純恋愛?みたいなただ相手を想う初恋を書きたいなと思って作成しました。犠牲になったのは、碧っす。多分恋愛経験は何度かしてるタイプ。そして今はうちの子同士の初CP出来てるから初恋は多分実らないという悲しみを背負ってますね……。おまけにどうなるかは分からないって書いてあるけど←
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本の虫の泣き虫へ
気がつくと目で追ってしまう。いつからだろう。この前までは名前すら知らなかった相手を思い浮かべながらふと頭を傾げる碧。そしてその相手を探すために校庭に目線を向ける。
「
……そうか
…あの時か
……」
髪を高く結び直す彼女を見つめながら呟く。
「碧!!早く行こうぜ!!」
「すまん!少し図書館に用事あるから先に行っててくれ!後で追いつくから!」
「お、了解!」
「分かった~なんかあったら実に伝言頼んどくわ!」
「そうしてくれ!」
友人の二人と別れ、図書館へ向かう碧。今日返却期限の借りた本を返しに向かうためだ。
「思ったより読むの時間かかったからなぁ
……家の仕事関連とはいえ、専門用語が結構難しいからもう少しわかりやすい本も借りるか
…」
次はどんな本を借りようかと考えていると、視界の端に何か映ったような気がして足を止める。北棟へと続く渡り廊下には中庭と建物の裏側が見えるくらいだ。中庭には簡易だが休憩スペースもあるのでそこに人がいたんだろうと思い直し顔をあげる。しかし人影は見当たらない。
「
……気のせい、だよな?」
少しゾワッと背中に悪寒が走る。ただの見間違いだと言い聞かせていると今度は何か、すすり泣くような、耳を凝らさないと聞こえない小さな音がどこからか聞こえてくる。
「
……こんな明るい時から
…幽霊、とかやめてくれよ
……お経とか覚えてないからな
……」
はぁとため息をつきながら、音が聞こえる方へ静かに近づく碧。
「原因を確認しないと気になって仕方ないこの性分が恨めしいや
……」
ぶつくさ言いながらも気になるものは気になる。中庭とは反対側の建物の裏側を覗く。フェンス近くには木々が生えており、ここから学校の所有地だと主張している。他には見当たらずキョロキョロとしていると、建物の少しせり出した段差に物陰が見えた。音もそこからのようだ。
「実物であってくれよ
……」
上履きのまま足を忍ばせ声をかける。
「あの
……どうかしたんですか? 体調悪い
……と
…」
「うわぁ!?!?!?!」
「うおぉぉ!!!?!」
二人の驚きの声が重なる。
「っ!あっ!! いや! その、ごめんなさい
……!! 声かけられると思ってなくて
…びっくり、しちゃって
……!」
涙をためて話すのはセーラー服を着た同じ中学一年生くらいの女子のようだ。片手をつきながら座るその足の上には本が一冊置かれている。その本を掴む女子生徒は肩まである髪を乱したままだ。
「い、いや
……急に声掛けたのは、こっちだから
……こちらこそごめんなさい
……」
碧もそんな反応するとは思っておらず、ドキドキと鳴り響く胸を押える。とりあえず落としそうになった本を何とか持っているのがやっとだった。
「そっ、それにしても
……こんな所で、何を? なんか、音が聞こえたから
…泣いてるような
…心配になって見に来たんだけど」
「
……ぅ! えっと
……音が聞こえたの?
……泣いてる、音??」
「そ、そう。あそこの渡り廊下で立ち止まった時に
……なんか聞こえてて
…」
すると、目の前の女子生徒がみるみると赤く染っていく。大きかった目がさらに丸くなり、瞳が揺れているではないか。
「えっ!!! だ、大丈夫?? どうしんたんだ???」
「あ、いや!! その!?! 別に何でも
……!」
首を横にブンブンと振り回す彼女にさらに碧は心配になる。これはなんか知らんが落ち着かせないとと、持っていた本を近くに置き、思わず両肩をガシッと掴む。そして目線を合わせ話しかける。
「なんか知らんけど、無理するなよ? 別に誰かに話すとかしないから?? なっ?」
体を固定された彼女は碧との近い距離にまた驚き、そして目線が泳ぐ。
「あっ! いや
……その、恥ずかしいと、思っただけ、だから
……! 思い、詰めてとかじゃ
……な、くて
……」
「そ、そうなのか?」
「
……ぅ、うん
……」
「なら、良かったぁ」
はぁと息を吐き、安堵する碧。自分が何かやらかしたのかと思っていたのもあり、その答えに肩の力が抜けていく。
「
……ぁの
……」
震える声で小さく問いかける彼女。
「申し訳ない
…ないんだけど
……近いから、ちょっと離れて
……もらってもいい?
