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スズ
2025-03-16 10:55:13
6919文字
Public
人狼村関連
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HEART BEAT-A065
マンション668ソロールログです。
入館証
---
□名前:ロッコ
□年齢:12~15歳ほど
□性別:男
□身長:155cm
□外見:チップ準拠/犬の耳と尻尾が特徴の亜人の少年。武器の携帯は見られない。
□職業:兵士
□得意:においを嗅ぎ分けること、走ること
□苦手:においが強いもの、苦いもの、勉強
---
契約書
---
□名前:ハートビートA065号
□年齢:17
□性別:男
□職業:兵器/実験体
□得意:においを嗅ぎ分けること、走ること、体の一部を武器へ変化させること(この館では刃と鎚にのみ変化する)
□苦手:薬のにおい、苦いもの、勉強、触られること、押さえつけられること、狭いところ、誰かのそばにいること、死へ近づくこと
---
□変えたい過去
拉致され、心臓に爆弾を埋め込んだ生体兵器に改造された過去 /* 館内では爆発しません
→ 故郷で脅かされることなく平和な日々を過ごす
□失いたくないもの
自我
□試練
5.親しい者1名を、騙した上で殺害する。
#契約書
---
プロローグ
目に留まった“それ”に、わからないままに手を伸ばした。
こんなところに本などあるはずがない。
持ち込んだのか。上官か、監視官か、科学班の主任か。
何のために?
まあ、なんだって良かった。
ひまだった。飽き飽きしていた。この狭い部屋の中じゃ。
──それもあったけど。
ちょっとした期待もあったんだと思う。
なにか、変わりやしないかと。
“────何を犠牲にしてでも変えたい過去は、あるだろうか?”
*
契約書を書いた時に提示された試練を思い返す。
親しい者1名を、騙した上で殺害する。
「どこの誰かもわかんねー奴ばかりで“親しい者”、なあ」
状況からして、これから作れということらしい。
そして、なるほど。他の奴らもいるということは、他の奴らもこういう試練を受けているに違いない。
殺すか殺されるか、疑い続ける中で親しい者だなんて。
「
……
趣味わりぃな」
溜息と共に、板状のネームプレートを握りしめた。
*
なにが正解かなんて、常に分からない。
ひとつ間違えればいつ死んだっておかしくない。
常に正解を探し続けている。
この館では死んでも蘇生──つまり生き返るとか、怪我が直るとか案内人は言っていた。
デタラメに決まっている。そんなこと、本当であってたまるものか。
だって。そんなことが可能なら────
*
(ゲームに負けて失うことは怖くないのか? という問いに対し)
俺だっていやだよ、いやだ。
持って行かれるなんて絶対に!
命だけあったって仕方ない。
良いように使われて、死に方も選べないんじゃ、あんまりだ。
でも、全部を取り返して、好きに生きるんだ。
誰にも渡さない。渡したくない。
命より大事な、
*
軍に来るより前の名前は、有って無いようなものだった。
と言うのも、成人するまでは子供はみんな「黒いの」とか「何処の家の子」とか「村の宝」とか、似たような呼ばれ方をするから。
名前の無い女神像の台座を見た時、少しそんなことを思い出した。
女神像の頭上、天窓を見上げる。
明かりを差し込む月が動いた気配は無い。
「陽は昇らないのか
……
?」
陽だまりで、野に咲く花の香りを嗅ぐのが好きな子どもだった。と思う。
それがどんなあたたかさをして、どんな色で、どんな香りであったのかは忘れてしまったのだけれど。
そよ風なんかが吹くとうんと気持ちよくて、その時間が好きだった、と思う。
でも今は、それを思い出そうとすると、なぜだか無性に泣きたくなってしまうのだ。
1日目
ハートビートA065号。
いきなり付いた馴染みのない呼び名は、長くてなかなか覚えられなかった。
みんなにあだ名を付けてくれたのは同じ境遇の【ハチ兄】だ。
ハチ兄、イヨ姉、フミ兄、ツナ、シロ、クロ、ツクモ兄、モモ姉
……
みんなに呼びやすい名をつけていた。
ハチ兄は頭も良くて、みんなから頼られる兄貴分だった。面白い響きの音も沢山知っていた。
軍に来てからは、つらくて苦しいことも、耐えないといけないことも沢山あったけれど、ハチ兄は「必ずここを出る」といつも誓いを立てるように言っていた。
そんなハチ兄を俺は応援していたし、ハチ兄ならできるんじゃないかって信じていた。
きっと、みんなもそうだと思う。
ハチ兄はみんなの希望を背負っていた。
ハチ兄だって、きっと成し遂げるつもりだった。
でも、ピカピカの希望は、ある日簡単に朽ち落ちた。
“目標地点に到達。A008を起爆させる。信号を絶て”
空と大地を揺るがす衝撃、頭が割れるようなでかい音、風に運ばれた火薬と大量の死のにおい。
ハチ兄の向かった方角から伝わってきたそれらが、今も記憶にこびりついて離れない。
俺達は、逃げ出すことなんて最初からできない捨て駒だった。
2日目
殺風景な白い部屋に置かれた、寝る目的だけを満たすような寝床。
その毛布に潜り込む。
この館では、死んだ奴が生き返る。
複数の人物がそう言うからには、確かであるようだった。
なぜ。
死んだ命は生き返らないものだろう?
