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影喰い
2024-08-21 00:03:06
1670文字
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ネップリSS
伊剣WEBオンリーのネップリに付いた小話です。伊剣が仲良くダブル●ーダを食べる話。
FGO未プレイ/夏イベやっていないの方→とにかく二人はドバイ()に観光します。マスターと別行動です。
FGO夏イベプレイ済の方→90+周回の事です(メタい)イベストのことをほっといて……頼む……
続きは心の目で見てください(適当)
工房から新しい夏の装いが配られるのは、本来は実に喜ばしいことだ。サーヴァントの身であろうでも、いつものように着物を身に着けるとは流石に暑苦しい。
そう、本来ならば。
二人はこれから羽を伸ばしてホテル内の施設を探検する予定になったが、肝心の伊織がマスターに急遽呼ばれたため、今のヤマトタケルはこのダブルルームで一人きりになった。
仰向けにふかふかのベッドに沈み込みながら、タケルは一人に部屋の中で色んな考えをめぐらしていた。
いっそ伊織のことをほっといて、他のサーヴァントと外へ遊びに行こうか。たとえ部屋にはテレビがあるけれど、一人で画面を見つめているのもやはり退屈だ。少し大人げない考えが頭をよぎる中、ガチャリと小さな音が聞こえた。そしてドアが開き、伊織がようやく彼らの部屋に戻ってきた。
「セイバー」
彼は軽く手に持っている袋を持ち上げた。
「これはマスターからの差し入れ
……
もとい、お詫びの菓子だ。貰ってくれるか」
にしても、彼もカルデアの貴重な戦力だ。いい加減に現実を受け入れなければ。
「むぅ
……
仕方ない、今のきみもサーヴァントの身だ。許す」
ちょっと不機嫌な皇子はベッドから起きる気配もない。納得できるけど、それも気持ちの話とは別だ。タケルは自分の時間を取らせてしまったので、かなり拗ねている。原因を理解している伊織は、自らベッドのそばまで移動した。
「きみの分はないのか」
「見れば解るだろう」
伊織はタケルの前で袋を開けると、水色のアイスキャンディーが二本の棒がついていた。
さらに割れ箸のように力を入れると、ちょっと大きめの氷菓が二つに分かれた。すると、琥珀色の瞳に再びいつもの輝きが戻った。
「うむ、これは面白い!最初から二人分と云うわけか」
「その通り。これで機嫌を直してくれ」
ほら、と伊織がアイスキャンディーを差し出した。やっと上半身を起こしたタケルは、ベッドの縁まで這い寄った。普段なら伊織に「行儀悪いぞ」と叱られるところだが、今回はおそらく彼の機嫌が優先されるのだろう。
しかし、アイスを取る前に、タケルはふと動きを止めて、静かに伊織を見つめた。
伊織の首には、一筋の汗が流れていた。クーラーが効いている部屋が夏ごとに隔離されているので、外の気温をまったく感じない。ここまで来る途中、肌で異国の空気を味わったこともある。激しい動きをしなければ汗が出るはずがない。彼はきっと急いで自分の元へ戻るのだろう。それを見ると、なんだか喉が渇いた。
「イオリ」
「どうした、突然ぼうっとしている」
細い手が、差し出したアイスキャンディー
……
否、その延長線上の伊織の手を掴んだ。
「そのまま」
「何を
……
っ、」
「ん
……
」
タケルは、氷菓の輪郭を舌でなぞりながらゆっくりと舐めていた。その姿は、どう見えても「何か」を連想させた。呆然と口を開いたままの伊織に対して、タケルは彼の反応に気づかれないよう、水色のアイスを小さい咥内に収めた。
確認するまでもなく、熱い視線は確実にこちらに注がれていた。口の中には冷たい菓子があるのに、どうしても身体中が、暑い。
甘い氷がだんだん溶けてきたので、そろそろ頃合いだと思ったタケルは、少し短くなったアイスを口から離した。
「んっ、はぁ
……
ふふっ、甘いぞ」
そして、伊織からアイスキャンディーを受け取り、正しくスティックを持って味わった。
「イオリは食べないのか?」
「
……
あ、ああ」
どこかで慌てて自分のアイスを食べ始めた伊織が、気まずそうに目をそらした。もしここが屋外だったら、彼のアイスはきっともう溶けていただろう。
「なぁ、イオリ」
伊織からの沈黙は、もはや次の言葉を理解しているかのようだった。ため息をつきながら、またアイスを一口齧る彼は、思ったよりも早くその差し入れを平らげていた。
「とにかく、食べ物で遊ぶな。
……
後でな
」
肯定的な返事と捉え、タケルは嬉しく残りのアイスを頬張った。
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