…は、恥ずかしくて
…」
「あ、ぁあ!! つい! 悪い!!!」
ばっと両肩から手を離すと、後ろに一歩下がり碧は距離をとる。確かに近かったなと先程まで見つめていた丸い瞳を思い出し、また胸が騒ぎだす。
「
……大丈夫、心配してくれたって
…のは伝わったから
……」
「あ、うん! それ以外は、何も思ってないからな?!」
碧は急に自分の行動に恥ずかしさを感じてしまい、顔を赤くする。
「えっ
……あ、あはは!ありがとう
…!」
「な、何で笑うんだよ!?!」
「だって
……!さっきまであんなに余裕、そうだったのに
…! 照れてるんだ、もん
……!」
「っ!心配だったから目の前のことやるしかなかったんだ
…! 仕方ないだろ?女子が近くまでいたら、それは反応してしまうんだ!健全な男子だからな!!」
「自分で健全って
…っ! 言っちゃうかな! それ
…!!」
「んな!?! 知らん!!! 出たもんは出たんだから!?!」
お腹を抱えながら笑う彼女に、碧ももう恥ずかしやら安堵したやらコロコロ変わる感情の変化に追いつけず混乱していた。
ただ泣いていた相手が笑ってるだけで、まあ良いかとはぁと大きくため息をつきながらしゃがむ。
「
……あっ、大丈夫?
……笑い過ぎちゃったよね
…」
碧は顔を上げると、申し訳なさそうにまた彼女の瞳は揺れていることに気づく。乱れた髪もそのままだ。
「
……うん、まあ、あれだ
……せっかく笑ってたのにその顔はしなくて良いよ。髪もほら
……」
そういうと彼女の頬にかかる髪を耳にかけてあげる。
「よし、笑ってる方が良いよ」
力の抜けた顔でへらっと笑う碧。彼女はその反応にまた顔を真っ赤に染める。
「
……っ、な、なんで
……そんなさらっとできるの??!」
「えっ? 何かしたか、俺??」
「て、天然か
……こわい
……」
「女の子には、優しくするんだら? あれ、蛍やすずめさんからそう言われてるんだけど
…違ったのか?」
聞き返した碧につられるように、彼女もまた首を傾け疑問を口にする。
「ぇっ、えっと、だら??」
「あっ、訛りだったっけ! 偶に親の方の訛りが出てくるもんで
…えーと、女の子には優しくするんだろう?って聞いたんだよ」
眉間を抑え申し訳なさそうに話す碧。
「そうなんだ
…!それならあってるけど
……同学年でそういう女の子に優しく、できるのは、珍しいと思うよ?」
「そういうもんなのか? まあ、俺の周り姉や幼なじみとか女性が多い方だから特殊かもなぁ
……」
「な、なるほど
……?」
彼女を横目に、よっと碧は座り直し、せり出したコンクリートに腰掛ける。近くに置いていた図書館の本も手に取り、パンパンと軽く叩く。
「あれだな、とりあえず落ち着いたか? もう泣かなくて大丈夫そうか?」
「あ、うん
…! 色々とごめんなさい
…」
「はは、もう大丈夫だって。それにしてもなんてたってこんな隠れるように居たんだ?」
「あ、それは
……」
しどろもどろになる彼女に碧はまた笑う。
「そんなに話したくなかったら良いよ。勝手に心配しただけだしなぁ」
「そうじゃなくて
…! た、ただ
……小説に感情移入して、泣いてただけだから
……!!!」
碧は予想外の言葉に驚き、きょとんとしてしまう。
「
……え、えー、つまり
…その手元にある
……小説を読んでてってこと?」
「そ、そうなの
……! だから、大した事じゃなくて
……むしろ、恥ずかしいというか
……昔から読んでて感傷に浸りすぎたり良いなと思ったら感動し過ぎたりして涙流しちゃうから
…人目につかないとこに居たの
………!!」
一気に話すと彼女は手に持つ本をぎゅっと掴み顔を隠すように前に持ってくる。碧と壁を作るかのように。
「へ、変でしょ? 私でも変だと思うし、普通に読める時もあるけど
……良い作品は我慢とかしないで、そのまま読みたくて
……」
「ほ、ほう
……すると、あれか? 家まで我慢できなくて、隠れて呼んでたのか?」
