目をきらきらとさせながら海が笑顔で答える。その様子にアールもにかっと笑う。
「楽しいのが一番ですからね! さあ、坊ちゃん次は奥様と旦那様に報告しましょうか!」
「わかった!」
元気よく返事をする海を抱き上げ、肩車をするアール。目線が急に高くなり、わぁっ!と驚くがガシッとアールの頭を抱えバランスをとる。
「ほら、しっかり捕まってくださいよ!」
「あははは、アール凄いな! 重くないの?」
「まだ大丈夫ですよ! ただそろそろ坊ちゃんも大きくなってきたので走るのは難しいですがね!」
「ふふ、そうだね! じゃあまだアールが元気なうちは甘えさせてもらうけど、無理しないでね!」
「優しい坊ちゃんだ! 気をつけますって~!」
二人はカラカラと笑いながら、家へと細い土道を進んでいく。海は普段より近くなった空を見つめながら、今日はどんなことをお母様とお父様に話そうかと先程まで一緒だった友人たちのことを思い出していた。
海の家は、村から少し歩いた高台の上にある小さな屋敷だ。はちみつ色のレンガ造り、屋根は暗めの石で積まれた瓦式。窓枠や扉は白やセージグリーンとアクセントになっており、上品に感じられる。庭の草花が季節に合わせ彩りを飾るその屋敷はまるで絵本に出てくるような心安らぐ場所だ。
家の屋根が見えてきた所で、誰かが海とアールに手を振っていた。
「カイ様~~~! アールさ~~~~ん~~~!」
「あ、ニコラだ! はーい!」
ぶんぶんと音が聞こえそうなほど手をふる人影に海が手を振り返す。
「奥様が~~お待ちですよ~~~~~!!」
ニコラと呼ばれたその女性は、待ちきれないといった様子で庭先で二人を待っていたようだ。手を振る勢いで後ろに束ねたくせっ毛が元気に跳ねている。
使用人の中で一番若いのがニコラだ。都会に憧れ、家の手伝いをするなら仕事は自分で探す!と言って、ちょうど村では珍しい使用人の募集を見つけ自ら志願した行動力のある女性だ。小柄だが比較的力持ちで重いものでも難なく運べることが多い。
「今行くからもう少しだけ待ってて!」
「はーーい!!」
バタバタと屋敷に戻っていく様子に海とアールがクスクスと笑い合う。
「相変わらずだなぁ。あのお嬢ちゃんは~」
「そこが素敵なところだよね?」
「お、流石、坊ちゃん! よくわかってますね!」
「うん!アールがよく言ってるからね! 誰もが素敵なものを持ってるって!」
「おぉ! そうですよ! 坊ちゃんももちろん素敵ですからね! その奥様譲りの髪も目も、そして素直な気持ちもね!」
「あはは、ありがとう! アールもいつも優しくて素敵で大好きだよ!」
頭をぎゅうと抱える海にアールも嬉しくその小さな手に自分の手を重ねる。
「私もですよ! 一緒に居られて楽しいことが増えたのは坊ちゃんのおかげです」
そういうとあと少しですからね!と言いながらアールはかけ出す。ゆっくり揺れていた歩き方とは違い、下からのドサドサと全身に伝わる揺れにワーと海ははしゃいでいた。
庭に着く頃には準備をしているのか忙しそうにニコラはくるくると荷物を移動させていた。
「ただいま!」
「今、戻りましたー!」
「あ、おかえりなさいませ! カイ様! アールさん!」
くるっと振り返り、キラキラと深緑の目をまたたせながら二人を迎えるニコラがいた。
すると彼女の後ろから声がかけられる。
「ニコラ、少しは落ち着きなさい。おかえりなさいませ、お坊ちゃま、アールさん」
「きゃ!ごめんなさい! エリさん!」
あわてて荷物を持ち直し、使用人である女性に謝るニコラ。その横でもう一人がクスクスと笑っている。
「うふふ、大丈夫よニコラ。元気なのは良いことでしょう? エリ?」
「奥様、そうですが、まだ仕事中です。使用人としてはもう少し丁寧な動きを心がけていただきたいのですが」
相変わらずねと微笑みながら、ふわっと揺れるたび日にキラキラと鮮やかに光る赤髪を肩まで流している女性と対照的に艶やかな黒髪をきちっと一つにまとめた女性が並んでいた。奥様と呼ばれた女性は、支えられるように側に立つ使用人の彼女に手をそっと添えている。
海と同じ鮮やか赤髪に透き通った新緑の様な目を持つ女性は母親であり、五三 アイリーンである。イギリス生まれイギリス育ちだが、海の父親と出会い結婚し五三の姓を持つ。今は三人目の我が子、海を出産した後に体調を崩したことから、養生のためと実家で使用人たちを雇いゆったりと過ごしている。
その彼女の隣に立つ使用人は、結婚後の日本、五三家で暮らしていた時にお世話係として仕えていた渡瀬 英梨(わたせ えり)という。一部の隙もない様なほどビシッと制服を着こなしている。この場では珍しい黒髪と少し明るい黒茶色の瞳を持つ責任感の強い日本人だ。英語が問題なく話せるということから世話係に任命されたのがきっかけだが、真面目な性格からアイリーンが少しでも過ごしやすいよう甲斐甲斐しく世話をする。そしてアイリーンが実家に戻る際も自ら声を上げ唯一日本からついてきた使用人だ。
「お母様! エリ! ただいま戻りました!」
「お待たせいたしました。坊ちゃんをお連れしましたよ。奥様、エリ」
「おかえりなさい。少し早く呼んでしまってごめんね? カイ
……ちょっとお話したいことがあって」
アールの肩から降りる海は大丈夫!と言いながら、母の元へ駆け寄る。
「今日もたくさん遊んできましたよ! 皆で丘の向こうまで行ってきました!」
