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ぐるさん
2025-03-15 23:32:20
2066文字
Public
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3.15ふみりかワンドロ 【南国】【初耳】
ふみりかワンドロライ(@ fmrk_1draw)さんの2025.3.15お題をお借りしました。
「はい、理解。どこがいい?」
「どこがいい?って一体何の話ですか?というかすごい量の旅行雑誌!」
「何の話って、俺とお前のハネムーンだけど」
「ん?今何て?」
「ハネムーン」
「誰と誰の?」
「俺とお前」
「ハァーーーーーー!?」
◇◇
窓を開ければ梅の香りが鼻をくすぐる今日この頃。大量の旅行雑誌を抱えた同居人が、ジッと私を見つめている。
「ちょっと待って本当に何の話!?」
「だからハネムーンだって。あ、新婚旅行の方が分かりやすい?」
「どっちでも変わりません!」
「あ、ちゃんとハネムーンっぽく海の綺麗な南国から候補選んできたよ」
「何その偏見!でも沖縄、ハワイ、モルディブ、バリ島、その他諸々
……
確かにどこも海の綺麗な南国ですね」
「だろ?あ、でもやっぱ沖縄は無しで。MV撮影で行くだろうから」
「MV撮影って何!?ていうかそもそも、何で私ふみやさんと結婚してる事になってるの!?怖い!!」
「
……
え?」
「ん?」
「
…………
本当に覚えてないの?」
「んん??」
「
………………
本当に?」
私を見つめる紫の瞳に、僅かに哀しみの色が混じる。心做しか眉も下がり、纏う空気も何だか寂しい。
……
え、これ私が悪いの!?何にも分からないのに!?しかしながら、私を哀しそうな見つめるふみやさんは、さながら雨の日に捨てられた黒猫の様で心が痛む。
「あ、あの、ふみやさん」
「はい、これ証拠」
「え?」
「俺と理解が、結婚したっていう証拠」
何とも言えない罪悪感で、宛もなく呼びかけてしまった私に応えるように、ふみやさんは私に自身のスマホを差し出す。
ここに私とふみやさんが結婚したという証拠が
……
!?失ってしまった記憶を取り戻すため画面を覗き込む。
どうやらふみやさんは動画を再生したようで、画面の中にはふらつきながらも立っている私と、それに向かい合うようにふみやさんが立っている。また、その間には天彦さんが立っており、共に流れる音声からは、画面に収まる私を含めた三人以外の声が聞こえてくる。
どうやら、この動画は、我が家のリビングで撮られた物らしい。しばらく眺めていると、画面の中の天彦さんが話し出す。
「ふみやさん。貴方は病める時も健やかなる時も、理解さんを愛する事を誓いま
——
」
「誓います」
返事早いな。天彦さんが言い終わる前に食い気味で返事してるよこの人。
「では、理解さん。貴方は病める時も健やかなる時も、ふみやさんを愛する事を誓いますか?」
「くぁwせdrftgyふじこlp
……
」
何にも言えてない!!私何も返事出来てない!!ていうかよく見ると私めちゃくちゃ酔っ払ってない!?あれ、そう言えば先週くらいに、誰かのお酒を間違って飲んで、それで気がついたら朝になってた日があったような
……
?
「ほら、結婚してたでしょ」
「してないわバカーーーー!!」
「えっ」
「どう見たって酔っ払い共の悪ふざけだろーーーー!!」
まさかこんな動画が証拠だとは誰が予想出来ただろうか。
「でも、ちゃんと天彦に誓いの言葉やってもらったし、ちゃんと他の皆も証人として見てるし」
「そういう事じゃない!」
「あ、次の動画でちゃんと指輪交換もしてるよ。大瀬が作ってくれたやつ」
「何でそんなの作ってたの大瀬くん
……
」
もうどこから指摘すればいいのか分からず、思わず膝から崩れ落ちる。
「え、大丈夫?理解」
「大丈夫じゃありません
……
そもそもあれは証拠になりません
……
」
「は?」
「そもそもあんなの無効でしょう!ちゃんとした式じゃないし、婚姻届出してないし、そもそも私覚えてないですし
……
」
「じゃあ、逆に聞くけどちゃんとした式の定義って何?婚姻届はまだ法律上俺達は提出出来ない。それにお前が覚えなくて動画は残ってるし証人も居る」
私の言う事に全てに、ふみやさんはつらつらと言い返す。その瞳には先程までの哀しみは無く、意地でも私を逃がさないという執念がギラギラと宿っている。
しかし、私には、どうしてもある疑問が残っている。
「あの、ふみやさん。百歩譲って私と貴方が今現在、婚姻関係にある、というのを受け入れたとしてですね」
「うん」
「何故私なんですか?」
「
……
は?」
「完璧な人間である私を人生のパートナーとして迎えたい気持ちは分かりますけどね?それはそうとして他にふさわしい方も居るのでは、と
……
」
私の言葉を聞いて、ふみやさんの表情はみるみる険しくなっていく。
「何でそんな事言うの?」
「何でって、それはこっちの台詞ですよ!そもそも、何で貴方は私と結婚したんですか?」
「そんなの、好きだからに決まってるだろ」
呆気にとられる私の頬をさらりと撫で、そのまま左手の薬指に口付けを落とすふみやさんの表情は、あまりにも真剣で、思わず見惚れてしまう。
でも、だからこそ、ここで指摘しておかなければならない。
「あの、それ、初耳です
……
」
「えっ」
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