sousakuyamamusume
2025-03-15 21:34:58
1589文字
Public 一次創作
 

彼岸警邏隊2

感応性が高すぎてひっぱられかけてるスギナを引き戻すコール

 歌が、聞こえる。
 子ども?……多分、そうだ。男の子か女の子か、まではわからない。ただ、子どもの歌声だ。どこからだろう。
……スギナ?おい、スギナ!」
……旦那?この声まさか旦那じゃないよな……。」
「俺にはなんも聞こえてねぇっての!つか、前みえてっか?」
 そう言われて、初めて、みしらぬところが見えていることに気がついた。旦那がすごいのか、俺が壊滅的なまでに鈍いのか。
「森だ。」
「森ィ?この大都会で?」
「そうだ。森の奥で子どもが呼んでいる声がする。それで俺は探そうとして、それで……

「それで、俺に首根っこつかまれてるわけだな。」
 ったく……俺があと一歩間に合わなければ車道に飛び出すところだったぜこいつ……
「それで動けなかったわけだ、なるほどな。」
「なるほどな、じゃねぇって……お前はほんと子どもが弱点だな……。」
 相手が子どもだったり人形だったりすると見えすぎるし聞こえすぎる。それが事件解決の糸口になることもあるが……危なっかしいことこの上ない……。俺はガキのお守りじゃねぇっつーに。
「で、お前を呼んでるやつはどのへんにいるんだ?」
「森の奥、だから、向こうに」
「あー……信号青になるまではこのまま俺に捕まってろ。」
……手間かけてすまん、旦那。」
「いいって。」
 さっきより受け答えは若干はっきりしてきたし。

 視界が、二重にみえる。
 さっきまでは森しか見えてなかったけど、横断歩道と車と……ああ、そうか。
「で、お次は?」
「あっちだ。」
 旦那が引き戻してくれてるのか、これ。だとするとあの子は相当強いことになるな……旦那でも俺を引き戻しきれないレベルか……
「おいおい、そっちは一応禁足地だぜ?」
「でも、この奥からなんだ。旦那、どう攻める?」
 くらい、くらい、森の奥。あの子が、俺を呼んでいる。それを、間一髪で旦那がおさえている。だからかろうじて、『俺』という思考が許される。旦那がいなければ多分俺は、とっくに、あのこに、のまれて
……俺から離れるな。手の届く範囲までなら守ってやれるから。」
……ありがと、旦那。」
 せめてもの抵抗として、相棒のリボルバーをホルダー越しに握りしめた。

 ふらつきながらも『俺はスギナ、彼岸警邏隊所属、コールナンバー241』と呟いてるスギナをバックアップしつつ、禁足地を進む。
……ここだ。」
「こいつぁ……
 急に開けた場所に着いた。真ん中には、ぶっ壊れた祠。俺らが壊したわけじゃねぇんだけど、なんだってこいつが『選ばれた』んだ?
「ああ、君か、俺を呼んでいたのは……それで、俺らにどうしてほしいんだ?……流石にそれは……
「スギナ、何言われた。」
「真名教えろって……
「おいおいおいおいおい……
 ったくマジで危なっかしいというか、多分それが目的なんだろうなこいつ……。多分これ、最近壊れたもんじゃねぇ。とっくの昔にぶっ壊れてて、こうして人間を食ってたやつだ。
……ここ直すんで許してくれないか?……だめ?どうしても、真名が……
 潮時だ。

「『駄目』だ。悪ぃが、こいつぁ俺の相棒だ。これ以上とやかく言うなら永久に封印する。」
『どうして』『真名を』『お前をよこせ』『よこせ』『よこせ』
…………旦那。」
 この子達は、もう、手遅れだ。俺がもっと早く、たどり着けていれば
「100年遅かったな、スギナくん?」
「だから、その呼び方は、やめろというに」
 こんな状態でも鳥肌立つレベルで嫌だ。
「ま、封じた後は祭祀課にまわす。それでいいな?」
……ああ、頼む。」
 旦那の力は、護りの力。人間に使えば、の話だが。つまり
『なにをする』『やめろ』『とじこめるのか?』『いやだ、いやだ』
……ごめんな。」
 ――封印だってお手の物というわけだ。