こくんと本ごと頷く彼女はまだ目線があわないままだ。でも本を持つ手は何となく赤くなっている気がする。
「ん~~~確かに、それは話しづらいやつやな。感動しては分かるが人前でも泣くのはなかなかだと思う
……周りも流石に驚くというか
…引くというか
……」
「そ、そうだと思って
………」
声がだんだん萎んでいく。あ、やっちまったかと慌てて声をかける。
「で、でもな! そんなに素直に小説を好きになるのはすごいと思うぞ! ハマるのってエネルギー使うだろ? 俺はなかなか出来ないしこう知識的な本ばっか読んでるタイプだから、そういう出会いがあるのは本当にすごいと思う!!」
「ほ、本当
……?」
「お、おう! 楽しむことは大事だし、周りに気を使ってここにいるんだら? ちゃんと迷惑かけないようにしてる君はつまり偉いら?」
思わず畳み掛けるように問いかける。それにぽかんと口を開けた彼女が本越しに見えた。
「
……あっ! すまん、またでてたな
……」
思わず眼鏡を覆う碧。
「う、ううん
……何となく、聞いてるのはわかる気がする
…あはは、君は優しいなぁ
……ありがとう」
大きな瞳がまた揺れている笑顔に目が離せなくなる碧。彼女は最初とは違い、何だかあたたかいものを見るようなそんな目をしている。
「
……あー、でもここでも気付かれちゃうなら
……もう読めないなぁ
……家で読むしかないかぁ」
「えっ?」
「うん?だって泣き声、聞こえちゃったんでしょ? 君みたいに心配かけちゃうし
…」
本好きなのにすぐに読めないのかぁと残念そうに呟く。そんな彼女の様子に胸が苦しくなった気がして本を握る手に力が入る。
「
……それなら、俺もここに来ようか?」
気がつくとそんな言葉が出ていた。
「うん?なんで?」
「あ、いや。二人でいたら、泣いてても話してただけになるじゃんか
…そしたら会話してるだけとか
……?」
「ははは、それだと君が悪者になっちゃうよ?」
「あっ! そうなるのか?? いや、慰めてる側に見えるかもよ?」
まだ少し本で顔を隠しているが、碧の思いがけない言葉に笑う彼女が見え隠れする。
「
……本当に、君は優しいなぁ。そんな君に甘えてしまっても良いのかな?
……でもやっぱり悪いなぁ
……」
「だ、大丈夫! 毎日は難しい、かもだけど決まった時間に集まるとか、事前に連絡するとかしてくれれば
…!」
「具体的だ
……! ありがとう
…! うーーーーーーん
……じゃあ、お願いしようかな」
「こちらこそ
…!」
「はじめて、こんなことお願いしたよ。泣き顔も見られたし今日はじめて会話したのに」
「あっ、それはごめん
……!」
「いや、大丈夫。そのおかげで君と話せたし」
えへへと照れ笑いをする彼女。
「あ、そう言えば名前聞いてなかった
……君じゃ呼びづらいから、名前教えてくれる?」
「そう、だな! 雨宮、あめみやって言うんだ
……! えっと
……」
「雨宮くんね。私は伊藤、いとうって苗字」
「伊藤、さんだね。多分クラスは別かな。会ったことないもんな」
「そうだね~二組だよ。私」
「じゃあ違うや。俺は一組だから」
改めて二人でよろしくと恥ずかしそうに握手する。
「それにしても
……どこかに行く途中だったんじゃないの? 大丈夫??」
「あっ!!! 本返しに行く途中だった!?!!」
「だからその本を持ってたんだね。難しそうな本読むんだね
……」
「たまたま興味あってね。まだやっぱり難しいからもう少しわかりやすい本借りようと思ってるけど」
「偉いなぁ。小説好きだけどそういうのはからっきしダメで
……小説のオススメとかなら語れるんだけど
……」
少ししょんぼりとする伊藤に碧が声をかける。
「
……じゃあさ、もし良かったらオススメ教えてよ。俺も面白かったとか勉強になったとこ軽く伝えるから、こう情報交換しないか?」
「え、良いけど、私語っちゃうよ?? 雨宮くんの話理解できるか分からないし
……」
「うん。それで良いよ。もし興味持てそうな話できたら
……俺の勝ちってことで」
