11155.
2021-03-27 21:56:42
4612文字
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私が隠していた思いを貴方に。

勢いは止まらなかった……介結誕生話を書きました。もうイチャイチャ止まらなくて中の人歓喜でしたね

呟き元はこちら~
https://twitter.com/11155moon/status/1371731246045274112?s=21

私が隠していた思いを貴方に。

 ※丸介くんが二〇歳の誕生日を迎え、通信制の学校を卒業したあとのお話

「お疲れ様~そしておめでとう!丸介くん」
「ありがとうございます🌸」
 遅くなったが誕生日と通信制の卒業祝いを結さんのお店ですることにした。ちょっとしたお祝いということで丸介くんと結さんの二人でだ。
「よく頑張ったね!!二〇歳にもなったし、ちょっとした甘いお酒とケーキを用意しました~」
「ケーキは大きいから残ったのは良かったら持って帰って食べていいよ」
 わぁ!と喜ぶ丸介くんに渡す結さん。イチゴが花のように飾られたショートケーキを食べやすい大きさにしていく。
 更にプレゼントと結さんが梱包された袋を出してきた。驚く丸介くんに開けてみてと結さんは促す。中には首から肩、手首まで隠れるショルダーアームカバーが入っていた。
「包帯とか毎日大変そうだなって。スポーツ用品であったから使いやすそうかなと思ったのを選んでみました。良かったら使ってみてね」
 そんなものがあったのか!と驚きながら喜んでくれる丸介くんに結さんも贈って良かったと安堵した。
「美味しいっス!!ありがとうございます🌸🌸🌸」
「ふふ、良かった~丸介くんのだから遠慮なく食べてね」
 わいわい良かったね~これから何したい?など話しながら食べ進んでいく。
 ケーキも食べ終わり、そろそろ終わりの時間に差し掛かった。帰る時間かと少し寂しい気持ちの中、結さんが意を決して丸介くんに声をかける。
「丸介くん、実はね。伝えたい、ことがあるの」
 目の前にいる彼の返事を待ちながら、続ける。
「突然言われて困ると思うんだけど、私の自己満足にしかならないかもなんだけど……私ね。丸介くんがお店に来てくれるのがとても嬉しいの。結さんって名前を呼ばれたり、家の猫たちと楽しそうに遊んでる姿を見たりする時に。
 ……凄く考えたんだ。そしたらね、丸介くんに会いたい気持ちが、知らない間に、大きくなっていったの。
 ……こんな年上の人に、言われるのは困るって思ったけどどうしても伝えたくて。」
 一瞬空気がとまった様に感じる。ただ呼吸をするだけなのに。結さんは熱くなる目に力を入れながら、まだ待ってと、込み上げてくる感情を抑えながら言葉を振り絞る。
……好き。」
 その言葉が空間に響く。
好きなの、丸介くんのことが。会ってきた丸介くんしか、知らないけど、それでもいつも笑いかけてくれる丸介くんが好きなの。ケーキを美味しいって食べてくれる丸介くんが。だから……それ以上の、丸介くんが幸せだと、辛いと、思う時に、そばにいさせて欲しい……
 そこまで、言うと我慢できなくなったのか、耳まで赤くなってしまう結さん。
!!!へ、返事、は過ぐに、要らないから、一度、考えて、欲し、いの……!ほ、本当に、ごめんね???!?!」
 もう、穴があったら入りたい……。そう思いながら、体ごと丸介くんから逸らすと、顔を見られないように更に両手で隠す。まだ泣いちゃダメだと自分に言い聞かせる。
 聞いていた丸介くんが勢いよく立ち上がる。
「俺もおんなじっス!
 俺、結さんには幸せでいてほしいッス!笑っててほしい、怖い目に会わないでほしい、そう思ってるっス!
 だから、勉強も頑張れた。やれることが増えて俺もこれから結さんを助けたり、支えたり、できるって、今とっても嬉しいんス!」
