In the name of Hades(Hades Game)

ザグが受け。超短い。明日からちゃんと原稿やるよ~~~。やるったら!やる!(本当…?)


In the name of Hades




……んんっ、タン! 待っ、」
 だんだんと【真実味】を帯びてきた触れ合いに、先に怖気づいたのはザグレウスだった。
 おいおい。止まれないぞ。
 待ったをかけるんだったら、もっとずっと前だっただろう。
タン、まじで? あー、今日じゃなきゃ駄目?」
 照れるような。焦りを恥じるような。
 きらめく両目。願うような強請るような。
「ザグ――、」
 ハーー、可愛いな。本当に可愛い。時々耐えられなくて誰かに言いたくなると言ったら、ヒュプノスにあははと笑われてしまった。だってザグレウスの身体は、アンブロシアの栓を開けたときのようにこうばしい。うっとりと甘く、漂うだけで誘われる気分になる。疲れが奪われていくような。抱擁されるような。こんな存在は他にはない。こんな『自分に都合のいい存在』は。
 リンゴのような肩を噛む。へスぺリデスの園に実っているリンゴはこんな味だろうか。
「タン………
 ザグレウスは寝椅子の側面を指で撫でながら、ほとんど譫言のようにため息をついた。その吐息もじつに甘そうで、まるごと吸いこむように口づけてしまう。んむ、というザグレウスの喘ぎが、自分の口の中から響くのが心地よい。もがくように抵抗される。舌と舌の側面が、こすれあってまじりあう。懸命に逃げまどっていたザグレウスの舌は、その一瞬の快楽に縮みあがりたちまち従順になった。
「ザグ……
 まだ逃げ道を探しているふうな表情を見て思う。困っているお前はかわいい。自分が困らせているんだと思うとすごくすごく興奮する。甘えられて叶えたい。叱られて許されたい。こんな気持ちになるだなんて思ってもいなかった。変わっていくお前に引き摺られている。どうしたらお前のすべてを見せてもらえるのかと。
「うあ! やっぱ無理! 準備してないんだ! っ、タン……
「準備? 俺たちに準備は必要か?」
「心の準備とか
「無計画さはお前の専売特許じゃないか」
………
「俺がお願いしてもダメなのか?」
 阿るような表情になるのがわかる。お前にだけだ。要求して、当然のように許されたい。自分の中にこんな強引なところがあるなんて知らなかった。
……卑怯だ、その顔」
 顔をそむけるザグレウスは、自分の視界に破風を設けるように腕を交差させた。
「湯浴みもしてない。絶対いい匂いじゃない
「いい匂いじゃなきゃダメなのか」
「いい匂いの方がいいに決まって」
…………準備のできてないお前がいいって言ったら?」
「後悔するのはお前だぞ……?」
「後悔しない」
 静かに言って、ザグレウスの自前の破風をゆっくりととりはずす。出来ているかはわからないが、出来るだけ穏やかに微笑んでみる。かつ、とザグレウスの爪先が首鎧の意匠に触れて音をたてた。真鍮の首鎧の表面を指先がさまよう。これで『誘われている』気分にならない男がいるのか。額をすり合わせるようにして願いあう。互いの前髪がまじりあって、ひときわ明るい光源――ザグレウスの葉冠が光を無くす。
………ザグ」
 物の色あいや形はとっくに失われている。例えば寝椅子と空気の境界。例えば互いの心臓の輪郭。
……ぁ、ぁ、」
 横線を描く鎖骨を柔らかく舐めれば、肩を跳ねさせてザグレウスが悲鳴した。骨の形をよく味わうように唇でこする。強く吸い上げて痕を作る。肩を舐めればやはり若い果実のような香りがした。後悔するはずがない。脇を撫で、股の隙間に腕をさしいれて足を開かせる。目を閉じて本能のままに。喉奥で笑い合いながら互いの服を脱がし合う。
「本当に後悔しないか?」
「しない」
 なおも不安そうに振り向いて言ったザグレウスに、ただ短く言い放って背中を撫でる。
「神に誓って?」
「何だって?」
 この期に及んで何を言わせるつもりだと思ったが本気らしい。

「In the name of Hades?」
「ハハッ、In the name of hades! Thank my god Than……

 変わっていくお前に引き摺られている。俺がお前にしてやれることは、なんだってしてやりたいんだ。少し困らせても。
 そのひとつを、お前はこれから体験するだけの話。
 序の口だってことを、お前は思い知るだろう。





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