「勝ちって
…あはは、勝負なのね? よし、頑張ってオススメの本語るね
…!」
「うん、そうしよ。せっかく二人でいるし
……あとやっぱり笑ってた方が良いね。笑って貰えるようになんか見繕ってくるよ」
えっと驚く伊藤を残し、碧は図書館に向かう為かけ出す。
「じゃあ、俺、今日は用事あるから本返して帰るね! 明日また放課後にここで会おう!」
「あ、う、うん! 明日、放課後だね!! 待ってる!」
呆然とする彼女を一人残し、碧はどんな本を借りようかと彼女の笑顔を浮かべながらかけだしていた。
「突然だったし、最初怖がってたのにな
……俺
……面白い奴見つけられたから良かったけど」
思い出し笑いをする碧。あれからほぼ毎日、放課後の最初の時間は一緒に過ごしていた。連絡先も交換して今日会えるかとか、早く帰るとかのやり取りしかしてないけど、会えば話すからそれぐらいで済んでいるのかもしれないなとふと思う。
「女の子には優しく、二人の言葉は間違ってなかったよ。どんな子も笑ってた方が良いもんな」
今は整っているポニーテールを揺らす伊藤を見つめながら、今日はこの本を話そうと考えている碧だった。
おまけ
「なあ、伊藤さん初めてあった時に読んでた小説ってなんだったんだ?」
「え、あの時は
……確か、ファンタジーものだったよ。その世界の獣を育てる主人公が奮闘する話。ただ獣が好きでお母さんと一緒の思い出だったお世話をしたかっただけなのに色々と巻き込まれちゃうんだよね
……主人公が
……あ、泣けてくる
……」
「お、おい
……流石に早すぎるだろ
…!?」
「えへへ、隣にいるのが普通になったからか涙腺緩くなっちゃったかも? まあ良いお話だよ~!!是非、原作読んで欲しいね!」
「あ、ああ
……まあ泣き過ぎて目腫れないようにな?」
「確かに
……!気をつけます
……ありがとう雨宮くん!」
「どういたしまして」
「あっ、私もひとつ気になってることあるんだけど」
「うん?どれのこと?」
「あれ、訛りで励ましてくれてた時?あれ正確にはなんて言ってたの? だら、以外にも使ってた気がするけど
……」
「うん
……、あ!あれか
…ちょっと待ってな
……確か
『周りに気を使ってここにいるんだろう?』『ちゃんと迷惑かけないようにしてる君はつまり偉いだろう?』
こんな感じだったと思う
……今更ながら恥ずかしいな、これ
……」
「あはは! そして、なるほどね!どっちも同じように確認してる?時に使う訛りなんだね~あとやっぱり雨宮くんは優しい~」
「感覚で覚えてるから上手く言えるか分からないが、なんか最後の単語が動きで確認する時か形容詞?単語?で終わるかで違ってると思う。うーん、優しいというか、伊藤さんめっちゃ泣いてたしな
……?もう止めるのに必死だったわ」
「泣いてた時に来た雨宮くんが追い討ちかけたからだよ
…!もう恥ずかしかったんだから
……まあ、今はもう良いけどね」
「はは、そうだな」
黙々と本を読み出す二人っすかね。伊藤さんはもう本の虫です。本が好き、でも頭はそんな良くないよ。
碧はね、多分一目惚れに近い初恋かな。吊り橋効果もあったかもだけど、一人で耐えている姿と笑顔にやられましたね。誰の姿を重ねたかは内緒。本人は多分無自覚っす。初恋がどうなったかはまだ分からないけど、多分恋から愛に変わる感じのイメージ。今はまだ分からないので思いついたら書くかもしれない
……。
とりあえず誰かを笑顔にしたいとただただ想う、素直なお話になってたら嬉しいな。
【イメージ画追加】
閲覧ありがとうございます!!!
嬉しくて思わず伊藤さんの姿まで出来てしまいました笑 ちなみに中一ということで、碧は伊藤さんより小さいです。ただ次の年くらいには成長期を迎え逆転するでしょう~
未だに苗字だけの伊藤さんにはなりますが、碧と伊藤さんがまた絡む話とかかけたら良いな~
▼呟き元
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