Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
伊坂
Public
Hades Game
Clear cache
Or do you want sweets first?(HadesGame)
あまりに内容がないのでお蔵入りしてたけど上げちゃう~。Thanzag。とてもとても短い。デキてるふたりがクスクスしてるだけ。
Or do you want sweets first?
三廊式の冥夜の館は、正面がNyx、南北にのびる側廊の先がそれぞれThanatos、Hypnosの居室となっている。
その日。あるいは夕。あるいは夜。あるいは朝。
取っ手つきの、ラタンのバスケットを抱えてZagreusはやってきた。るんるんと鼻歌交じりに。葉蔭で息む蝙蝠たちを、しげしげと見上げたりしながら。
Thanatosは闇色のフードを取って、冥夜の館へと続く門扉を内側から開けた。夢吸いのニレの木がざあ、と音を立てる。呼応するように、Zagreusの髪間でも月桂樹の葉冠が穏やかに燃えた。
「Than!」
「ああ、お疲れ、Zagreus」
「帰ってきてるって聞いたからさ」
「お前が戻るちょっと前に。すれ違いだったな」
腰衣に皮のベルト。亜麻の布地が描く緩やかな襞。武具の類を身に着けていないZagreusは幼く見える。かがむようにして、Thanatosは念友の瞼に口づけをした。唇をスライドさせて、眼尻にも、頬にも
…
。
Zagreusの柔らかな感触を愉しんで、くたびれた心を蘇らせる。
「おかえり、Zag」
そう言ってThanatosは青銅の門扉を閉じた。肩のところにいたMortが、とことこと腕を伝って移動してくる。
夢吸いのニレがまたざあ、と大きく音を立てた。
肩の結びを解けば全身が顕わになる懸衣で来るなど、きっとそういう意味であろうとワクワクしながら。
昔から(少し間が空いたこともあったが)、自室よりくつろげると言ってZagreusは夜の館へとやってきた。それはお前があの部屋を一向に片付けないからだろう、と言いたい気持ちを押して、Thanatosはこの屈託のない念友を迎え入れた。まあたまにはあの父王の側を離れたいだろう。そんな気持ちも多分にあった。
「随分たくさん作ってもらったんだな」
赤いクロスのかかったバスケットを見下ろしてThanatosは言った。
「ハンバーガー、おかわりのハンバーガー。サラダにジュース。これはチーズパイかな? お、はちみつもある」
「
…
それは俺の分も?」
「ったりまえだろ! Thanのとこ行くって言って作ってもらったんだから」
「
…
そうか」
「喉かわいた。ジュース飲むか」
いつもながらリラックスして自由なZagreusに、Thanatosは狙いをさだめるような気持ちになった。抱きついて深く息を吸いこみたい気持ち。室遇に押し込んで噛みつきたい気持ち。嫌がられて笑われたい。欲張って叱られたい。好き同士になってから本当に
……
、一緒にいることが楽しい。
Zagreusが飲もうとするジュースを奪い取って、Thanatosは「うん、Tasty」と頷いた。甘くない、何かフルーツの味のする紅茶だ。よくもまああの大忙しなChefに、ここまで料理を用意してもらえるものだ。釣った魚を持ち込んでいるから? それにしたってこうまでしてやることもないだろう。
「何かコツが?」
ストローを咥えてThanatosが聞けば、Zagreusは首を傾げたあと、自らもアイスティーを吸い上げて「
……
、まあ、言うようにはしてる」と小さく笑って呟いた。
「言うように?」
「おいしかったとか、ちょっと苦手だったとか、また作ってくれたんだ! とかさ
……
」
「ハー
……
」
出たのは
……
、出たのはため息だった。この
…
、この
…
、混乱と義憤!
こいつには男妾の才がある。優しくて悪戯好きで謙虚で陽気。素直さも自虐性も蒙昧さも。屈託なさも! なにもかも相手を期待させ、悦ばせる。
それは紛れもなくZagreusの持ち味で
…
、けれど
…
、Thanatosからしてみればひどく心掻き乱される要素だった。
「ハー、」
ため息も二回出る。
Zagreusはテーブルにクロスを敷き、反対側の椅子にThanatosが座るのを待っている。そのいつも通りの居振る舞いになんだか気が抜けて、Thanatosは笑った。こういう奴なのだ。それに今回ばかりはThanatosとしても学ぶべきところがある。
「アー、こほん。Zag? お前はいつも可愛い。お前といると、甘い欲が留まることを知らない
…
」
「ハハ
…
! ふぅん?」
そうきたかと足を組むZagは楽しそうだ。だってこまめに本音を言い続けていれば、相手から相応のサービスを得られる。
…
そういう話だっただろ?
「お前との時間は甘くて
…
、今から一緒に過ごせるのも楽しみでならないな」
Thanatosは続けざまに言って、
……
、けれど落胆して椅子に座った。きちんと本当の気持ちを告げたのに、Zagときたらフーンといった様子のままなのだ。
「
………………
」
これは失敗したらしい。腕を組んでThanatosは反省した。らしくもないことをするべきではない。
アイスティーで喉を潤し、Zagreusが寄越してきたおしぼりを使って返す。おしぼりに香油が垂らされていたのか、アイリスの甘く爽やかな香りが指先に残った。
「
………
、Zag?」
さて食事を広げようとThanatosが籠を覗き込んだとき。
おしぼりを握りしめたまま顔を上げないZagreusに、Thanatosは言葉を飲み込んだ。左手が、うろうろとクロスをさまよってThanatosの手にたどりつく。おもねるような熱を持った指先が。とろりと誘うように爪の表面を撫でる。
「、Zag
……
」
Thanatosはうっとりとして目を開け閉めした。ゆっくりと心を整え、じっくりと目をこらす。Zagreusは俯きながら、肩紐をくいと引っ張ってほどいた。
肌の曲線に沿って、夜着はするりと落ちてゆく
…
。輝くような肩
…
。精気に満ちて若々しい腕
…
。
食卓の向こう側で顕になっていく上半身に、Thanatosの全身は爛々となった。
どうしよう。お前を暴きたいといって、翼の生え際までが痛むようだ。
見惚れているThanatosを前に、Zagreusは椅子の上で片膝立ちになって言った。
「俺は、Sweetsが先でもいいよ、Than
…
」
言葉のわりには、ひどく恥ずかしそうに言うのがいい。色の違う瞳を上に下にちかちかさせて。
座面で止まっていた衣が、ぱさりと床に落ちる。
テーブルの向こうには、愛しき伴侶の腕輪だけをはめた甘い甘い裸体
…
。
Thanatosはテーブルに乗りあがって、きつくZagreusの手首を掴んだ。
『それとも先にSweetsにする?』
波箱はここから
スタンプや反応もらえると嬉しいです
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内