本当に、生き返る?どうして?
だって。
こんなこと可能なら、どうしてハチ兄やイヨ姉は、みんなは死んだ?殺された?
なんで俺は今まで生き残ることに必死だった?
「生き返るなら、返せよ
……
」
この館の外では、関係ないことらしい。
だから、こんなことを口にしたって何にもなりはしないけど。
溢れ出たような思いが、毛布に吸われて行った。
*
溜息を吐く。
ふわりと、隙間に滑り込むように“強い俺”の心が囁く。
──自分にも叶えられる方法があるじゃないか。
勝利して、試練をこなして、過去を変えれば良い。そのために此処に居るんだろう?
そうだ。勝てばいい。
強い奴が勝って、弱い奴が負けるのだから。
“親しい奴”になりそうな奴を騙して殺せば、試練だって。
そこまで考えたところで、声が聞こえた気がした。
“お願い、許して! ねえ、ロッコ!”
「ッ
…………
!!」
ああ、もう。
嫌だ。嫌だ。思い出したくない事ばかりが呼び起こされて。嫌だ、嫌だ、嫌だ。
汗ばんだ手が毛布を引き剥がす。
急に、死んだ誰かが生き返ることが恐ろしくなった。
気晴らしが必要かもしれない。
*
武器庫で青い魔法陣を探す。
以前と変わらない、張り詰めた気配を感じた。
姿は見えないものの、匂いが近い。
「
……
くそっ」
生きているのだ。あの召喚陣も、召喚士も。
とにかく敵を探す必要があった。
魔物が音に反応して出てこないかと、手近な小刀を辺りに放る。
一瞬のことだった。
付近の箱から飛び出た何かが巻き付く。
開いた蓋から舌を伸ばした宝箱がそこに居た。
擬態した魔物だ。
魔物が小刀に齧り付いている間に逃げる。
ああした手合いは接近戦をするには相性が悪いと知っている。
でも、やらなければ。自分自身の平穏の為に。
本体の動きは鈍い。自分の足なら勝てるはずだと見て、後ろに回り込む。
火花が飛んでノイズが走り回る。
組んだ両手を鎚に変えて、その宝箱のような頭目掛けて振り下ろした。
けれど、びくともしない。
魔物は、頑丈だった。魔物がのそりとこちらを振り返る。
伸ばされた舌が身体中に絡み付く。
「ひっ、」
宝箱のような、けれど牙の生え揃ったその口元へ引き寄せられる。
能力で全身から刃を飛び出させ、針山のようになる。
突き刺さった剣の群れに、魔物が驚いたように体を跳ねさせた。
でも。舌が複雑に絡みついたままでは、大して影響がなかったらしい。
「は、」
離せ、止めろ、触るな、いやだ、助けてくれ。
何も言うことはできなかった。
間違えた。間違えた間違えた間違えたもう遅い。
体を寄せる力は止まらない。
「嗚呼あ!!!!」
真っ暗な闇の底が、口を開けて待っていた。
─────────
目が覚めたのは、ベッドの上だった。
「
……………………
」
夢じゃ、ない。
この身に降り掛かった耐え難い感覚も、震え上がるほどの恐怖も、紛れもなく本物。
──自分が一度死んだ事実も。
「ん
……
!」
片耳が変だ。聞こえにくい。
そのくせ耳から離れない、助けを乞う声が木霊する。
わけがわからない。こんなのが、現実なんだから。
「なん、なんだよ
……
!」
治まるまでじっとしていよう。
止まない声と隣合いながら、治まるのを待ってぎゅうと毛布にくるまった。
3日目
最初は生き残りたいだけだった。
けれど、生き残ったところで俺に待つ未来は『奴ら』に握られていた。
だから、やり直す。
おかしくなった全部を、過去を変えなきゃならない。
本当の自由を手に入れる為に。
試練──親しい者1名を、騙した上で殺害する。
