11155.
2021-05-03 22:32:50
3574文字
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優しい声が嬉しくて

診断結果を元に介結で。いやぁ、この2人はイチャイチャしてくれますね。こう無意識にしてくれる感じが好き。つい長文についなってしまいますがお付き合い頂けると幸いです。
呟き元
https://twitter.com/11155moon/status/1389053795577974785?s=21

優しい声が嬉しくて
 
 結が机や椅子を移動させたり床に掃除機をかけたりと店内の掃除をしてる中、扉のカランとなる音が響く。
「すみません。もうお店は営業時間外でして……あ、丸介くんか!」
「こんばんは!掃除中でしたか? お邪魔してすみませんっス……!」
 申し訳なさそうに中の様子を伺うカラーコーンを被った彼がいた。そう近所でも有名な彼は丸介という、結さんの彼氏だ。れっきとした彼氏だ。
「大丈夫だよ。待っててくれてたんだよね? でももう少しかかるから……この席でちょっと待っててくれる?」
 そう言うと掃除が終わった奥の方に席を引っ張りだし、用意する。
「いや!そんな自分手伝うっスよ!」
「え、でもお客さんにそんなことさせる訳には……それにこの後お話しようって誘ったのは私だし……
「平気っス!それに結さんの彼氏だから力になりたいっス!力仕事なら任せてください!」
「ふふ、じゃあお言葉に甘えようかな。彼氏さん、席の準備だけお手伝いお願い出来ますか?」
「はいっス!」
 パァと嬉しそうに元気な声で返事をする丸介。その様子に顔は見えないが優しい子だなと思いながら、席を置けるよう床の掃除を再開する。せっせと掃除を二人で進めると予定より早く終わり、一段落する。
「ふぅ、よし!ありがとう!丸介くん! 無事に掃除終わったのでお話しましょうか」
「お疲れ様っス!はい!」
「うん、じゃあ少し制服から着替えるから今度こそ席で待っててね。上脱ぐだけだし」
「分かったっス!ゆっくりで大丈夫っスよ!」
 ありがとうと微笑みながら結はお店の奥に入っていく。丸介がソワソワとしているとにゃーと言う音が後ろから聞こえてきた。顔を向けると鈴をチリチリ鳴らしながら近づいてくる白い猫がいた。
「シロくん……!今日も可愛いっスね!」
 目をくりくりとさせ甘えるように足にすり寄る。この店の看板猫の一匹である。他に黒色とハチワレの二匹が居るがどうやら今日はこの店内には居ないようだ。
 以前は顔が見えないからか、カラーコーンに驚いてるのか丸介は逃げられていたが、根気よく通う内にここまで仲良くなった。のどを撫でてやると嬉しそうにゴロゴロと鳴らしながら、お腹をみせてきた。その容姿にまた可愛いと言いながら全身を撫で回す。シロは嬉しそうに目をつぶり、ゴロゴロと大きな音を響かせる。
「お待たせ……って、どうしたの?」
 飲み物を手に戻ってきた結が声をかける。
「あ!シロくんが来てくれたんスよ!」
 ほら!と言いながらお腹をでーんと見せているシロを嬉しそうに示す。
「本当ね!丸介くんのこと好きだからなぁ。シロ良かったね~男の子の友達できて~」
 飲み物を机の上に置き、一緒にお腹を撫でる。にゃーとまた嬉しそうに返事をすると同じくゴロゴロと音をより一層響かせる。もうなんというか、だらんと手足を伸ばしだらしない格好だ。結と丸介が目線を合わせ、二人は思わず笑いだす。
「この格好やばいね。飼い主ながら呆れるというか」
「猫ってこんな格好するんっスね!確かにこれはやばいっス……!」
 そんなシロもひと満足したようですくっと立ち上がり、スタスタと奥の方へ向かっていった。
「挨拶したかったんだろうな。ありがとう、丸介くん。それとこれ使って」
 店内のコロコロを丸介に手渡す。猫を触った人用の猫毛を取るための道具だ。人好きの猫がいる店内なので、何ヶ所かにコロコロと多めのお手ふきが常備されている。
「ありがとうっス!助かります!」
 ズボンについた毛をコロコロで取っていく彼の横で、改めて席を整える結。
「あと、お手伝いのお礼にといってはあれなんだけど、ジンジャエール持ってきたよ。ちょっとスッキリするかなって」
「そんな!申し訳ないっス!」
「これは私からのだから気にしないで。彼氏さんと一緒に飲めたら嬉しいなぐらいの気持ちだから」
「そ、それなら……
 おずおずと席に座り、グラスを手に取る。飲みやすいようにストロー付きだ。
