三毛田
2025-03-15 14:38:36
1082文字
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32 12. 友達ではできないこと

32日目
君としたいから

『友人のままでは出来ないことをしたい。だから、恋人になりたいんだ』
 そんなことを言われたものの、こちらはどうしたらいいのかわからず。
 だって、具体的に〝なにをしたい〟のかわからないのだから。
「それで、何をしたいのかは決まったのか」
「あ。あー……それ、は……うん、まあ」
 問いかけると、穹は歯切れの悪い返答を。
「ちゃんと、告げないと駄目かな?」
「そうだな。そう結論付けるに至った過程、思考を知りたい」
「デスヨネ~」
 わかってた。という呟きが耳に届く。
「まあ、その」
「ああ」
「丹恒が、好きだから」
「そうか」
「うぐぅ……
 俺が淡々と返すと、穹は呻いて蹲る。
 これ以外、なんと返していいのかわからない。
 俺も穹の事は好きだ。だが、それは仲間として。友人として。
 それ以上ではない。多分。
「それで?」
「き、キス……したいです」
「キス……
 真っ赤な顔で、己の唇に触れる。それにつられて、俺も自分の唇に触れてしまう。
「丹恒、好きだ」
 真っ赤なまま、しっかりと俺を見つめ。
 どうしてか、それが嫌ではないと思ってしまう。
 俺の中で、変化があったのか。それとも、ただ絆されたのか。
 わからないけれど、改めて言われるとさてどうしようか。と考えてしまう。
「好き=恋人になりたいということか」
「そういうことです」
「なるほど」
「丹恒が好き。丹恒の特別に、なりたいんだ」
「特別……
 特別とは、何だろうか。
「特別は特別」
 言葉の意味としては、はっきりした区別があること。だ。
「俺の特別になりたい、のか」
「そう。何でもない時に、丹恒に甘やかして欲しい」
「甘やかす……
「うん。膝枕してもらったり、膝枕してもらいながら頭を撫でてもらったり」
「キスはいいのか」
「キスだってしたいよ。でも、それは友達とか友人じゃできない」
「そうだろうか」
「しない。出来ない。友人としての丹恒とは、したくない」
 いつものような、ちょっとおどけた様子はなりを潜め。真剣な表情で、しっかりとこちらを見つめ。
「丹恒と恋人になりたい。お前の特別になりたい」
 彼はまた、同じ言葉を繰り返す。
「俺は」
 それにどう返したいのだろう。
 わからない。
 頭の中がぐちゃぐちゃで、彼に対しての感情がわからなくなってきた。
「なあ、丹恒」
「穹」
「お前は、俺とキスできる?」
「ぇ」
 そんなことを言われるとは思っておらず、自分の唇に手を伸ばす。
「俺は、できる。今すぐ丹恒とキスしたい」
 俺を見つめる黄金色の瞳に、揶揄いはない。