 同じ気持ちを自分も持っていると、結さんの幸せを願っているのだと言葉に出す。考えるよりも先に出る言葉を身振り手振りで話している。
「でも、でも、 自信ないっス、すごいすごい嬉しいのに、きっと結さんも変な目で見られてしまう。それは悲しいことだと思うっス。
 それに、…………でも…………、ど、どうしたら……
 嬉しいと悲しいがごちゃ混ぜになり、どう言葉にしたら良いか分からないと勢いを失う丸介くん。言葉を出そうとするが上手く言葉にならず詰まってしまう。何を言おうとしてるのか自分でも分からず、頭の中がぐるぐるしている。
 思わず結さんが目を向けると、いつもとは違う丸介くんが目の前にいた。咄嗟に手を取る。
あ、えっと。……上手く、聞き取れなかったんだけど……。ま、まずは落ち着いて、ね?大丈夫、だから」
 丸介くんの両手を覆う、落ち着くようにと。
……同じ、同じって言ってくれたの、私もすごく嬉しい。うん、丸介くんがそばに居てくれるだけで、支えになってたよ。もうね、私の支えなの。
 だから、もう丸介くんが背負うものならね。一緒に背負いたいの。例え、変な目で、見られたとしても。私の大好きな丸介くんだって胸張って答えられるから」
 ひとつ大きく深呼吸する。
「簡単な事じゃ、ないって、のは分かってるつもり。まだつもりだけど。もし、少しでも同じ気持ちだって。嬉しいって感じてくれたら……
 隣で恋人として立たせてください。私も初めての気持ちだから、ゆっくりでも二人で、どんな形で、一緒に居られるか考えられたら嬉しいです」
 丸介くんが落ち着くように、微笑みながら両手を覆ったままだ。震える声を絞り出しながら丸介くんを見つめる。
 おそるおそると結さんの手を握り返す丸介くん。聞こえるか聞こえないかのわからない声量でボソッと呟く。
「オレデヨケレバ……
 普段なら聞き逃してしまう声量の言葉に反応する結さん。今、なんて??と思いながら、聞こえた言葉を繰り返す。
おれで、よければ……
 思ってもいなかった言葉に信じられないと目を見開く。引かれると、こんな思いは要らないと断れると思っていたからか、驚きが隠せない。思わず涙が溢れ出す。嬉しい筈なのに涙が後から後から溢れ止められない結さんは思わず
「ごめんね、ごめん、ね……
 繰り返し謝る。涙をとめないといけないと。丸介くんに迷惑はかけられないから。
 急に泣き出す結さんに驚きながら、丸介くんはポケットからハンカチを取り出す。泣き止んで欲しくて、でもどうしたら良いか分からずにいる。
「なんでごめんスか!!!」
「だ、だって。嬉し過ぎて、涙、止まらなくて。困って、るよね? と、年上、なのに」
 丸介くんがハンカチでおずおずと結さんの涙を拭こうとする。ハンカチが濡れ、濃い色に変わるがまだ涙は引かない。止まれ、止まれと思う程にボロボロ出てくる結さんに丸介くんが応える。
「困んないす!!うれしいす!!!!
 かんけいないす!!!!!!!」
「好きっす!!!!!!大好き!!!!!!!!」
……本当に??? 嬉しい……嬉しいなぁ」
 涙はまだ目から溢れるが、何度も何度も丸介くんがかけてくれる言葉にやっと笑うことができた。
 丸介くんの手は、ハンカチ越しでも分かるくらい普段の子供体温通り越して発熱していた。丸介くんが、本当に自分のことを思っていてくれたんだとやっと安堵する結さん。
 思わず目の前の胸の中に寄りかかると、受け止めてくれた丸介くんがそのまま時が止まったかのように一時停止する。そして受け止めた姿勢で止まっていたかと思うと、滑らかに後方に下がり距離をとる丸介くん。沈黙する二人。
 その瞬間、はっ、やってしまったっと、結さんは血の気が引いていく。そんな長く感じた沈黙を破るのは丸介くんだった。