「うん!私も喉乾いたから飲もうっと」
 席に座った二人はお互い喉を潤すと、今日はどうだっのかと話していく。ご近所さんということで付き合ってからは仕事終わりとかに時間を見つけてはこんな風にお店や近くの広場とかで話をすることが多くなった。また勉強を教える機会もあるが通信制の高校を卒業してからは、話すために会う、そんな機会が増えた。
「それで兄貴と実さんと買い物に出かけた時は……
 うんうんと聞いている結はそれだけで嬉しくて微笑む。カラーコーンを被っている彼だが、その姿でも愛おしくてやっぱり好きなんだなぁと思っていた結はふと、声をかける。
「丸介くん」
「はい!何っスか?」
「ぎゅーってしてもいい?」
 思わず固まる丸介は咄嗟に言葉が出る。
「いやっス
「そっか、じゃあいいや。大丈夫」
 少し残念だが人に触れらることに慣れてない彼に無理強いは良くないなと微笑む。すると彼が反応する。
「えっ」
「えっと、なに?」
「あっいや……
 そのと何か言いたげな様子の彼にどうしたんだろうと首を傾げる結。何となくモジモジしてる様子に……もしかしてしたかった?と思い、口元がにやにやとしてしまう。見つめながら彼に声をかける。そう答えを聞かないとね、間違った行動しちゃいけないからと誰にでもなく言い訳をしながら。
……いや、なんだよね? 嫌がることは出来ないからまた、丸介くんが良い時に教えて欲しいなぁ」
「あ……その……いやとか、じゃなくて…………
 段々声が小さくなっていく丸介。
「突然だったからびっくりしたんだよね。大丈夫、また別の時にお願いするから……
 少し意地悪な顔をしながら結は丸介くんに告げると彼を見守ることにしたようで微笑み、黙っている。その沈黙に耐えきれなくなったのか、意を決したのか、手をギュッと握った丸介が結にあの!と声をかけ立ち上がる。
…………大丈夫っス……! その、自分も……ぎゅーって、したいっスよ!……ただ準備できてなくて……お風呂にも、入ってないから匂いとかするかもしれないっスけど………!」
 その様子に思わず可愛いと思ってしまった結。健気すぎる彼に申し訳なさも感じながら、同じ気持ちだと結も優しい声で答える。
「そうだったんだね。そう言ってくれて私だけじゃないんだって嬉しい」
 少し頬を染めながら嬉しそうに目を細めて伝える。席をたち丸介に向けて
「ぎゅーってさせてもらうね」
……! はいっス……っ!」
 カラーコーンが頭に当たらないよう気をつけながら、目の前の丸介に手を伸ばし胸に顔を埋める体勢で抱き込む。丸介は固まりながら彼女が抱けるように腕を少し上げたりカラーコーンを邪魔にならないように顔の向きを変えたりしていた。
「ふふ、ぎゅーできた。ありがとう。丸介くんあったかいな。あと丸介くんも腕回してくれて大丈夫だよ?前みたいにしてくれたら息もできるから」
「はいっス!……相変わらず柔らかいっス……大丈夫っスか?」
「うん、えへ安心する。凄いなぁ……えっと、本当に丸介くんの体凄いとしか言えないけど鍛えてるからかな?」
 思わず背中にまわした手でさわさわと背と腰あたりまで動かす。自分のラインと言うか形がそもそも違うからか不思議そうにする結に彼がどう反応したら良いかわからずアタフタと答える。
「ゆ、結さん?確かに違うっスけど……!」
「あっ、ついごめんね! 私の方も背中とか腰とか同じ箇所までながら触って良いから……背中さすられるのとか好きだし」
 思わずそう言う結に丸介が驚く。ね?と言う結にそういうものなのかと、腰はさすがにと思いながら彼はとりあえずさわさわと背中に触れる。
「確かに違うっスね」
「でしょう?」
「結さんの方が滑らかな感じっス。ちゃんと食べてるんスか?」
「ん?ご飯もおやつもバッチリ食べてるよ。むしろ重いくらいかもしれないんだけど……
「そんなことないっスよ!むしろ軽いくらいなんで心配になるぐらいっス!」
 そんなこと言われるとは思ってなかったので驚く結だが、ふっと笑う。
「えへへ……ありがとう。その言葉は嬉しいな」
 本当っスよと言う彼に回す腕に更に力を入れ、ぎゅうっとする結。その心配がやっぱり嬉しくて胸があったかくなる。
「うん。丸介くんも沢山食べて元気でいてね。怪我したら心配だから無理しないでね?」
……はいっス」
 その声が優しくて、見れない彼の顔が微笑んでるんだろうなと思う結は、この状況に今更ながら頬が火照り胸がどきどきと高鳴っていた。この胸の音が聞こえないことを祈りながら、でもまだ離れたくないと腕に力を込める彼女だった。