こんなところで親しい奴も、騙せる頭も拾えるものかと思っていた。
しかしわからないもので、馴染んで来た顔というものは幾つかできた。
あとは、騙して殺すだけ。
「
…………
」
趣味の悪い話だ。
けれどなんてことはない。馴染みの顔を殺すなんて、初めてじゃないんだから。
なんてことはない。
震えを押し殺して息を吐いた。
*
・探索
歩く度に右足に激痛が走る。
突き刺された傷はすぐに良くはならないものである。
しかし部屋に居るのも、恐ろしいことばかりを思い出すので嫌だった。
片脚に体重を偏らせ、壁を伝いながら当てもなく彷徨う。
痩せ我慢をしたところで深い傷を負った脚は正直だ。
なんとかエントランスへ来るだけでも病人のように汗が滲む。
一度休もうと思った。
詳しく#探索 していなかったが、客間 にソファとか言う柔らかそうな椅子があったはずだ。そちらへ寄る。
やっとの思いで客間へ移動し、ソファに身を預けた。想像よりずっと柔らかい。
ここも安全ではないことはわかっているが、ひどく疲れていた。
ぼんやりと部屋の中を目に映す。
何かが物陰で動いた。
……
何かいる。
どきりとして目を凝らすと一匹の蛇と目が合った。
逃げるように消えてしまったので後を追えなかったが。
「
……
あれも、アイツの何かなのか?」
4日目
・襲撃死後
自分の元からネームプレートが失われた。
それが意味することは一つだ。
今さら何ができるわけでもない。
名も知らない女神の像を睨み付けた。
「
……
チッ」
なんとなく、今日もすぐに部屋には戻りたくない。
休み休み各所を回ることにした。
右脚を庇うように壁に寄り掛かり、もたつきながらエントランスを後にする。
*
『奴ら』は時々、俺たち同士で『間引き』をさせる。
そして『奴ら』は、俺たちに故郷をも襲わせる。
そうして寄りつく先も、帰るところも失くしていく。
殺して生き残ったやつは恐れられて、憎まれて。
みんなが一人になり、生かされているだけの駒になる。
殺し合うなら親しくなったって意味が無い。
自分に重りを付けるだけだ。
生き残るなら、捨てなければならない。
──ばかみたいな話だ。
あれも全部『奴ら』の手のひらのだったんだろうと気づいた。今になって。
「くそ、がぁ
……
」
ぎりぎりと割れそうな奥歯を噛み締める。
自分には力が無い。理不尽に抗うだけの力が。
その癖、生きたくて。自由は欲しくて。思うようにならなくて。
目尻から滴が汗のように伝った。
5日目
“早くしろ、065。できないならお前を処分する。さあ──”
ぐっしょりと汗で濡れた服が貼りついていた。気持ち悪くてシーツも着ていた服もぜんぶ引き剥がす。
「く、そ。この変な館のせいだ
……
ッ!」
──イヨ姉を殺せと言われた時のことを夢に見た。
やらなきゃ自分が殺されていた。
誰かを犠牲にして、生き抜くことを目指す。
この館でもやる事は同じだ。
俺は奪う存在であり、守ることなど出来はしないのだ。自分すら。
守れるわけがないのなら、最初から大事なものは持たない方が楽だと知っている。
最後に見るのは、望みを失くした目ばかりになるのだから。
他人を踏みつけ一人で生きられるようになればいい。
そう選んだのは自分なのに、今の今まで、ずっと、ずっと、ずっと苦しい。
守れもしないのにイヨ姉のような安心できるところが恋しくなって、未だ欲しがってしまう。
そんなもの無い!
そんなもの、俺にあるわけないのに!
吐き気がする。寒気がする。自分の手で壊しておきながら!
