隣の席の三島くんが、くぁ、とあくびをした──気配がした。さっきから三回目。お昼ご飯の後の授業って眠くなるよね、わかる。私も眠気を覚まそうとして三島くんの向こうの窓の外へ目線を向けて、それでたまたまあくびを見ちゃったのが最初。三島くんは、あっ見られちゃった、って顔をしてちっちゃく笑った。私の眠気は一瞬で飛んでった。意識したらもうそっちは向けなくて、だから眠そうな気配だけが隣から漂ってくる。
ころん、と小さな音がした。床をてんてんと跳ねる消しゴム。足元に転がってきたそれを拾って顔を上げて、手を伸ばしかけて気がついた。
(あーあ、眠気に負けちゃったね)
頬杖をついて目を瞑る三島くんは消しゴムが落ちたことにも気付いてないみたい。そっと机の上に戻してあげながら盗み見た横顔はうらやましいくらいまつ毛が長くって、思わず見惚れそうになる。
ごまかすように目を逸らした先、窓の向こうは青い、青い春の空。
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