「心臓が……飛び出るっス……
 と真に迫ったように言った後、呼吸を整え、改めて結さんを抱きかかえる。全身に血が巡り体が熱いことを自覚する丸介くんの腕の中はもう、結さんが汗をかきそうなほど熱を持っていた。
 結さんの右肩に頭を寄せている丸介くんは、自分の肩口で結さんの視線を遮る状態にして、カラーコーンをずらしている。心臓のドキドキと暴走する体温に比例して、足りなくなっている酸素を確保するため、口元だけを出す。
「はぁ~~~ドキドキするっス~~~」
「ひゃあ、えっ?だ、大丈夫???」
 変な声出た!?!?と内心、焦りながら結さんは続ける。
「無理してるならもう大丈夫だから、は、離れようか……ありがとう」
 大丈夫かと心配になり声をかける。結さんは抱きしめてくれただけでまた胸いっぱいになったので先程から涙は止まっている。
「大丈夫っス!!! えへ!えへへへ!🌸🌸🌸
 嬉しい!あったかい!柔らかい!結さん好き!かわいい!!もうちょっと!」
 あっ……可愛い過ぎると思っている矢先に先程とは違う熱を感じる結さん。丸介くんが話す度にあるのだ。刺激が強過ぎる気がする……
「ま、丸介くんわ、私も嬉しい……でもちょっと待って。そんなに、み、耳元で、ひゃあっ、話さ、れると。……なんか。へ、変な感じするから。
 お、落ち着いて……!?!!?」
 余裕がない結さんは勢いで伝える。これ以上気持ちが昂ると流石に結さんも困ると思っていると、返事がないことに気づく。あれ?と先程の差に、頭の中で??が浮かぶ。どうしたんだろうと丸介くんの背中をポンポンしていると、真似するように丸介くんが結さんの背中をポンポンし返す。どうやら丸介くんは結さんを困らせないよう口をキュッと閉じているようだ。
 背中を何度かポンポンしあっている際にふと、店内の時計が目に入る。帰る時間をとうに過ぎてる事に気づいた二人。
「わ!もうこんな時間!!」
 わぁ!と言いながら凄い勢いで帰り支度を始める丸介くん。結さんも急がなければと支度を手伝う。
「えっ、えっとこれ! ケーキ、余ったの箱入れといたから!!!
 他に忘れ物はない???」
「ありがとうっす!!!!!ないっす!!!!」
 なんとか支度もすぐ終わった。出入口に二人でバタバタと向かう。
「うん!なら、あれね!大丈夫だね!
 気をつけて帰ってね!寄り道しちゃダメだよ?」
「大丈夫っス!!!!! 結さんも早く寝るっスよ!」
 心配してくれる丸介くんが愛おしいなと思い、その手を取る。手を頬に擦り寄せ、気持ちが溢れんばかりの笑顔を向ける。
「うん!寝るね! ありがとうあ、ありがとうね」
 少し恥ずかしくなりパッと手を離す。
 丸介くんはあまりの可愛さに ひぇ~~ と言いながら結さんの両頬を両手で包む。本人も何をしたいのか分からないが思わず声が、手が、出てしまった。どうしたんだろうと思い見つめる結さんは丸介くんにもにもにされるがままだ。
 その様子に丸介くんが ええ~~~? と言いながら頭も撫でまわしてしまう。結さんは更にどうしたら良いのかわからず困惑する。
「離れたくないなぁ……
 ボソッと言葉が出る。えっと結さんが思っていると丸介くんが話し出す。
「でも!今日だけじゃないから! ばいばい結さん!またね!!おやすみなさい!!!」
「あ、うん!またね!おやすみなさい!」
 最後に結さんの頭を大切なものを扱うように愛おしく撫でる。そしてパッと勢いよく走り出す丸介くんに驚きながら、結さんは返事をする。
 暗くなってきた道を贈り物を胸に抱えながら走る丸介くん。彼の鮮やかなカラーコーンが見えなくなるまで帰っていった道を結さんは恥ずかしそうに、でも火照りが冷めるまでと誰にでもなく言い訳をしながらいつまでも見つめていた。涙で濡れたハンカチが手に残っていることも気づかないまま。