自分で泣かせて、傷つけて、絶望させたくせに!
気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。
俺は、
強い
弱い
。だから一人で生きていくのだ。
──なのに、懲りもせず。
また他人に心を寄せていた。
なんて、脆くて憎らしい心なのだろう。
それでいて、手離したくないのだからたちが悪い。
6日目
自分を貫いた魔鳥を思い返す。
自分を捕食した獣を思い返す。
また出くわすのは恐ろしい。身震いするほどに。
ああ、しかし。腹は空く。
ならば、外へ出るしかなかった。
調理場の隅で漁っていたマスカットを、訝しみながら食す。
……
結構甘くておいしい。
食べられそうなものである程度腹を満たしたら、早いところ退散しようか。
けれど部屋に戻るのも恐ろしい。また妖精の世話になろうか、どうしようか。
考えながら、自分を殺したもの達の知った匂いを思い返す。
自我の話を、長身の彼としたな。
そんなことも。
*
会って5秒で仲良くなった奴が居た。
そいつは3日後に居なくなった。
面倒を見てくれた奴が居た。
そいつは心臓の音を大きく響かせて居なくなった。
優しくしてくれた奴が居た。
そいつは俺が生き残ろうとしたから居なくなった。
俺が生きようとすれば、みんな居なくなる。
世界はきっと、そんな風にできている。
────何を犠牲にしてでも変えたい過去は、あるだろうか?
全部がおかしくなったんだ。
──だから、こんな
過去
もの
無くせたら。
ただ生きたいだけなんだ。
──でも、生きてるだけじゃ何も変わらないんだ。
やってみたいこと、好きなもの、色んな夢。
『奴ら』の兵器である自分は、それを欲しがることもいけないのだろうか。
温かいもの、美味しいもの、誰かとの時間。
これらに触れつづけることは、求めてはいけないのだろうか。
館に来てから数日は経ったか。
自分の心が喜ぶもの、悲しむものを確かめながら、ずっとそんなことを考えている。
7日目
此処はひどい場所だ。
自分も、他の参加者も、誰かを踏みつけにしなければ願いを叶えられない。
けれど、嗚呼。
世界はとても厳しいものだ。
それは変わりないのだけれど。
思っていたよりは、温かいのかもしれない。
こんな所に来なければ、きっと知ることもなかったのだろう。
エピローグ
勝敗は決した。それを認めた時、少年は自身が予想するよりも冷静でいられた。
自分は敗北し、失いたくないものは失われる。
その事実を脳裏で反芻する。
「俺、助かったのかな」
そんなはずはない。
「
……
そうだ、そうかも。
俺、何回死んでもたぶん爆発はしなかったし」
館の環境下で制御されているだけだ。
「きっと奇跡が
……
」
いずれは。
約束通り、手放したくないものが館の主へ差し出されるのだろう。
今はただ、猶予を受けているだけ。
見上げた何処ぞの女神像は、何をか嗤っている。
*
・ミドガルズオルム戦前
エントランスで見上げる女神像は、どうして笑んでいるのか。
悩んで答えが得られることではなかったけれど、他にも変化はあったらしい。
地下から何かを感じると小耳に挟む。言われてみればざわめく心地を感じてはいた。
地下と言えば、意味深な部屋を見つけたものだった。
予想が正しいなら、あの恐ろしい召喚士が関与しているに違いない。
なら近寄るべきじゃない。きっと禄でもないことになる。
この期に及んでも臆病心は正直で、今ある安全に縋ろうとして。
真相に挑む見知った背をひとつふたつと見送って。
その束の間、大きな心音を轟かせ散った兄貴分が最後に見せた背を思い出して。
「────ッ!!」
どうして、どうして後を追っているのだろう。
終わりへの扉は未だ開かれずにいる。
*
・ミルウォールさんとの秘話(契約書の書き換え)後
腕の中、少年は温もりに包まれた心臓の音を聴いた。
自分と彼女の音がする。心を動かす鼓動が規則的に鳴り続けている。
生きている証を傍に感じて、少年は未来を見る。
扉の向こうに行ったとしてもそれは変わらない。
騎士の身分を捨てた女性の隣を着いて回るようにして、その足で歩き続けて行くだろう。
その名に光を抱いて、生きて行く。
今日も、明日も。
[14心] 心音 ロッコ → [14光] 明日への光 ルカ
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