にこにこと無邪気に笑う海に母は目を細めながら頭を撫でる。
「それは良かった
……! せっかくの楽しい時間を奪ってしまうのが申し訳なかったんだけど、少しでもそうやって過ごせていたなら何よりだわ」
「はい! お母様は体調大丈夫ですか? ゆっくり過ごせましたか?」
「ええ、お気に入りの小説の続きも読めて楽しかったわ。むしろ最後に読んだ続きが気になってウズウズしてるわね?」
「奥様、大人しくしてくださいね。これから旦那様と会われるんですから」
それまで静かに聞いていた渡瀬が声をかける。
冗談よと渡瀬に微笑みながら、しゃがみこみ目の前の海を抱きしめる。
「うふふ、どうしたんですか? くすぐったいです
…!」
彼女の長い髪が海の頬を撫でる。
「こんなに愛しくて可愛い子がいるんですもの。抱きしめたくなってしまうのよ?」
茶目っ気たっぷりにウィンクをする母に海もあははと大きな声で笑う。そして腕をアイリーンの肩まで回しぎゅうっと抱き返す。
「嬉しいです! お母様、大好きです
……!」
「ええ、大好きよ。愛しのカイ」
二人で笑いあっていると、コホンと咳払いが聞こえてくる。
「アイリーン、カイ、そこは冷えるんじゃないかな? そして私も可愛い孫を出迎えたいんだが、良いかい?」
声の方へ振り向くと家の扉を開け、様子を伺っている男性がいた。明るい茶髪を短く切りそろえ、優しい眼差しのその人物は海の祖父、ケヴィンである。娘と孫を迎え入れようとしていたようだが、なかなか姿を見せないので待ちきれずに玄関まで来たようである。
「お父さん! だってカイがあんまりにも可愛いから
……つい」
「それは仕方ないな」
ケヴィンはその言葉にうんうんと頷く。その反応に、彼の隣に佇んでいた眼鏡をしている落ち着いた女性が窘めるように二人に声をかける。
「アイリーン、他の人たちに迷惑かけてはいけませんよ。貴方も同意しないの。ほら、準備をする方は進めてくださいね。お願い出来るかしら、エリ?ニコラ?」
「申し訳ありません。はい、ローラ様。承知いたしました」
「はい! 大奥様!」
その場を取り仕切る彼女、ローラは海の祖母であり、二人ほどではないが赤みの強い髪色ときりっとした瞳の新緑はまさに娘と孫に受け継がれているのがわかる。先程までの様子から海とアイリーンののほほんとした性格は祖父、ケヴィン譲りなのだろう。
「改めて、おかえりなさい。カイ、アール」
「ああ、おかえりなさい。早く家においでゆっくりしよう」
二人が優しく海とアールを迎え入れる。
「はい!ただいま戻りました! おばあ様、おじい様!」
「お気遣い痛み入ります。坊ちゃんをお連れいたしました。大奥様、大旦那様」
アールはお辞儀をし、さぁ行きましょうと海に微笑みかける。アイリーンも立ち上がり海の背中をそっと押す。
「中に入りましょう。お父さんとお母さんのの方へ。暖かい部屋でまたお話させてね」
「はい!」
海はパタパタと二人の元へかけていく。右手にはケヴィンと左手にはローラ、二人に手を引かれながら嬉しそうにただいまと呟きドアをくぐる。
あとがき
やっと、やっと過去編少し書き出せた
……ウチの子である、五三 海(いさみ かい)の過去編になります。通称、海さんって呼んでるので、ここでも海さんと表記していきますね。
海さんはクトゥルフ神話TRPGの探索者であり、何年前だ
……約六年?前??に作成した創作キャラです。割とTRPGを始めた初期に作った思い入れの強い探索者です。ウチは創作とかなかなか出来なかったタイプで皆よくそんな設定を探索者に考えられるな!?と驚いてた中、頑張って、めっちゃ頑張って過去はこんなことが起きてたんじゃないかなぁと初めて掘り下げて考えたのが海さんでした。後、考えられた理由は元にした「学生戦争」のキャラを探索者にしたという背景が大きいですね。その学生戦争のキャラの特徴がめっちゃ反映されてます。「誰にも言えない秘密を持っている」この単語だけで、設定を頑張って考えていましたがね
……!!
当時の長文書き出しも去ることながら、読むのも大変だったのでもっと分かりやすく書けたら、ウチの子話しやすいかなと六年ぶりに設定を文字に起こしました。いやぁ、当時よりスラスラ考えられるのは今年の推しへの再熱(うちよその絡みを文章にした時)からだと本当に思いますが、よくここまで語れるようになったなと自分でも驚きです。読みやすくなったとかは別にして(震え声)
まあ、ここまで語っていながらこの過去編は前半であり、後半終わったあともまだまだ続く予定です。とりあえず初期設定三一歳になるまでのざっくり話をかけていけたらなぁと思っています。どのぐらいの頻度で進められるかは謎ですが
………もし気になる方がいたら嬉しいなと思いながら地道に進めていきますね。このうちの子熱がおさまらないことを祈りながら、頑張ります~~~~!
元気になった海さんは今探索者として復帰し、三四歳で戻ってきたのでシナリオ回りながら、もっと色んな生き方を創造できればと思います~!ウチの子の中で正統派イケメン、海さん頑張るぞ~~~!
★背景書き忘れてた
…!?!
・海さん6歳になる前ぐらいの頃、誕生日が近いぐらいの時期です。
・簡単に言うと海さんは生まれてすぐアイリーンと渡瀬さん、3人でイギリスに渡るよ。生まれは日本、育ちはイギリスっすね。
▼過去の呟き
▼最近の海さん_キャラクターシート作成し直し済