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moto
2025-03-15 11:58:07
668文字
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まだ、これから
さまささワンドロワンライお題「新幹線」
簓がちらりとスマホの画面に目をやった。時間を確認したのだと左馬刻にはわかった。帰りの新幹線のために店を出る時間が近づいている。簓のグラスは空に近かった。おかわりをどうするのか、聞きたいような聞きたくないような、素知らぬ顔を装って左馬刻は自分のグラスに口をつける。簓は残ったポテトをつまみ、店員を呼び止めてビールのおかわりを頼んだ。左馬刻はそんな簓に内心かなり驚いたが、目を軽く見開くだけで「時間は」と聞いた。
「ん〜」
簓は首を傾げてスマホの画面にするすると指を滑らせる。
「もうちょい、時間遅らせよかな〜て」
「できんのか」
「できるよ〜。このアプリやと何回変えても手数料かからへんし、席も自分で決められてむっちゃええで」
「
……
」
「うーん何時にしよかな
……
おっ席も空いとるな」
選びたい放題やどこにしよかなとぶつぶつ言いながらさくさくとタップしていき、パタリとスマホをテーブルに置いて、満足気ににかっと笑った。
「他に食いもん頼んでええ?」
「おう」
変えた時間はもう終電ではないだろうか。メニューを眺める簓の顔はほころんで一層嬉しそうに見える。なぜ、時間を遅らせたのか、聞きたいような聞かなくてもよいような。明日の仕事は午後からなら朝イチで帰りゃいいじゃねえか。泊まるところ?俺んとこがあるだろうが。
左馬刻がひと言も発せないまま、ビールが運ばれてきて、もう一度乾杯する。
「ほんま便利な世の中になったもんやなぁ。なんでもスマホでちょちょいのちょいや」
簓は機嫌よく笑っている。おそらく左馬刻の頬も緩んでいることだろう。
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