meirai
2025-03-16 01:05:48
2294文字
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創のユメマクラ討伐報告

※①の重い過去(トラウマの再現)があります。

 その日も普通に寝ていたら、ふと、足首を掴まれた感覚があった。

 そして──────────

 次に目を開けると、死んだはずのとーさんとかーさんに抱きかかえられていた。僕の身体は、明らかに子供の頃の大きさで、かなり小さい手だった。大事なぬいぐるみであるテディも、凄く大きく感じる。

 外からは、悲鳴と、何かが破壊される音が聞こえる。それが、その音がどんどん近づいて来ていることが分かり、ふつふつと鳥肌が立ち、震えが止まらなくなる。

 これは、僕の、過去だ。

 それも、あの時の記憶だ。

 大事な、愛する、愛して止まない家族を……敵によって失う、あの時の。

 いきがあがる。

 温かいとーさんとかーさんは、その止まらない震えと、大きく上がる息が、迫りくる敵に恐怖しているものだと思っているのだろう。
 だから、
「はーちゃん、大丈夫だ。何があってもとーさんが守るからな」
「そうよ、かーさんもいるからね」
と、言いながらぎゅっと抱きしめてくれる。
 それはそうだ。当時の僕は、そうすることしかできなかったのだから。

 抗う力のない、小さな子供。

 僕は、ここから先の展開を知っている。忘れるわけが無い。忘れられる、わけが無い。
 嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だイヤだイヤだイヤだイヤだやめてくれ!!!!!!!!
 そう思う僕の意思とは裏腹に、どんどん音が大きくなる。ガタガタと震えることしか出来ない僕を見て、とーさんとかーさんが、覚悟を決めた顔をする。僕は、動けない。

 壁が、壊される。敵の姿が、現れる。
 とーさんが「掛かってこい!!このバケモノが!!!!!!」と震える声で叫ぶと同時に、かーさんが僕を無理やり伏せさせて手で目隠しをされたことで、世界は暗転する。
 震える声で、「大丈夫、大丈夫だからね」と、かーさんが言い聞かせる声が聞こえるが、その奥ではドタバタととーさんが戦っているであろう音が聞こえる。

 永遠のように長いようでほんの短い時間が経ってから、ドスン、と大きな音が、すぐ近くでする。
 そして「二人を、殺させるものか……!!!!」と、荒い息のとーさんの声がしたと思うと同時に、重さが増す。
重さが増した直後にドスリと衝撃が来る。

ドスリ、ドスリ、ドスリ、ドスリ

 何度も、何度も衝撃が来て、それでも、かーさんは安心させようと声を掛けてくれて。でも全然衝撃が収まる気配が無くて、敵の明確な殺意を感じた。
 温かい液体が、上から伝ってくる。
 とーさんの呻く声が、聞こえなくなる。
 かーさんの声も苦しそうになる。

 か細い声で呟かれた「愛してるわ、はーちゃん」という台詞が聞こえた途端、何故か不自然な静寂が訪れる。
 黒いようで白いようで、それでいて赤いような空間で、キーンという耳鳴りと、バクバクとうるさい心音と荒い呼吸音だけが響く。僕だけの、音がする。
「ひとりはいやだ」
「ひとりにしないで」
 そう呟く。

 そう呟やいて気付く。そうだ。そうだった。そういえば、

 僕は唐突に思い出した。

 最近、トラウマを見せる未確認生命体が発生していることを。

 思い出した瞬間に暗闇と血の生温かさが払拭され、今の家族が頭を過る。そう。僕にはもう『新しい家族』がいる。それに、日々の努力を重ねて強くなった。家族を守るための力もついてきている。
 いつの間にか四肢が元の大きさに戻っていた。

 だから、だからこのトラウマは、ここまで鮮明なこれは、いつもの夢じゃない。
 そうはっきり認識すると、意識が浮上する感覚が生まれる。でも一歩足りない。
 ここから抜け出すにはたしか、精神力で対抗するんだったよね。

 唐突に、親父……槙島サンと音の関係を羨ましく思ったことを思い出す。あの親父がどんどん明るくなっていくのを見て、家族の上位互換は恋人なんじゃないかと、ようやく思った。
 他の家族も「恋人はいいぞ」って言ってたし、僕にはよく分からないけど、きっとそうなんだ。
 家族愛は誰にも負けないと思ってた。でも、それじゃあどうにもならないことがあった。
 だってそうだ。きっと、何かを乗り越えるには『特別な愛』が必要なんだ。それがきっと「恋人」ってやつなんだ。
 死ぬ気で、いや、死んでも僕を守ってくれたとーさんとかーさんみたいな関係が必要なんだ。

 僕にとっての特別って、誰だろう。
 家族は皆特別だと思ってるけど、その中でも1番特別なひと。

『いちばん愛するたったひとり』

 ストン、と腑に落ちるようにひとりの顔が思い浮かぶ。そうだ。ソウちゃんだ。
 いちばん大事で、いちばん好きで、いちばん勝ちたくて、でもいちばん守りたくて、大好きで大切で愛おしい「家族のようで家族じゃない」存在。
 そうだ、きっとそうだ。
 一番支えたい存在は勇心……統括だけど、もう家族だし。勇心は強いし尊敬もしてるけど、相棒もいるし、親父もパパもお父さんもお母さんもいるし、一緒に支えようと誓ってる迅だっているから、『守りたい』には近いかもしれないけど『たったひとり』とはちょっと違う。
 もちろんソウちゃんも強いんだけど、なんというか、こう、多分何かが違う。その何かはわからないけど……
 だから多分、こういうときは、きっとこれで合ってるはず!

 僕は!!ソウちゃんが大好きだ!!!!

 そう強く想うと一気に意識が浮上し、意識が覚醒する。
 同時に枕の横に置いてある太刀を鞘から抜き、未だに僕の足首を掴むそれ(ユメマクラ)をザクザクと突き刺し討伐した。